建設業の人手不足はなぜ解決しない？採用難の実態や具体的な解消策11選を解説

「建設現場が人手不足で回らない…」

「若手がすぐに辞めるから、ずっと人手不足が続いてる…」

このような悩みを抱える建設会社の経営者様や教育担当者様に向けた記事です。

建設業の人手不足を解消するには、適切な対策を考えた上で採用活動を進めることが重要です。

働く環境を整えつつ業務効率化を進めることで、人が集まり定着する組織になっていきます。

「でも、やることが多すぎて何から手をつければいいかわからない…」と思いますよね？

この記事では、人手不足の原因から具体的な対策まで解説します。

記事を読むと自社に合う対策が見つかり、人手不足を解決するヒントが得られるでしょう。

すぐにでも人手不足を解消したい方は、最後まで読んでみてください。

こうしたeラーニングを導入しておくと「研修がしっかりしている会社」としてアピールできて、人材を採用できる可能性が上がります。

無料から気軽に始められるので、試しながら検討してみてください。

「もう限界だ…」建設現場から聞こえる人手不足の現実

まず、建設現場から聞こえる人手不足の現実について解説します。

多くの建設現場から「人が足りず工期に間に合わない」「募集を出しても人が来ない」といった悲痛な声が出ています。

それぞれの詳細を見ていきましょう。

少ない人材を企業で奪い合う現状

建設業界では限られた人材を巡って、企業間で激しい争奪戦が起きています。

仕事はあるものの、建設業界の将来を担う若手技能者が足りていないためです。

国土交通省のデータによると、建設技能者のうち29歳以下は12%程度であるのに対し、60歳以上が26%程度となっています。

出典：国土交通省｜最近の建設業を巡る状況について

ただでさえ人手不足の状況で若手人材が入ってこないため、いつまで経っても人手不足が続いています。

限られた若手人材を奪い合うのが現状であり、採用力のない企業は人手不足の解消が困難です。

有効求人倍率と就業者数の推移から見る「採用難」の実態

厚生労働省のデータによると、建設業の有効求人倍率は4.87倍です。

参考：厚生労働省｜一般職業紹介状況(令和7年6月分)について

1人の求職者に対して5件近い求人が出されている状況です。

また、以下のグラフを見てもわかるように、就業者数も減少傾向にあります。

出典：国土交通省｜最近の建設業を巡る状況について

ピーク時は619万人いた就業者は、2021年時点で485万人まで減っています。

人手不足を解決するためにも、採用の成功が不可欠です。

なぜ建設業の人手不足は「自業自得」「当たり前」といわれるのか

建設業の人手不足は「自業自得」「当たり前」などの声もあります。

こうした厳しい意見の背景には、以下の理由があると考えられます。

問題としっかり向き合うことで、人手不足を解消する対策が見えてきます。

建設業が抱える問題を1つずつ見ていきましょう。

「もらうお金が少なく払うお金が多い」という業界特有の問題

多重の下請け構造が常態化している建設業界では、末端に十分な報酬が行き渡りにくいのが現状です。

三次請けや四次請けとなると中間マージンが抜かれ、現場で汗を流す職人の手取りが少なくなります。

さらに若手を苦しめるのが、道具代や移動費の自己負担です。

また、現場までのガソリン代や駐車場代が支給されない会社も珍しくありません。

「稼げると聞いて入ったのに、手元にお金が残らない」という現実に直面し、早期離職を選ぶ若手が増えています。

3K（きつい・汚い・危険）に対するネガティブなイメージ

建設業が敬遠される原因として、依然として根強い3K（きつい・汚い・危険）のイメージがあります。

国や建設業界で新3K（給与・休暇・希望）を推進してますが、現場の実態と追いついていません。

ネガティブなイメージを払拭できていないため、親や教師が建設業への就職を反対するケースもあります。

安全対策や快適な休憩所の設置など、目に見える形で職場環境を改善する努力が必要です。

「見て覚えろ」という教育に失望する若手

職人気質が色濃く残る現場では、体系的な教育が行われず若手が育たない問題があります。

「背中を見て覚えるのが当たり前」という指導法は、現代の若者には通用しません。

合理的な説明や丁寧なフィードバックがない環境では、若手は「自分は大切にされていない」と感じます。

結果として入社してから数ヶ月で「ここでは成長できない」と判断し、辞めていく若手が数多くいます。

2025年問題による工期圧迫と現場の疲弊

2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が適用され、現場の負担が増していることも人手不足につながっています。

