2024年に建設業でも36協定が適用され残業規制【給料は減るのか】

36協定が建設業でも適用される【現場に浸透できそうな3つの理由】
施工管理の男性
施工管理の男性
36協定が建設業でも適用されて、残業時間の上限ができるって聞いたけど、ホントなの?

あと、いつから適用なの?

正直、残業時間の上限ができるのはうれしい!

ただ、給料が減るのは困るなぁ…

こういった疑問に答える記事です。

この記事の内容は下記のとおり。

  • 2024年から建設業でも時間外労働の上限規制が始まる理由
  • 建設業界で残業が多い6つの理由
  • 36協定が建設業でも適用される【条件や適用までのスケジュールを解説】
  • 建設業が36協定の導入や残業規制に向けてやるべきこと10選
  • 36協定は建設業の現場では無理なのか?【できそうな理由を4つ紹介】

私たちワット・コンサルティングは、施工管理の転職サポートを行う会社です。

残業時間の上限が設けられている施工管理の求人も紹介しています。

2024年4月から建設業でも36協定が適用され、残業時間の上限が設けられます。

従来は36協定対象外でしたが、労働基準法が改正されたことで適用されることになりました。

今より働きやすい環境で働きたい人は、最後まで読んでみてください!

未経験_施工管理

目次

結論、他の業界に比べて残業が多すぎたから。

国土交通省のデータによると、残業時間や出勤日数は下記のとおり。

出典:国土交通省「建設業の働き方改革の現状と課題

これまで建設業界には、残業時間の上限を設定する36協定がなく、無制限に残業できてしまう状態でした。

ですが、それだと若い人材が入ってこないということで、大きな問題になっていました。

建設産業の現状と課題

出典:国土交通省「建設産業の現状と課題

人が辞めないためにも、若い人材が入ってくるためにも、36協定で残業時間の上限設定が必要となったわけです。

建設業界で36協定や残業規制が進まなかった理由

建設業界で36協定や残業規制が進まなかった理由の1つは、人材不足が続いており、環境を整えにくかったからです。

  • 2011年〜:東日本大震災の復興工事
  • 2013年〜:東京五輪の工事がスタート

このように大型の工事が続いていたこともあり、36協定や残業規制が進まなかった背景があります。

ですが、2024年から本格的に改革がスタートします。

建設業界は年間休日も少ない傾向|週休2日が推進されている

建設業界は年間休日も少ない傾向です。

建設業の働き方改革の現状と課題

出典:国土交通省「建設業の働き方改革の現状と課題

これを受けて2024年の働き方改革では、週休2日の導入が推進されています。

週休2日については、建設業の週休2日は2024年から実施予定【ただし義務化ではない】を参考にどうぞ。

建設業に残業が多い6つの理由を解説

時計

建設業界に残業が多い理由は下記の6つです。

  1. 人材不足だから
  2. 工事の期限が決められているから
  3. 緊急対応が多いから
  4. 事務作業が多いから
  5. 価格競争が起きているから
  6. 繁忙期と閑散期に差があるから

