【建設DX】生産性向上に寄与した建設ICTツールはドローン【スカイマティクス調べ】

ドローン

2023年1月18日、株式会社スカイマティクスによる建設DXのアンケート結果の報告や、同社が展開するクラウド型ドローン測量サービス「KUMIKI」の商品説明などを行う記者向け説明会が開催されました。

まず株式会社スカイマティクス「KUMIKI」のプロジェクトマネージャー阿部氏よりアンケート結果の解説。

そして、株式会社スカイマティクスの代表取締役社長の渡邉氏と、九州大学都市開発センター長の馬奈木氏の解説により説明会は進行していきました。

参加して話を聞いてきたので、内容をご紹介します。

生産性向上に寄与した建設ICTツールはドローン【スカイマティクス調べ】

リモートセンシングサービスを展開する株式会社スカイマティクスが、建設業1039名に建設DXに関するアンケートを行いました。

その結果、もっとも生産性に寄与した建設ICTツールは「ドローン」であることがわかりました。

スカイマティクス

出典:株式会社スカイマティクス

ドローンで取得した地形データを3DCADなどに取り込んで活用しているケースが多いため、1位の「ドローン」と、2位の「3DCAD、3次元データ作成、点群処理ソフト」はセットで使われていることが予測されます。

なお「今後導入したい・してほしい建設ICTツール」もドローンが1位(26%)だったそうです。

建設ICTツールで、ドローンが大きな注目を集めています。

 

建設ICTツールを導入して得られる成果

株式会社スカイマティクスでは、建設ICTツール導入の成果もアンケートをとっています。

スカイマティクス

出典:株式会社スカイマティクス

やはり建設ICTツールを導入してよかったと感じる企業は多いようです。

そして前述のとおり、中でもドローンの寄与が大きいとわかりました。

 

ドローンの用途

同社では「ドローンの用途」もアンケートをとっています。(複数回答)

  1. 竣工写真の撮影(54.6%)
  2. 現場の状況、敷地、障害物の調査・確認(54.4%)
  3. 施工段階の進捗管理(40.4%)
  4. 設計測量(40.1%)
  5. 3Dデータ(点群データ)の取得(37.3%)

 

ドローンは用途の幅が広く、多くの企業に活用できることがわかります。

 

ドローンを導入する効果は効率化・安全性向上・精度向上

ドローンを導入する効果は、大きく分けると3つあるようです。

  1. 作業の効率化・コスト削減
  2. 安全性向上・立ち入りにくい場所の測量が可能になる
  3. 精度向上

 

具体的には下記などが可能です。

  • 従来は数時間かかっていた測量が十数分~数十分で終わる
  • 撮影した3Dデータの取り込みが数十分で終わる
  • 測量の足場を組まなくていい
  • 山間地など複雑な地形もすぐ測量できる
  • 作業員が危険なことをしなくても正確に測量できる

 

また、現場に行かなくても管理ができるため、人手不足の悩みにも対応できるといえるでしょう。

 

【ただし】建設業界ではICT化が遅れている

ドローンを始めとしてICT化は建設業界に有益ですが、現実はあまり進んでいません。

株式会社スカイマティクスのアンケートで「勤務先のICT化の取り組みに不満」と答えた人の割合は下記のとおりです。

従業員数 不満に思う人の割合
TOTAL 56.6%
1~19人 66.7%
20~299人 61.9%
300人以上 46.5%

また「あなたの勤務先では2023年からBIM/CIMに対応できると思うか」というアンケートでは、特に小規模企業で対応が難しいとわかります。

スカイマティクス

出典:株式会社スカイマティクス

 

建設ICTツールの導入が進まない理由

小規模企業を始めとして、建設ICTツールの導入が進まない主な理由は下記の3つだそうです。

  1. コスト面の問題
  2. 建設ICTツールを導入する社内体制がないから
  3. 「何が問題か」を企業が把握していないから

 

1つずつ解説します。

 

コスト面の問題

スカイマティクス

「ICTツールを導入したくても、初期費用とランニングコストに不安がある」といった悩みがあります。

特に小規模企業は、建設ICTツールへの投資に消極的です。

株式会社スカイマティクス代表取締役社長の渡邉氏によると「7割以上の経済合理性があれば導入する企業が多い。だが、経済合理性が3割しかなければ導入しない」だそうです。

つまり「払う費用以上にプラスになれば導入する」ではなく「払う費用より圧倒的なプラスがなければ導入しない」というのが現実のようです。

 

建設ICTツールを導入する社内体制がないから

九州大学都市開発センター長馬奈木氏

当日の記者向け説明会のゲストの九州大学都市開発センター長である馬奈木氏によると「導入後に使いこなせるか不安」という企業が多いそうです。

大手であれば専任の担当者を置いて現場に浸透させることができますが、中小企業だとそうした人材がいないのが現実でしょう。

若手社員など限られた人しかツールを使えず、結果、使わなくなってしまうケースもあるようです。

 

「何が問題か」を企業が把握していないから

そもそも問題を問題と捉えていない企業は、ICTツールに興味を示しません。

「そういうツールは大手が使うもの」という印象もあり、まさか自分たちにも使えて問題を解消できると気づいていないこともあります。

建設ICTツールのニーズが顕在化していないため、導入の検討すらしない企業もあるでしょう。

 

ドローンの普及が進んでいる理由

上記でお伝えしてきたとおり、建設ICTの導入が遅れている中、なぜドローンだけ導入が進んでいるのでしょうか?

