VR・ARなどが話題になっていますが、建設業界でもVR・AR・MRを活用する事例がうまれています。
VR・AR・MRは建設と非常に相性が良いため、革命が起きています(^^)
この記事では、
- VR・AR・MRを使って建設業界でどんなことができるのか?
- VR・AR・MRの活用事例
- 建設業界にVR・ARを提供している会社情報
などをご紹介します。
それではさっそく見ていきましょう(^^)
VR・AR・MRを使って建設業界でどんなことができるのか?
VR・AR・MRを使って建設業界でどんなことができるのかご紹介します。
主に、
- 社員研修
- BIMとの融合
- 遠隔指導
- お客様へのプレゼン
などに有効活用されています。
VRとは?
VRとは「Virtual Reality(バーチャルリアリティー)」の略です。
日本語訳すると「仮想現実」という意味です。
HMD(head mounted display)という頭に装着するディスプレイをつけると、360°の仮想空間が見えます。
自分の首を上下左右に動かすとHMDに見える映像も自分の頭の動きに合わせて動きます。
テレビ番組などでもよく登場していますよね(^^)
最近ではVRのゲームや動画も出てきており、新たなエンターテイメントも生まれています。
ゲーム界ではPlayStation VRが話題になりました。
VR体験をしたことがある人はわかると思いますが、けっこう臨場感がありますよね(^^)
ARとは?
ARとは「Augmented Reality」の略で、日本語訳すると「拡張現実」という意味です。
ARでもっとも有名なのは「ポケモンGO」でしょう。
現実の道端に突然ポケモンが出てきます(^^)
VRとの大きな違いは、VRは現実世界を見ることはできませんが、ARは現実世界の中に仮想映像が出てきます。
ARでもう1つ有名なのが「IKEAカタログ」です。
IKEAは世界的に有名な家具メーカーで、IKEAの家具を自分の家に置いたらどんな感じになるかをARで体験することができます。
引用元:youtube「Place IKEA furniture in your home with augmented reality」
MRとは?
MRとは「Mixed Reality」の略で、日本語訳すると「複合現実」という意味です。
かんたんに言うとVRやARよりもっとハイクオリティのものがMRです。
仮想世界と現実世界の融合した世界を体験できます。
よりハイクオリティに現実世界と仮想世界が融合できます(^^)
建設現場作業員の研修にVRが使える
建設業界で近年注目されているのが、VRを使った建設現場作業員の研修です。
仮想現実の世界で、現場と同じ体験ができます。
実際の現場に出る前に実体験を積むことができるため、VR研修を取り入れる建設会社が増えています。
VRを使った研修のメリットは、
- 研修センターを造る必要がない
- 研修場所に行く必要がない(どこでも研修できる)
- いつでも研修できる
の3つです。
「研修はみんなで集まって同時に受けるもの」というスタイルは、VRの登場で必要なくなりました。
VRを使った研修の主な内容は、
- スキルアップの研修
- 安全性向上の研修
の2つです。
安全研修は、この動画がわかりやすいです(^^)
スマホで見る場合はスマホを上下左右に動かすとVR体験できますよ(^^)
※パソコンで見る場合は、画面上で左クリックを押しながらマウスを動かしてみてください。
引用元:youtube「【積木製作_VROX】安全体感VRトレーニング 001建設現場における仮設足場からの墜落」
建設業界では毎年100人以上の墜落・転落事故が発生しています。
転落事故は最悪の場合死亡してしまう危険性があるため、事前にきちんと研修できることは重要ですね。
参考:厚生労働省「平成 28 年労働災害発生状況の分析等」
BIMで設計した原寸大の世界に入ることができる
BIMで設計したデータを仮想現実データに変換して、VRで原寸大のBIM設計の世界に入ることができます。
BIMとは「Building Information Modeling(ビルディング・インフォメーション・モデリング)」の略称で、主に建築分野での設計に使われます。
BIMは3D設計が可能な設計ソフトです。
3DCADと似ているようですが、BIMは設計したデータをVRを含め様々なデータに変換することができます。
設計作業自体は1回で済み、1度設計したデータを様々な様式に変換できます。