1つずつ解説します。

【理由1】人材不足だから

建設産業の現状と課題

出典:国土交通省「建設産業の現状と課題

建設業界は人材不足です。

人が足りない=1人当たりの残業時間が増えていきます。

【理由2】工事の期限が決められているから

工事には完成期限があります。

スケジュールが遅れていれば、残業して間に合わせなければいけません。

工事のスケジュールが遅れる主な原因は下記のとおり。

  • 天候不良で工事が進まない
  • トラブルが発生して工事が遅れる
  • 手戻りが発生して時間がかかってしまう

建設工事における適正な工期設定等のためのガイドラインによると「発注者との協議の上で工期を変更できる」とされています。

2024年から始まる働き方改革で、発注者に理解を求めていくそうです。

詳しくは、適正な工期設定・施工時期等の平準化にまとめています。

【理由3】緊急対応が多いから

建設工事は、下記のような緊急対応が多いです。

  • 近隣トラブル
  • 現場で人間関係トラブルが発生
  • 資材発注ミスで工事が進まない
  • 天候不良によるスケジュール変更

こうした緊急対応があるため、思い通りに工事が進まず残業が増えることがあります。

【理由4】事務作業が多いから

建設業は下記のような事務作業が多いです。

  • 施工図の作成
  • 工程表の修正
  • 現場の写真整理
  • 日報や月報の作成
  • 各種報告書の作成
  • 行政に提出する書類作成など

特に施工管理は現場が終わってから事務作業を進めることが多く、残業が増えがちです。

参考:施工管理の事務作業11選【転職前に勉強しておくといい3つのこと】

【理由5】価格競争が起きているから

代表的な原因は資材高騰です。

最近の建設業を巡る状況について

出典:国土交通省「最近の建設業を巡る状況について

結果、競争が激化して「時間的に余裕がない請負契約」になってしまい、残業が増えるケースがあります。

【理由6】繁忙期と閑散期に差があるから

建設業界は繁忙期と閑散期の差が大きいです。

  • 公共工事:年度末が忙しい/4~6月が閑散期
  • 建築業界:9月末や12月~3月は決算期で忙しい

繁忙期はどうしても残業が増えがちです。

月60時間超の時間外労働で割増賃金率が引き上げ

2023年4月から、中小企業でも月60時間超の残業は割増賃金率が引き上げられました。

働き方改革 ~ 一億総活躍社会の実現に向けて ~

出典:厚生労働省「働き方改革 ~ 一億総活躍社会の実現に向けて ~

企業にとっては負担が増えるため、残業時間を抑制する働きが期待されています。

36協定が建設業でも適用される【条件や適用までのスケジュールを解説】

2024年4月から建設業も36協定が適用され、残業時間の上限が設けられます。

2018年に成立した「働き方改革関連法案」で、建設業も36協定が適用されることになったのです。

※36協定=労働基準法36条

そもそも、労働基準法では下記のとおり労働時間が定められています。

  • 労働時間:1日8時間および1週40時間
  • 休日:毎週少なくとも1日

これを超える場合は、会社と労働者・労働組合が36協定を締結し、労働基準監督署へ届出が必要があります。

36協定の残業時間の上限は1ヶ月45時間以内かつ年間360時間以内

36協定では、残業時間の上限を下記のように定めています。

  • 1ヶ月:45時間以内
  • 1年間:360時間以内

原則的には、上記の残業時間以下にする必要があります。

特別条項の36協定|1ヶ月100時間未満かつ年間720時間以内

ただし、建設業はどうしても残業体質なので、特別な事情があれば残業時間を延長できます。

「特別な事情」は下記のとおり。※特別条項付き36協定といいます。

  • 年間720時間を上限とする
  • 2~6ヶ月それぞれの平均で80時間以内(休日労働含む)
  • 1ヶ月で100時間未満(休日労働含む)
  • この特例の適用は、年6回まで

