やっぱり1級は、けっこう難しいのかな…
どれくらい前から、どういう勉強をすればいいのかな?
こういった疑問や不安に答える記事です。
本記事の内容は下記のとおり。
- 建設業経理士1級試験の難易度を合格率などで解説
- 建設業経理士1級は独学でも合格できる【テキストと過去問で勉強】
建設業経理士1級の難易度をまとめました。
建設業経理士は、建設業独特の会計業務を行う資格です。
1級は最上級資格で、資格をもっていると転職に有利になります。
今後も安定して稼ぐためにも、建設業経理士1級に挑戦してみましょう。
試験勉強の参考にしてください。
建設業経理士1級試験の難易度を合格率などで解説
建設業経理士1級の難易度を、
- 合格率
- 過去問
- 受験資格
- 合格基準
の視点から解説します。
けっこう難易度は高めの試験なので、心してかかりましょう。
建設業経理士1級の合格率からみる難易度【財務諸表・原価計算・財務分析ごとに紹介】
建設業経理士1級の合格率を、
- 財務諸表
- 原価計算
- 財務分析
ごとに解説します。
建設業経理士の試験は、
- 財務諸表
- 原価計算
- 財務分析
の3科目があり、5年以内に3科目に合格すると1級に合格できます。
財務諸表試験 | 合格率 |
令和元年9月 | 20.5% |
平成31年3月 | 24.4% |
平成30年9月 | 27.9% |
平成30年3月 | 26.6% |
平成29年9月 | 27% |
過去5回の平均合格率 | 25.2% |
原価計算試験 | 合格率 |
令和元年9月 | 16% |
平成31年3月 | 23.1% |
平成30年9月 | 29.7% |
平成30年3月 | 24.8% |
平成29年9月 | 27.6% |
過去5回の平均合格率 | 24.2% |
財務分析試験 | 合格率 |
令和元年9月 | 30.3% |
平成31年3月 | 26.6% |
平成30年9月 | 28.3% |
平成30年3月 | 26.2% |
平成29年9月 | 42.3% |
過去5回の平均合格率 | 30.7% |
参考:一般財団法人建設業振興基金「建設業経理検定」
ざっくりいうと、10人中2~3人しか合格できないので、難易度は高めです。
ちなみに、建設業経理士2級の合格率は30~40%台なので、1級の難しさがわかりますね。
日商簿記を勉強している人向けに、日商簿記試験との難易度をまとめると下記のとおり。
難しい順に並べると、
- 日商簿記1級
- 建設業経理士1級
- 日商簿記2級
の順番かなと。
日商簿記1級に合格している人には難しくないですが、日商簿記2級の人には難しい試験です。
建設業経理士1級の過去問からみる難易度
建設業経理士1級の過去問を見てみましょう。
- 財務諸表
- 原価計算
- 財務分析
から過去問をピックアップしてみました。
過去問を見て「わからない…」という人は、しっかり勉強しましょう。
まず、財務諸表の過去問です。
〔第4問〕A社は、次の<資料>で示す設備を当期首(20╳1 年4月1日)に購入し、使用を開始した。なお、代金は約束手形 (期日:20╳1 年6月 30 日)を振り出して支払った。これに関して、下の設問に答えなさい。 (14 点)
<資料>
1.取得原価は 30,000,000 円、耐用年数は年、減価償却は残存価額をゼロとした定額法による。
2.使用終了時には当該設備を除去する法的義務があり、除去に要する支出額は 2,000,000 円と見積もられる。なお、割引率は2%とする。
問1 当該設備の取得原価を計算しなさい。なお、計算過程で端数が生じる場合には、千円未満の端数を切り捨てること。
問2 当期末時点(20╳2 年3月 31 日)での時の経過による資産除去債務の調整額を計算しなさい。
問3 当該設備の当期の減価償却費を計算しなさい。
引用元:一般財団法人建設業振興基金 建設業経理検定「第26回建設業経理士検定試験1級財務諸表試験問題」
続いて、原価計算の過去問です。
〔第1問〕 次の問に解答しなさい。各問とも指定した字数以内で記入すること。 (20 点)
問1 基本予算と実行予算の関係および実行予算の種類について説明しなさい。(200 字以内)