BIMで設計したデータをVRデータに変換し、設計した建物の中をVRで歩くこともできますよ(^^)
BIM設計したものをVRで歩き回る利点は、設計ミスが見つかることです。
完成品をVRで体験できるため、設計ミスが目で見てわかります。
※CADではとてもできないことですね。
ちなみに、BIMについては、
「BIMやCIMソフトの建築や土木の設計のメリット」にまとめているので、興味あれば読んでみてください(^^)
遠隔の作業支援ができる
経験が浅い現場作業員がARを使って別の場所にいるベテラン作業員から指示を受けることができます。
現場作業員が見ているものを、現場とは別の場所にいるベテラン作業員と共有することができます。
ベテラン作業員が現場に行かなくても指示を出して教えることができます。
経験の浅い作業員の不安が軽減されますし、効率的なスキルアップになります。
建設業界は人材不足が問題になっていますが、ARを使うことで複数の現場に散っている作業員同士が、わからないことを解決できるため、少ない人数で複数の場所の作業を進めることができます。
また、ARで共有した映像は録画することもできるため、業務の復習に使うこともできます。
端末の選択肢が多い
VR・AR・MRのシステムを導入する際には特殊な端末は必要ありません。
スマホやタブレットで利用ができるため、導入しやすいのも大きなメリットです。
今後、もっと多くの建設会社がVR・AR・MRを導入していくことでしょう。
建設業界のVR・AR・MRの活用事例
建設業界でのVR・AR・MRの活用事例をご紹介します。
すでに多くの会社で活用されています
様々な活用法がありますので、さっそく見ていきましょう(^^)
東急建設のVR安全衛生教育システム
東急建設のVRを使った安全衛生教育システムは、VRで災害事故を疑似体験できます。
建設現場で災害事故が発生するプロセスを充実に再現していて、実際に自分で手足を動かしてリアルな体験ができる教育システムです。
ヘッドマウントディスプレイと手足に装着したコントローラーで、VR空間に再現された建設現場でリアルな体験ができます。
この教育システムはバンダイナムコスタジオの協力で開発されたもので、ゲームの要素を盛り込んでいます。
※さすがバンダイナムコの作るものですね。
臨場感のある感情を引き出すストーリーになっていて、事故の原因や事故が発生しないためにどうすればいいかを自分で考えるプログラムです。
リアルな疑似体験によって危機管理意識を高めることができ、災害事故になるような行動を起こさないための研修になっています。
また、東急建設では、
- 新入社員の1日VR
- ケーソン工事 業平橋ポンプ所施設再構築その4工事
という無料のスマホアプリを発表しています。
VRで東急建設の現場体験をすることができます。
「新入社員の1日VR」は、朝礼やラジオ体操から始まり、現場の疑似体験ができます。
現場の注意点など1日の流れを体験できます。
実際に私もやってみましたが、同僚とのランチや休憩にかき氷を食べることができたり、仕事が終わったあとはみんなでピザを食べます(^^)
「ケーソン工事 業平橋ポンプ所施設再構築その4工事」では、実際の現場の様子を見て施工管理の疑似体験ができます。
各工事場所の見学をすることができます。
大林組のVRとBIMを活用した施工管理者研修
大林組では施工管理者向けにVRとBIMを使った教育システム「VRiel(ヴリエル)」を作っています。
※制作は積木製作
実際に存在する建物のBIMデータをVRにして、実際に建物の中にいるVRで研修します。
VRの中で躯体の不具合箇所を探します。
映像データのため、不具合箇所の正しい補修後の画像を確認することもできます。
2㎡のスペースがあればどこでも研修できてしまいます。
VRですから研修ごとに不具合箇所を変えることもできるため、より充実した研修ができますね(^^)
大成建設のVRシステム
大成建設はVRを使って遠隔地から重機を操作するシステムを開発しています。
オペレータが現地にいなくても工事ができてしまいます(^^)
危険個所の工事などに役立つとして注目されています。
ベテランのオペレータが1つの場所で複数の現場の重機運転が可能になる素晴らしいシステムです。
また、大成建設では設計データをVRにすることで、完成した建物の映像をVRで体験できるシステムも開発しています。