特別な事情とはいえ、従来のように残業無制限ではありません。

いずれにせよ、残業時間の上限が設定されます。

参考:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「時間外労働の上限規制わかりやすい解説

2024年の法改正では36協定に違反すると罰則がある

36協定に違反すると「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が課せられます。

これは事業者だけでなく、残業を命じた上司も罰則の対象です。

規制を大幅に超えて悪質に残業・休日出勤させた場合は、厚生労働省が企業名を公表することもあります。

建設業の36協定が適用除外になるケース【災害復旧・復興の場合】

ただし、災害時の復旧・復興工事が必要な際は、下記の要件は36協定の適用除外になります。

  • 1ヶ月あたり月100時間未満
  • 2~6ヶ月で平均80時間以内

災害復旧・復興工事など緊急時以外は、残業時間の上限が設定されるイメージです。

建設業の36協定は2024年に向けて段階的に残業時間の上限を設定|猶予期間あり

一般社団法人日本建設業連合会では、2024年までに段階的に残業時間の上限を設ける動きを進めてます。

会社側も、いきなり体制を変えられないです。

時間外労働の適正化に向けた自主規制の試行について

出典:一般社団法人日本建設業連合会「時間外労働の適正化に向けた自主規制の試行について

表に整理すると下記のとおり。

時期条件
2019年4月~
  • 年間960時間以内
  • 6ヶ月で80時間以内
  • 1ヶ月で100時間未満
2022年4月~
  • 年間840時間以内
  • 4~6ヶ月の平均で80時間以内
  • 1ヶ月で100時間未満
2024年4月~
  • 年間720時間以内
  • 2~6ヶ月それぞれの平均で80時間以内(休日労働含む)
  • 1ヶ月で100時間未満(休日労働含む)
  • この特例の適用は年6回まで

なお2024年3月までは、会社の自主的な取り組みとなるため義務ではありません。

ですが、2024年には完全義務化されます。

残業時間の上限が設けられるので、今より働きやすくなる可能性が高いです。

階段を登る技術者たち

建設業が36協定の導入や残業規制に向けてやるべきことは、下記の10個です。

  1. 36協定届出書を労働基準監督署に提出する
  2. 適切な工期を設定する
  3. 正確な勤怠管理方法とシステムを導入する
  4. ICT・アプリなどを使った業務効率化
  5. 給与体系・給与計算を見直す
  6. 週休2日制を導入する
  7. 有給休暇を取りやすい制度・ルールを作る
  8. 人材の確保と定着を図る
  9. 下請企業も残業時間の上限規制を超えないようにする
  10. 安全に働ける環境づくりを徹底する

これらを実施することで、人材確保など競争力が向上するかもしれません。

1つずつ解説します。

①36協定届出書を労働基準監督署に提出する

労働者との間で36協定届出書を作成したら、労働基準監督署に提出しましょう。

未提出の場合も、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が課せられます。

36協定届出書の作成方法は後述します。

②適切な工期を設定する

工期が短すぎると、残業が増えてしまうから。

適切な工期を設定するために、下記も参入しましょう。

  • 建設業者が施工に先だって行う労務・資機材の調達、調査・測量、現場事務所の設置など準備期間(30~90日)
  • 施工終了後の自主検査、後片付け、清掃などの期間(最低でも20日間)
  • 降雨・降雪・出水期など作業不能日数(施工に必要な実日数に雨休率を掛けた日数。雨休率は地域ごとの数値を適用するか0.7を用いることも可能)
  • 用地買収・建築確認・道路管理者との調整、工事着手前に発注者が対応すべき事項がある場合は、その手続きに要する期間
  • 過去に同種類の似た工事で、当初の予定より長い工期を要したケース