問2 販売費及び一般管理費は注文獲得費、注文履行費、全般管理費の三つに機能別に区分されるが、それぞれの特質と予算 管理の方法について説明しなさい。(300 字以内)
引用元:一般財団法人建設業振興基金 建設業経理検定「第26回建設業経理士検定試験1級原価計算試験問題」
最後に、財務分析の過去問です。
〔第1問〕 次の問に答えなさい。解答にあたっては、各問とも指定した字数以内で記入すること。 (20 点)
問1 建設業の流動性分析では、一般産業における分析指標とは異なる計算方法が用いられる。この建設業特有の計算方法に 触れながら、流動性分析の意義について説明しなさい。(250 字以内)
問2 流動性分析や健全性分析に加えて、資金変動性分析が必要な理由について説明しなさい。(250 字以内)
引用元:一般財団法人建設業振興基金 建設業経理検定「第26回建設業経理士検定試験1級財務分析試験問題」
怖いのは、途中で間違えるとずっと間違えるタイプの問題もあること。
きちんと基礎ができてないと点数が取れないのはもちろん、1つのミスが大きく響きます。
試験時間が90分しかないので、見直しの時間も考えると、けっこうスピーディーに解かないといけません。
論述試験もあるので、ペース配分が難しい試験です。
受験資格からみる建設業経理士1級の難易度
建設業経理士1級は、誰でも受験できます。
2級・3級・4級資格がなくても、いきなり1級からの受験も可能です。
ただ、現実的には最低でも2級から受験していくのがおすすめですね。
いきなり1級は難しいので。
建設業経理士2級については、
建設業経理士2級の難易度を過去問や合格率から分析してみたにまとめたので、2級から受験を考える人は読んでおきましょう。
合格基準からみる建設業経理士1級の難易度
建設業経理士1級の合格基準は、100点満点中70点以上です。
30%は間違えられるわけですが、1問の配点が大きいので間違えるとダメージが大きいです。
前述のとおり、1つのミスで間違いが連鎖する問題もあるので、70点以上は決して楽じゃないです。
建設業経理士1級の試験情報
建設業経理士1級の試験情報を紹介します。
詳しくは、建設業経理士試験を主宰している一般財団法人建設業振興基金のホームページを確認しましょう。
試験は上期と下期があります。
上期試験 | |
申込み | 5~6月 |
試験 | 9月 |
合格発表 | 11月 |
試験時間 | 90分 |
受験料 | 1科目受験:7720円2科目同時受験:10910円
3科目同時受験:13990円 |
下期試験 | |
申込み | 11~12月 |
試験 | 3月 |
合格発表 | 5月 |
試験時間 | 90分 |
受験料 | 1科目受験:7410円2科目同時受験:10600円
3科目同時受験:13680円 |
参考:一般財団法人建設業振興基金「建設業経理検定」
1日で3科目受験も可能です。
※ちなみに、3科目同時受験だと受験料が安いです。
自信がある人は1日で3科目受験してもいいでしょう。
ただ、1年に2回チャンスがあるので、きちんと合格したい人は1科目ずつ確実に合格していきましょう。
建設業経理士1級を取得するメリット【転職が有利になる】
建設業経理士に合格すると、転職が有利になります。
建設会社が公共工事を受注するための「経営事項審査」の点数になるからです。
- 建設業経理士1級:1点
- 建設業経理士2級:0.4点
つまり、建設会社は建設業経理士を雇用することで、公共工事を受けやすくなります。
なので、2級以上は重宝されます。
資格手当がつく会社もあるので、2級以上を目指しましょう。
※3級と4級は経営事項審査の点数がつきません。
建設業経理士1級は独学でも合格できる【テキストと過去問で勉強】
結論、建設業経理士1級は独学でも合格できます。
用意するものは、下記の2つ。
- テキスト
- 過去問集
まずはテキストで基礎を勉強して、あとは過去問集をひたすら繰り返し解きましょう。
過去問からの出題が多いので、基本は過去問を繰り返し解けば合格できます。
建設業経理士1級試験の合格ポイント