施主は設計段階で完成した建物を見たり、中に入ったりできるため、とてもイメージがわきやすいですね。
施工前に設計の変更点を決められるため、作業効率も向上します。
大成ロテックのVRを使った災害研修
大成ロテックでは社員研修にVRを使った災害研修を取り入れています。
重機による災害を疑似体験できます。
災害体験だけは現実世界で実習を行うことができませんから、災害体験をすることで災害意識を高める研修となっています。
大東建託の転落を体験するVR研修
大東建託では高所から転落するVR体験型の研修があります。
VRをつけているときは風の音や街の音もリアルに聞こえるため、臨場感がかなりあるそうです。
研修参加者の中にはリアルすぎて怖くなってしまう人もいるそうですよ。
実際に現場で転落することはできないため、VRによる転落体験は安全意識を高めますね。
大東建託さんのVR研修を作ったのも積木製作さんです。
また、大東建託ではお客様向けに「VR内見」のシステムをもっています。
物件を検討中のお客様がVRで部屋の内見をできます。
物件ごとに移動する必要がないため、効率的な内見ができますね。
不動産屋さんは繁忙日(土日や3月など)にスタッフ1人が内見同行に出てしまうと、店舗対応が大変になってしまいます。
お客様にあらかじめVR内見してもらって、候補を絞った内見ができるのも業務効率化になりそうですね。
新菱冷熱工業の気流シミュレーションMR
新菱冷熱工業はMRを活用して部屋の中の気流を可視化するシステムを株式会社ソフトウェアクレイドルと共同開発しました。
従来、気流の流れをお客様に伝えるには、紙の資料ではどうしても伝えにくい部分がありました。
MR(複合現実)を使って、実際の空間に気流のプレゼンテーションを織り交ぜることができます。
実際に施工をしたあとにどうなるかを可視化することができるため、お客様も施工前に効果を目で見て判断できます。
また、既存の施設の気流や冷暖房の問題点を可視化することもできるため、営業ツールとしても役立ちます。
MRですので、実際の施工予定現場に行かなくても、どこでも気流シミュレーションを見ることができます。
施工前に気流を見える化してくれるのは施工側にとっても、お客様側にとっても大きなメリットです。
参考:新菱冷熱工業「MR技術による気流シミュレーションの『見える化』」
西松建設のVRを使った研修
西松建設ではVRを使った安全教育研修を実施しています。
今後も研修実施現場を増やしていくそうです。
また、西松建設では理工系分野に興味のある女子学生向けに、VRを使った職業体験を行っています。
建設業に興味をもつ若者が増えそうなすばらしい取り組みですね(^^)
熊谷組のビル風を可視化するVR
熊谷組はビル風を可視化するVRシステムを開発しています。
本来は見えない風速や風向きを可視化することで、顧客側にわかりやすいプレゼンテーションができます。
また、ビル風による作業者の転落事故を防ぐための予測ツールとしても活用されています。
パソコンがなくてもアンドロイドのスマホで確認できるため、場所を選ばずに風のシミュレーションを確認できます。
参考:熊谷組「Virtual Reality(VR)を活用した風環境可視化技術の開発」
積水ハウスのVR設計
積水ハウスでは設計段階の注文住宅をお客様にVRで見てもらう「VR設計」を導入しています。
お客様側は家を建てる前に完成形を確認できるため、マイホームができるのがとても楽しくなります(^^)
また、完成形が見えることで設計変更の指示を出しやすくなります。
施工が始まってからの設計変更を防げる可能性も高まるため、施工側にもメリットがあります。
フリーダムアーキテクツデザインのBIM設計のVR体験
大手設計事務所「フリーダムアーキテクツデザイン」は、BIMで設計したデータをVRで体験できるサービスを開始しています。
注文住宅を施工前にVRで体験することができます。
BIM設計したデータはVRに変換できるため、やはりBIMはこれから主流になるでしょうね。
お客様は設計をVRで事前に確認でき、設計変更があれば施工前に言うことができます。
コンピュータシステム研究所のVR住宅展示場
株式会社コンピュータシステム研究所はハウスメーカー・工務店・リフォーム会社向けにVRで住宅を見ることができる「ALTA for VR」を開発しました。
お客様が住宅展示場に行かなくてもVRで住宅内部を見て回ることができるため、購買意欲を高めます。
3Dプロジェクターで画像を映し出し、お客様は3Dメガネをかけて内覧します。