参考:建設工事における適正な工期設定等のためのガイドライン

③正確な勤怠管理方法とシステムを導入する

勤怠管理が曖昧だと、正しく残業時間を計測できないからです。

改めて勤怠管理の方法を見直す必要があるでしょう。

勤怠管理システムを導入するのもおすすめです。具体的には下記のシステムが代表的です。

④ICT・アプリなどを使った業務効率化

システムでもできる業務を移行すれば、労働時間を減らせるから。

具体的には下記のようなICTツールがあります。

  • ICT建機
  • BIM/CIM
  • VR/AR/MR
  • 測量用のドローン
  • 施工管理向けアプリ

詳しくは下記の記事を参考にどうぞ。

⑤給与体系と給与計算を見直す

残業代が減ると、シンプルに収入が減ってしまうから。

従業員の収入ダウンにならないよう、基本給のベースアップなどを検討する必要があります。

⑥週休2日制を導入する

残業時間が減っても、休日出勤が増えたら意味がないから。

2024年から始まる働き方改革でも週休2日が推奨されています。

建設工事における適正な工期設定等のためのガイドラインでは、工期設定の際も「週休2日を維持できるように工期を組む」と書かれており配慮が必要でしょう。

週休2日については、建設業界の週休2日制は2024年から実施予定【ただし義務化ではない】も参考にどうぞ。

⑦有給休暇を取りやすい制度・ルールを作る

働きやすい環境を作ることで、優秀な人材を確保しやすくなるから。

2024年から「年5日間の有給休暇取得」が義務化されます。

働き方改革 ~ 一億総活躍社会の実現に向けて ~

出典:厚生労働省「働き方改革 ~ 一億総活躍社会の実現に向けて ~

他にも、下記のような休暇制度を整えると良いでしょう。

  • 育休・産休
  • 夏季休暇
  • 年末年始休暇
  • リフレッシュ休暇など

⑧人材の確保と定着を図る

人材が流出してしまうと、残業が増えてしまうから。

具体的には、下記のような対策が必要になるでしょう。

  • 36協定の締結
  • 週休2日制の導入
  • 休暇制度を整えるなど

また、人材の確保は旧来のハローワークや転職サイトの求人に限らず、SNSやYouTubeを使った募集も若手人材の獲得には有効でしょう。

京都の山下組では、SNSを使って若手人材の採用に成功しています。

⑨下請企業も残業時間の上限規制を超えないようにする

建設工事における適正な工期設定等のためのガイドラインによると、元請企業は下請企業に対して時間外労働の上限規制に違反しないように、適正な工期を設定しなければいけないとされています。

元請企業は自社だけでなく、下請企業の工期設定も配慮しましょう。

安全に働ける環境づくりを徹底する

現場で事故があると、作業員さんがケガをしてしまうだけでなく、現場のスケジュールが遅れてしまうからです。

具体的には、以下などで改善点がないか考えてみると良いでしょう。

  • 安全教育・トレーニング
  • 定期的な安全パトロール
  • 現場の整理整頓
  • 適切な保護具の着用
  • 機器・道具の定期的な点検・保守
  • 安全看板や警告標示の設置
  • コミュニケーションの促進
  • 環境条件のチェック
  • 非常時の対応計画の策定
  • 作業員の健康管理
パソコン操作

そもそも36協定の届出書とは「時間外労働・休日労働に関する協定届」といいます。

36協定は会社ごとではなく、事業所ごと(現場ごと)で締結します。

※現場によって労働時間・残業時間が違うから

おおまかなルールは下記のとおり。

  • 協定の起算日を決めて、その日から1年間の期日を作る
  • 1日・1ヶ月・1年ごとに法定労働時間を超える時間数を決めて記載
  • 残業する具体的な理由を業務ごとに記載
  • 変形労働時間制で労働する人と、それ以外の人を分ける

下記のように限度時間内の協定では、様式第9号を使用します。

  • 1ヶ月:45時間以内
  • 1年間:360時間以内

時間外労働の上限規制わかりやすい解説

出典:厚生労働省「時間外労働の上限規制わかりやすい解説

36協定の特別条項(様式第9号の2)の記載例

時間外労働の上限規制わかりやすい解説

出典:厚生労働省「時間外労働の上限規制わかりやすい解説

限度時間を超える場合は、様式第9号の2を使用します。

様式第9号の2では、下記なども記載します。

  • 限度時間を超えるケースや業務の種類
  • 限度時間を超える労働者の人数
  • 1日・1ヶ月・1年ごとに延長する時間数
  • 残業を実行する場合の手続きのやり方
  • 労働者の健康を保持するための具体的な対策

【ただし】建設業の36協定の猶予特例は様式第9号の4を使用する

前述の2024年3月までの猶予期間中の特例を用いて36協定を作成する場合は、様式第9号の4を使用します。

厚生労働省から36協定の作成支援ツールも出ているため、活用してみてください。

難しい場合は、社会保険労務士などに相談するのもおすすめです。

2024年4月からは36協定の届出書は新様式に変わる

ちょっと先の話ですが、2024年4月から36協定の届出書は新様式に変わります。

厚生労働省の36協定に関するサイトをチェックして、対応していきましょう。

2024年問題!36協定は建設業の現場では無理と言われる理由

36協定は建設の現場に浸透するのか?【できそうな理由を3つ紹介】
施工管理の男性
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そうはいっても、長らく続いてきた建設業の慣習を変えて、

残業時間を短くするのは難しいんじゃないの?