試験時間が90分しかない割に、問題のボリュームがあるので、けっこう大変な試験。
特に文章が苦手な人は、第1問の論述問題が鬼門です。
時間がないので、スムーズに文章を構築して文章化していく必要があります。
コツはいきなり文章を書き始めるのではなく、ある程度文章の構成を組み立ててから書くこと。
論述問題でつまづくと後ろの問題を解く時間がなくなるので、苦手な人は論述問題を後回しにするのもアリですね。
各試験の配点から見える試験対策
財務諸表・原価計算・財務分析の配点から、試験対策を紹介します。
- 勉強期間をあまり取れない人
- 効率的に勉強したい人
は参考にしてください。
財務諸表の試験対策
論述問題 | 20点 |
虫食い問題 | 14点 |
ABの選択問題 | 16点 |
計算問題 | 14点 |
精算表の作成 | 36点 |
最終問題の、精算表の作成が高配点です。
ただし、最終問題は総合力が問われる問題なので、基礎力が必要。
結論、過去問集を中心にまんべんなく点数をとれるように勉強しましょう。
ちなみに、財務諸表は日商簿記の知識が使えるので、簿記に慣れてる人は有利です。
特に対策が必要なのは、論述問題ですね。
論述問題の過去問で、文章のパターンをある程度作っておくと、試験本番のペース配分が良くなります。
原価計算の試験対策
論述問題 | 20点 |
虫食い問題 | 10点 |
計算問題 | 18点 |
虫食い問題とABの選択問題 | 18点 |
完成工事原価報告書の作成や計算問題 | 34点 |
前述の財務諸表と同じく、原価計算でも日商簿記の知識が使えます。
論述問題に慣れるために、過去問で文章の練習をしてください。
最終問題の配点が大きいですが、これも総合問題なので、全体的な知識が必要。
同じく、過去問を中心に繰り返し勉強しましょう。
財務分析の試験対策
論述問題 | 20点 |
虫食い問題 | 15点 |
計算問題 | 20点 |
計算問題 | 15点 |
計算問題と虫食い問題 | 30点 |
財務分析の特徴は、最終問題の配点が30点であること。
第1問~第4問で、合格基準の70点を作ることができます。
ただし財務分析は、日商簿記では勉強しない知識が必要です。
日商簿記をわかってる人も、財務分析は重点的に勉強してください。
独学におすすめのテキストと過去問題集
建設業経理士1級の独学におすすめのテキストと問題集は、下記のとおり。
できれば書店に行って、パラパラとページをめくってみましょう。
合う合わないがあるので、あなたがわかりやすいと感じる本を選ぶのがコツです。
また、簿記の知識がない人は、まずこちらから勉強しましょう。
このテキストで簿記の基礎を勉強してから、建設業経理士1級のテキストと問題集を買ってください。
建設業経理士1級の勉強期間の目安
建設業経理士1級の勉強期間の目安は、簿記スキルによって変わります。
おおよその勉強期間は下記のとおりです。
日商簿記1級をもってる人 | 1~2ヶ月 |
日商簿記2級をもってる人 | 2~3ヶ月 |
簿記の知識がない人 | 9~10ヶ月 |
平日2時間、土日4~5時間くらいの勉強を想定して計算しました。
前述のとおり、簿記の知識がない人はまず簿記の勉強から始めてください。
- 日商簿記2級の勉強
- 建設業経理士1級の勉強
の順でやりましょう。
正直、簿記の知識がない人は、建設業経理士2級から挑戦するのがおすすめ。
まずは2級に合格してから1級を狙う方が、無難です。
建設業経理士2級については、
建設業経理士2級の難易度を過去問や合格率から分析してみたにまとめています。
まとめ【建設業経理士1級の難易度は高いので、しっかり勉強する】
この記事をまとめます。
- 建設業経理士1級の合格率は20~30%台なので、難しい試験
- 1つのミスが大きく失点につながる、難しい試験
- 建設業経理士があると、経営事項審査の点数になるので転職に有利
- 建設業経理士1級は、テキストと過去問題集の独学で合格できる
- 論述試験は練習が必要【文章が苦手な人は重点的に勉強しておく】
- 簿記の知識がない人は、2級からの受験も検討する
建設業経理士1級の試験勉強の、参考になればうれしいです(^^)