住宅展示場を持てない工務店やリフォーム会社でもVR展示場を再現できるため、営業力が高まります。
お客様からの指摘でその場で設計変更もできるため、お客様の要望にすぐ応えることができます。
必要なスペースもそこまで大きくないため、あらゆるハウスメーカー・工務店・リフォーム会社が利用可能です。
もしかすると、住宅展示場に行かない時代がくるかもしれませんね(^^)
参考:コンピュータシステム研究所『バーチャル住宅展示場作成システム 「ALTA for VR」』
明電舎のVRによる安全体感教育
明電舎ではVRによる安全体感教育を行っています。
VRを使って、
- 高所からの墜落のVR体験
- 作業台から転落するVR体験
- 火花飛散のVR体験
などをおこなっています。
社員さんの安全教育をリアルな体験で教えられるため、とても有効な研修です。
明電舎の安全体感教育のVRは積木製作さんが作りました。
参考:明電舎「安全体感教育」
引用元:youtube「出張安全体感教育【明電舎公式】」
VRの活用事例
多くの企業でVRなどの活用が進んでいます。
- 西松建設のVRを使った安全教育研修
- 日建設計のBIMデータをCFDソフトに読み込み、室内の温度や風の流れを見れるVR
- 札幌の一二三北路のVRによる安全管理研修
などの活用事例があります。
今後もあらゆる企業でVR・AR・MRの活用事例が増えていくでしょう。
建設会社にVR・ARを提供している企業
建設会社のVR・ARシステムを提供している企業をご紹介します。
建設業界での実績があるため、安心です。
積木製作のVR研修システム
株式会社積木製作は多くの建設会社のVR研修やVRプレゼンテーションツールを作っている企業です。
- 清水建設のBIMを活用したMRシステム
- 大林組の施工管理者向けのVR教育システム
- 明電舎の安全体感教育VR
- 大東建託の転落を体験するVR研修
などは積木製作さんが手がけています。
CG品質の高いVR・ARシステム「VROX」を開発しており、建築・不動産・研修・エンターテイメントなどのコンテンツを多く扱っています。
引用元:youtube『Archi Tours – Farnsworth House【積木製作 | VROX】 360VR unity4 VR』『【積木製作_VROX】安全体感VRトレーニング 002車両基地構内における危険体験』『恐竜戯画【積木製作 | VROX】 Unity4 Dinosaur 360VR』
システムの価格は数十万円台のものもあるため、企業としては導入しやすいですね。
参考:積木製作「VROX」
NECソリューションイノベータのVR・AR
NECソリューションイノベータではVR・ARシステムを提供しています。
- VR研修システム
- ARによる遠隔作業補助システム
- BIMデータをVRに変換するシステム
などを扱っています。
NECソリューションイノベータさんも建設業界で多くの実績があります。
参考:NECソリューションイノベータ「建設業向けVR・ARソリューション」
まとめ
VR・AR・MRなどを活用することで、
- 現実ではできない転落などの体験ができる
- 研修をするのに全員が一箇所に集まる必要がない
- 狭いスペースでも研修できるため、研修センターを造る必要がない
- BIMデータをVRデータにすることで、設計段階の建物を見ることができる
- ベテラン作業員が経験の浅い作業員に遠隔で業務支援ができる
- お客様に完成形の建物を見せられる
- お客様に設計段階のVR画像を見せることで施工前に設計変更ができる
- 重機の遠隔運転ができる
- 本来は見えない風や空気を可視化できる
など、多くのメリットがあります。
今まで非効率だったことが一気に効率的になりますね(^^)
建設業界は人材不足が問題視されていますが、VR・AR・MRは人材不足問題も解消するでしょう。
VR・AR・MRを活用することで、少ない人数で多くの仕事をこなし、利益を最大化することもできるでしょう。
また、若者たちにVR・AR・MRで建設現場を体験してもらうことで、建設業界に興味を持ってもらうこともできるでしょう。
今後のVR・AR・MRの技術革新もたのしみですね(^^)
ちなみに、VR・AR・MRの進化とともに、建設ロボットの進化も進んでいます。
建設ロボットについては、
建設工事の自動化ロボットの開発が進んでいますにまとめているので、興味あれば読んでみてください(^^)