一般的に、建設業で36協定や残業規制が無理と言われる理由は以下のとおりです。

  • 労働時間を把握しにくく集計に時間がかかるから
  • 残業規制の管理体制が整っていない会社が多いから
  • 休日が曖昧で休日出勤の管理がしにくいから
  • 建設業界が残業規制すると給料が減るかもしれないから

1つずつ解説していきます。

労働時間を把握しにくく集計に時間がかかる

以下のような理由で、従業員の労働時間を把握しにくく、集計に時間がかかるため正確な残業時間を計測しにくい面があります。

  • 各現場での労働時間の情報を集約するのが難しいから
  • 大規模な現場では個々の休憩時間を把握するのが難しいから
  • 手書きのタイムカードや出勤簿が使用されておりデータ化が難しいから
  • 多数の下請会社があると各社で労働時間の管理方法が違い一元化が難しいから
  • 天候や工程の進行状況など予定外の休日出勤や夜間労働が発生することがあるから

残業規制の管理体制が整っていない会社が多い

建設業界では、以下のような理由で残業規制の管理体制が整っていない会社が多いため「36協定は無理」と言われることがあります。

  • 長時間労働が美徳として評価される文化や慣習が根付いているから
  • 建設業界の一部では労働組合の影響力が弱く残業交渉をしにくいから
  • 正社員、契約社員、派遣社員など管理体制を一元化することが難しいから

休日が曖昧で休日出勤の管理がしにくい

以下の理由で休日出勤の管理をしにくいため、労働時間の管理が難しいと言われることがあります。

  • 救急の工事が発生するから
  • 現場に泊まり込みの場合はいつでも仕事ができてしまうから
  • 休日出勤手当や報酬の取り決めが不明瞭な会社があるから

建設業界が残業規制すると給料が減る?【体を壊したら元も子もない】

施工管理の男性
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でも、残業がへったら残業代が減るから、給料も減るんじゃない?

くりかえしですが、残業時間の上限ができてしまうと、残業代で稼いでいた人は給料が減ることもあるでしょう。

ですが、そもそも労働基準法や36協定で残業時間の上限を設定している理由は、上限を超えて働くと健康を害するからです。

もちろん個人差はありますが、一般的には「月100時間以上の残業、もしくは2〜6ヶ月の残業が平均80時間以上」だと体を壊す恐れがあると厚生労働省が提唱しています。

参考:厚生労働省「過重労働による健康被害を防ぐために

当たり前ですが、体を壊してしまっては元も子もありません。

健康に働くためにも、残業時間の上限を設けることは重要なのです。

また、残業規制をしつつ、月の給料が減らないように対処している会社もあります。

具体的な事例は、建設業界の働き方改革の事例|中小企業の生産性向上の具体例アリを参考にどうぞ。

建設業で36協定や残業規制

一方で、36協定や残業規制を実現できそうな理由もあります。

  • 業界全体で発注者に工期の理解を求める
  • 建設業界のIT化
  • 外国人労働者を受け入れて人材不足を補う
  • 建設業界全体で働き方改革の意識が高まっている

こちらも1つずつ解説します。

①業界全体で発注者に工期の理解を求める

残業時間を増やしている原因は「工期」です。

工期が決められてるから、天候不良やトラブルが続けば、どうしてもしわ寄せがきます。

「ラストスパートは休みなし」という現場もあるでしょう。

これは発注者側の理解を求めることが重要です。

だから、法改正を理由に発注者に理解を求める方法が考えられてます。

国土交通省の「建設業における働き方改革」の中でも、下記のように記されています。

建設業における長時間労働の是正を実現するためには、発注者の理解と協力が不可欠であること から、発注者を含めた関係者で構成する協議会の設置など必要な環境整備を推進。

引用元:国土交通省「建設業における働き方改革

業界全体で工期を伸ばす方向で動いていくので、いずれは工期に余裕が出てくる可能性があります。

②建設業界のIT化

建設業界では、IT化の波が進んでいます。

国も「i-Construction」を掲げて、建設業界のIT化を推し進めています。

先ほども少しふれましたが、具体例は下記のとおり。

  • AIロボットによる工事の無人化
  • ドローンによる測量・設計・施工・管理
  • BIM・CIMで、設計の手間を大幅削減
  • 3Dプリンターによる無人化施工