規制の主な内容と現場への影響は、以下のとおりです。

項目	内容・影響
規制内容	時間外労働の上限は原則月45時間・年360時間
現場への影響	労働時間は減るのに工期は変わらず1人当たりの負荷が増加

労働環境の改善を目的として導入されましたが、実態は工期短縮のプレッシャーとして負担になっています。

また、発注者からの工期短縮要請に応えるために、現場監督や職人さんがサービス残業でカバーする現場もあります。

「法律を守ると仕事の負担が増える」という事態が解消されない限り、現場の疲労感は増すばかりでしょう。

参考：厚生労働省｜建設業における時間外労働の上限規制について

人手不足を放置すると直面する建設業の経営リスク3選

人手不足を一時的な問題と考えて放置すると、以下のような経営リスクを招く恐れがあります。

こうしたリスクは将来の話ではなく、すでに多くの現場で起きている問題です。

それぞれのリスクが会社に与えるダメージを押さえておきましょう。

受注不能と工期遅延による黒字倒産

仕事の依頼があっても、現場監督や職人を確保できず断らざるを得ないケースが増えています。

受注機会を逃すだけでなく、着工中の現場でも人が足りずに工期が遅れ、多額の遅延損害金が発生する恐れがあります。

売上があっても、工期の遅れで資金繰りがショートする点が黒字倒産の怖さです。

手元の資金が尽きると、従業員の給与や下請けへの支払いもできなくなります。

利益が出ているからと安心せず、人手不足による資金繰りの悪化を警戒する必要があります。

既存社員への負荷集中による連鎖退職の発生

人がやめた穴を埋めるために、残った社員が長時間労働を強いられるのは危機的状況です。

「あいつがやめたからお前が2倍働け」という理屈は通用せず、疲弊した社員から順に辞めていく連鎖退職を招きます。

特定の社員に負荷が集中すると、以下のような弊害が発生する恐れがあります。

項目	影響
残業時間	休日出勤や深夜残業が常態化する
メンタル	プレッシャーで精神的な不調をきたす
組織風土	余裕がなくなり協力体制が崩れる

1人がやめると現場が回らなくなり、さらに次の1人がやめる悪循環に陥りがちです。

こうした負の連鎖を止めるには、社員が限界を迎える前に迅速に対処する必要があります。

技術継承が断絶し施工品質と安全性を維持できなくなる

ベテラン社員が引退する前に若手を育成できないと、長年培ってきた会社の技術力が失われます。

ノウハウが伝承されないまま現場を回すと、施工ミスや重大な労働災害のリスクが高くなります。

高度な技術が必要な工事に対応できなくなると、元請けからの信頼を失い今後の受注にも影響します。

技術と安全は建設会社の生命線であり、一度失うと取り戻すのに長い時間がかかります。

参考記事：なぜ建設業の技術継承は失敗するのか?よくある5つの課題と解決策を解説

建設業の人手不足を解消するための具体的な対策

それでは、建設業の人手不足を解消するための具体的な対策を解説していきます。

すべてを一度に実行するのは難しいため、自社の状況に合わせて優先順位をつけて取り組んでみてください。

技能者の処遇を改善する

人材流出を防ぎつつ新たな入職者を増やすには、技能者の処遇改善が不可欠です。

「仕事はきついのに給料が安い」という若手の不満を解消するためにも、以下のような処遇改善を進めましょう。

項目	具体的な改善策
給与	能力に応じた明確な昇給制度の導入
休日	4週8休（完全週休2日）の推進
手当	資格手当や家族手当の充実

処遇を改善した企業は結果的に採用力が上がり、経営の安定化につながります。

まずは経営者が「社員の生活を豊かにする」という覚悟をもつことが大切です。

外国人材の受け入れ体制を整備する

国内の人材だけで現場を回すのが難しい場合、特定技能制度を活用した外国人材の採用を検討してみてください。