理由は下記の2つだそうです。

  1. 測量などできることがわかりやすいから
  2. 経済合理性が圧倒的に大きいから

 

こちらも1つずつ解説します。

 

測量などできることがわかりやすいから

株式会社スカイマティクス代表取締役社長の渡邉氏によると、シンプルに「ドローンはわかりやすいから導入されやすい」だそうです。

複雑で先進的なICTツールは、どうしても使いこなせないイメージがあり導入が遅れています。

一方ドローンは、上空からの測量など業務に活用できるイメージをしやすいため、導入する企業が多いです。

人は、自分が見たことがあるものはイメージできます。

ドローンを操縦したことはなくても、テレビ番組などでドローンを目にしているため「たしかに、ドローンならうちの業務にも使えそうだ」とイメージしやすいのが大きな理由でしょう。

 

経済合理性が圧倒的に大きいから

ドローンのコストの安さも、導入が進む理由になっています。

Amazonなどで売っている20~30万円のドローンを使用できるため、イニシャルコストが低いです。

また、ドローンを使うことで工数を8~9割削減できるため、導入した方が圧倒的にトクでしょう。

前述のとおり、ドローンを導入する効果は下記などがあります。

  • 従来は数時間かかっていた測量が十数分~数十分で終わる
  • 測量の足場を組まなくていい
  • 現場に行かなくても管理ができる

 

ICTに詳しくない人でも「導入しないと損」だとわかりやすいため、導入が進みやすいです。

 

建設ICTツールが普及するために必要なこと

まだまだ課題のある建設ICTツールの普及ですが、株式会社スカイマティクスが今回行ったアンケートでは下記の質問もしています。

あなたは、建設業界がもっと建設ICTツールを導入して生産性を高めるためには、業界をあげてどのような取り組みが必要だと思いますか?

 

アンケート結果は下記のとおりです。

スカイマティクス

出典:株式会社スカイマティクス

多かった2つの回答を深掘りしていきます。

 

ツールを使いこなせるまでサポートする体制

「使いこなせるか不安だから導入しない」という不安を払拭しなければいけません。

特に中小企業では、ICTツールを使いこなせる&教えられる人材を社内で育てるのは非現実的でしょう。

なので、建設ICTツールを提供するベンダー側が徹底したサポートを行う必要があります。

株式会社スカイマティックス代表取締役社長の渡邉氏も「きめ細かいサポートは日本人の得意分野。ベンダー側が使いこなせるまでサポートする体制をもつことが重要」と解説していました。

 

建設ICTツールの事例を共有する

「結局、何ができるかわからない」というのが現実的な印象でしょう。

人は「ツールのメリット」がわかっただけでは導入しません。

「ツールを使った自分たちの未来」が具体化しないと、導入を検討しないものです。

より具体的にイメージしてもらうには、事例の共有が一番でしょう。

特に同規模の同業他社の事例が情報共有されれば「うちも使ってみよう」という企業が増えるはずです。

 

スカイマティクスクラウド型ドローン測量サービス「KUMIKI」

kumiki

記者向け説明会の最後には、株式会社スカイマティクスが展開するクラウド型ドローン測量サービス「KUMIKI」のデモンストレーションが行われました。

「KUMIKI」の強みは下記の3つです。

  1. 低コスト:現場調査や測量の工数を最大95%も削減できる
  2. 見える化:離れていてもWeb上で現場の細部までわかる
  3. 導入が簡単:専門知識や初期投資が不要ですぐ始められる

 

スカイマティクス

ソフトに画像をアップロードするだけで、すべて自動で処理してくれます。

オルソ画像や3D点群モデルなどの地形データを全自動で生成できたり、距離・体積・断面などが数クリックでわかるため直感的な操作が可能です。

また、純国産サービスでサポート体制が強く、専任の担当者がビデオ会議・電話などで迅速に対応してくれます。

詳しくは「KUMIKI」の商品ページにて確認できるため、ぜひ見てみてください。

スカイマティクス

 

まずはドローンから建設ICTツールを導入してみては?

お伝えしてきたとおり、ドローンは経済合理性が圧倒的に大きいため、まずはドローンから導入してみると良いでしょう。

株式会社スカイマティクスが今回行ったアンケートでは、働き方改革や残業削減の着手率も調査しています。

その結果、小規模企業の43.1%はまだ働き方改革や残業削減に未着手だとわかりました。

2024年には週休2日や36協定が適用されますが、現実的にはまだ何もできていない企業も多いです。

「何から始めたらいいかわからない」というのも本音でしょう。

 

具体的な一歩として、株式会社スカイマティクスが展開する「KUMIKI」などドローンから導入を検討してみてはいかがでしょうか?

業務効率化・経済合理性・安全性の向上などの参考になれば幸いです。

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