「ロボットに工事をさせて人間は管理するだけ」というイメージです。

これが実現すると、女性や高齢者も建設業で働けます。

もちろんすぐ実現するのは難しいですが、確実にIT化技術は進歩しています。

もしかすると10年後の建設業は、今とまったく違う姿になってるかもしれませんね。

建設業界のIT化については、ICTが建設業界で進んでます【機械の事例やメリットと課題も解説】にまとめています。

③外国人労働者を受け入れて人材不足を補う

人材不足を解消するために、外国人労働者の受け入れも進んでいます。

このままいくと、2025年には建設人材が47万~93万人不足するといわれています。

建設産業の現状と課題

出典:国土交通省「建設産業の現状と課題

「人材不足=1人当たりの労働時間が増える」という意味なので、人材確保は残業時間を減らすために必須でしょう。

ところが、日本人に建設業界は不人気のため、なかなか人が集まらない状態です。

そのため、外国人労働者を受け入れているわけです。

建設産業の現状と課題

出典:国土交通省「建設産業の現状と課題

言葉の壁はあるものの、翻訳システムの進化もあり、だんだんと言葉の壁は解消していく可能性があるでしょう。

④建設業界全体で働き方改革の意識が高まっている

国や大手ゼネコンを筆頭に、建設業界の働き方改革が進んでいます。

具体的な動きは下記などがあります。

  • 週休2日の実施
  • 建設キャリアアップシステムで適正な評価と給料を実現
  • 社会保険未加入業者へのペナルティ
  • 5日の年次有給休暇の義務化
  • 勤務時間インターバル制度
  • 月60時間超の残業代は50%アップ

このように、業界全体が「働き方改革をすべき!」という意識になっているため、残業時間の上限設定も実現していくことでしょう。

詳しくは、2024年に始まる建設業界の働き方改革12選!無理といわれる理由にまとめています。

【ちなみに】36協定がある会社の求人を探す方法

冒頭でもふれましたが、私たちワット・コンサルティングは施工管理の転職サポートを行う会社です。

きちんと36協定が締結されている会社の求人も紹介しています。

「あまり残業したくない!」という人は、情報収集に活用してみてください。

建設業界の残業規制や36協定

最後に、建設業界の残業規制や36協定でよくある質問に答えていきます。

建設現場への移動時間は労働時間に含まれる?

一般的に、通勤時間は労働時間に含まれませんが、現場→現場の移動は労働時間に含まれます。

詳しくは、厚生労働省のサイトを参考にどうぞ。

建設業の週休2日制・4週8休はいつから義務化されますか?

週休2日制・4週8休が義務化される予定はありません。

あくまで推進されているだけです。

週休2日制を義務化するには、労働基準法の改正が必要であり、2024年の働き方改革では週休2日を義務化する変更はありません。

詳しくは、建設業の週休2日は2024年から実施予定【ただし義務化ではない】にまとめています。

国土交通省の建設業働き方改革加速化プログラムとは?

以下を推進するプログラムです。

  • 長時間労働の是正
  • 週休2日の推進
  • 発注者に適正な工期を推進
  • 建設キャリアアップシステムの普及
  • 社会保険加入の推進
  • ICTを活用して生産性の向上

詳しくは、2024年問題!建設業界の働き方改革12選|無理といわれる理由にまとめています。

まとめ【建設業でも36協定が適用されます】

この記事をまとめます。

  • 36協定が建設業でも適用される
  • 36協定の残業時間の上限は1ヶ月45時間、1年間360時間
  • 特別な事情があっても、残業時間は年間720時間までが上限
  • 2024年の法改正適用で36協定違反は罰せられる
  • 発注者への理解・IT化・外国人労働者で残業時間の上限を実現できるかもしれない

結論、今後はもっと働きやすくなっていく可能性があります。

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