多様な人材を受け入れる柔軟な姿勢が人手不足の解消につながります。

ちなみに、私たちワット・コンサルティングでも外国人材の受け入れ態勢があります。

「すぐにでも人手不足を解消したい」という方は、詳細を確認してみてください。

工業高校との連携強化で入職ルートを太くする

地元の若手を採用するには、工業高校との連携を強化して太いパイプを作ることが効果的です。

求人票を送るだけでなく、学校側と信頼関係を築く地道な活動が人手不足の解消につながります。

先生や生徒に「この会社なら安心だ」と思ってもらえると、卒業生を紹介してもらいやすくなります。

参考記事：「建設業の若者離れは当たり前?」若手採用を成功させる8つの対策

SNSによる情報発信

若年層への認知度を高めるために、SNSを活用した情報発信は不可欠です。

媒体	活用法
Instagram	写真や短尺動画で現場のかっこよさを発信
TikTok	音楽に合わせた動画で若年層にリーチ
YouTube	長尺動画で社員インタビューや仕事内容を解説

InstagramやTikTokなどを使うと、現場の雰囲気や職人の技術を視覚的に伝えられます。

また、求人サイトの文字情報だけでは伝わりにくい「会社のリアルな姿」を発信することは、ミスマッチ防止にも役立ちます。

InstagramやTikTokはスマートフォン1台で始められるため、コストをかけずに採用活動を強化できる点も魅力です。

人材紹介を活用する

自社だけで応募数を増やすのが難しい場合は、人材紹介サービスの利用を検討してみてください。

建設業界に特化したエージェントは施工管理技士や熟練の職人さんなど、求めるスキルをもった人材を紹介してくれます。

プロの力を借りることで、自社にマッチした人材に出会える確率が高まります。

私たちワット・コンサルティングでも人材紹介を行っているので、人材紹介に興味のある方は詳細を確認してみてください。

人材派遣を活用する

繁忙期の一時的な人員不足や急な欠員への対応には、人材派遣がおすすめです。

正社員採用は時間がかかりますが、派遣であれば必要な期間だけ即戦力となる人材を確保できます。

固定費となる人件費を変動費にできるため、経営リスクを抑えながら労働力を調整できる点がメリットです。

人手不足で現場を止めないためにも、派遣会社の活用を検討してみてください。

私たちワット・コンサルティングの人材派遣サービスの詳細は、こちらから確認できます。

採用しても辞めない建設業の組織を作るための対策

苦労して採用した人材が離職してしまうのは、企業にとって痛い損失です。

人手不足を解消するには、以下のような対策を実施して離職を防ぐことが不可欠です。

離職を防ぐには入社前後のギャップを埋め、将来のビジョンを描ける環境を作る必要があります。

人手不足を解消するためにも、離職を防ぐ対策を押さえておきましょう。

参考記事：建設業の人材育成が変わる!若手確保から定着までの6つのコツ

入社後のネガティブなギャップを軽減できる対策を進める

採用面接では仕事のやりがいだけでなく、厳しい現実も正直に伝える姿勢が必要です。

「稼げる」「アットホーム」といった良い面ばかりを伝えると、入社後に「話が違う」と感じて早期退職につながるからです。

良い面も悪い面も伝えることで、納得して入社した人材が長く定着しやすくなります。

メンター制度を導入して若手の孤独感や不安を解消する

直属の上司とは別に年齢の近い先輩社員が相談役となる「メンター制度」は、若手の孤独感や不安を解消する上で効果的です。

効果	内容
定着率アップ	悩みを相談できる相手がいることで孤立を防げる
成長スピードの向上	異なる視点からのアドバイスで視野が広がる
組織の活性化	部署を超えたコミュニケーションが生まれる

気軽に相談できる環境を整えると、若手は現場での人間関係や仕事の悩みを打ち明けやすくなります。

「現場に放置されている」と感じさせない手厚いフォロー体制が定着率の向上につながります。

参考記事：施工管理の新人教育で失敗しない!新人が成長する研修10ステップ

キャリアパスを可視化して将来の希望を見せる

「この会社で頑張ると将来どうなれるのか」というキャリアパスが見えないと、若手は将来に不安を感じます。

そのため、経験年数や取得資格に応じて給料がどう上がるかを明確に示しましょう。

将来の目標がはっきりすると、日々の厳しい業務にも前向きに取り組みやすくなります。

職人の技術を言語化・映像化して「動画」で指導する

「背中を見て覚えろ」という従来の教え方をやめ、動画マニュアルで指導すると教育の効果向上が期待できます。

複雑な作業手順やコツを動画にすると若手はスマートフォンで繰り返し確認でき、教える側の負担も減ります。

また、動画を活用することで見て覚える時間を短縮でき、実際に手を動かす練習に時間を多く使える点もメリットです。

参考記事：建設業OJTを始める前にやるべき準備と8つのテクニックを完全解説

若手を効率的に育成できるeラーニング「Construction Boarding」

若手育成を効率的に進めたい方には、建設業に特化したeラーニングであるConstruction Boardingがおすすめです。

実際の現場映像やわかりやすいイラストを使った動画教材で、経験の浅い若手でも直感的に作業手順や安全管理を学べます。

動画マニュアルを自社で作る手間も省け、教育担当者の負担も軽減できます。

2週間の無料トライアルがあるため、まずは実際の使い勝手を試しながら導入を検討してみてください。

ICTツールを導入して業務効率化を進める

長時間労働を減らして働きやすい環境を作るには、ICTツールの導入による業務効率化が重要です。

例えば「施工管理アプリ」を導入すると、現場の写真整理や日報作成、図面の共有などがスマートフォンやタブレットで完結します。

施工管理アプリの主な機能と効果は、以下のとおりです。

機能	導入効果
写真・資料管理	現場写真をクラウドで共有して事務所での整理作業を削減
工程管理	工程表をスマホで確認・修正でき、関係者への連絡を迅速化
チャット機能	電話やメールよりも手軽に連絡でき、情報共有を円滑化

まずは施工管理アプリや写真整理ツールなどを導入するだけでも、現場の業務効率化を進められます。

デジタル技術の導入による業務効率化の詳細を確認したい方は、施工管理DXで人材不足を解消！建設業の成功事例と導入5ステップをご覧ください。

建設業の人手不足についてよくある質問

最後に、建設業の人手不足についてよくある質問にお答えします。

人手不足でも倒産しない会社の特徴は？

人手不足でも倒産しない会社は以下の特徴があります。

単に運がよいわけではなく、社員から信頼され定着させる仕組みづくりに成功しています。

取引先からの信頼も厚く、危機的な状況でも人が離れていきません。

「信頼され選ばれる会社」になるための努力を続けることが倒産を防ぐ上で大切です。

給料を上げられない中小企業ができる対策は？

大手のように大幅な賃上げが難しい場合でもできる対策はあります。

求職者は待遇だけでなく、働きやすさや人間関係、休みの取りやすさなども重視して会社を選びます。

具体的な対策は以下のとおりです。

対策	内容
休日増	土日休みや有給休暇を取りやすい雰囲気を作る
食事補助	昼食代の補助や飲料水の支給を行う
記念日	社員の誕生日や家族の記念日にプレゼントを渡す

「社員を大切に思っている」という姿勢を行動で示すと従業員の満足度は上がり、定着率の向上につながります。

外国人を採用しても言葉の違いで現場が混乱しそう…

言葉の壁に対する懸念は多くの企業が抱える悩みですが、ツールや工夫次第で解決できる可能性があります。

現在は高精度の翻訳アプリやイラスト付きの安全マニュアルが普及しており、意思疎通のハードルは下がっています。

また、現場の危険箇所に「あぶない！」「STOP」といったイラスト付きの看板を設置するのも効果的です。

最初から完璧な日本語を求めるのではなく、歩み寄る姿勢を見せると現場のチームワークが良くなるでしょう。

まとめ

最後にもう一度、人手不足を解消する対策をまとめておきます。

建設業の人手不足は深刻ですが、適切な対策を講じることで解消に近づきます。

まずは自社の課題に合わせて、できることから取り組んでみてください。

若手育成や定着率の低さにお悩みの場合は、Construction Boardingがおすすめです。

忙しい現場でもスマホ1つで学べるeラーニングで、教育の質を均一化して早期戦力化をサポートします。

無料で2週間のトライアルができ、助成金の対象となる可能性もあるため、低コストで人材育成を強化できます。

「若手をすぐにでも戦力化して人手不足の解消につなげたい」という方は、お気軽に資料請求してみてください。

貴社の人手不足解消と人材育成の一助となれば幸いです。