足場の施工管理に携わることになったけど、何をすればいいかわからない…
足場の施工管理業務について詳しく知りたい。
こういった疑問に答える記事です。
この記事でわかること
- 足場の施工計画8つの手順
- 足場の安全管理5つの手順
- 施工管理者が取得すべき2つの資格
私たちワット・コンサルティングは、施工管理の転職サポートを行う会社です。
足場の施工管理は、建設現場の安全性を確保する上で重要な役割を担っています。
しかし、初めて担当する場合、どのように進めていくべきか不安な方も多いでしょう。
この記事では、足場の施工管理について計画や安全管理、必要な資格などを詳しく解説していきます。
工事を円滑に進めるためにも、最後まで読んでみてください。
この記事の監修者
施工管理の技術者派遣を行う会社。これまで1500名以上の未経験者を施工管理として育成した実績あり。
- 労働者派遣事業許可番号 派13-304593
- 有料職業紹介事業許可番号 13- ユ-304267
- 特定建設業 東京都知事許可 (特-1) 第150734号
足場の施工管理とは
足場とは、高所で作業する際に安全かつ円滑に作業するために設けられる作業床のことです。
仮設であるため、本作業完了後は撤去します。足場には以下の種類があります。
足場の種類 | 内容 |
---|---|
くさび式足場 | くさびで連結した足場。一般的によく使用される |
枠組み足場 | 高所作業で安全に使用できる強度の高い足場 |
単管足場 | 鉄パイプをクランプで繋げて組み立てる足場 |
吊り足場 | 建物の上部から吊り下げて使用する足場 |
移動式足場(ローリング足場) | 下部のキャスターで移動させて使用できる足場 |
脚立足場 | 主に屋内の小規模な作業に使用する足場 |
次世代足場 | 従来に比べて安全面を強化した足場 |
これらの足場は、作業規模やスペースなどの状況に応じて選定が必要なため、施工管理者は適切な知識とスキルを習得しておく必要があります。
詳しくは、厚生労働省が定める労働安全衛生規則に則って管理しましょう。
足場の施工計画8つの手順
足場の管理は以下の手順で行います。
足場を設置する手順
- 地盤や周囲の状況を確認する
- 現場で位置出し
- 足場の計画
- 計算書の作成
- 施工業者と打合せ
- 作業手順書の作成
- 材料の発注
- 工事用車両の手配
1つずつ詳しく解説します。
地盤や周囲の状況を確認する
まずは、足場を設置する場所の周囲の状況や、地盤状態を確認しましょう。
確認するポイント
- 段差がないか
- 水はけは良いか
- のり面はないか
- 障害物はないか
- 軟弱な地盤はないか
これらの懸念点が確認された場合は、必要に応じて以下の対策を実施します。
対策事項
- 地盤改良
- 排水の確保
- 足場設置箇所の変更
現場で位置出し
現場での位置出しでは以下を行います。
位置出しで行うこと
- 資材置場のスペース
- 昇降設備の種類と位置
- 地盤の状態と養生方法
- 資材の搬入・搬出経路
- 必要な高さ、幅、奥行き
- 足場材搬入の工事用車両の選定
- 安全ネット、メッシュシートの使用
- 転落防止措置(手すり、中さん、幅木の設置)
- 特殊な要件(突出部分の処理、曲面への対応など)
- 使用する足場の種類(単管足場、くさび緊結式足場、枠組足場など)
これらの位置出しは、足場を計画する上で重要な項目です。
1つでも欠けると業務に支障をきたす可能性が高いため、漏れなく実施しましょう。
足場の計画
現場で確認した事項をもとに、足場の計画をします。
足場の計画事項
- 最上段作業床の高さ
- 鉛直材の配置
- 水平材の配置
- 昇降階段等の位置
これらを決めておきましょう。
計算書の作成
足場が風や作業荷重に耐えられるかどうかを確認するために、構造計算を行います。
計算する際は、以下の事項に注意して計算しましょう。
構造計算の際の注意点
- 設置場所
- 基準風速
- 足場の風荷重
- 養生シート
なお、足場の耐久度が下回った場合は以下を検討します。
構造計算の対策
- 建枠の有無
- 壁つなぎ有無
- 単管控えの有無
これらを見直して、安全な足場を選定しましょう。
施工業者と打合せ
構造計算まで完了したら、現場の位置出しや足場の計画した内容に加えて、足場を組み立てる業者と以下の打合せをします。
足場業者との打合せ内容
- 落下物防止措置
- 足場の組立て等作業主任者の選任
- 点検計画(日常点検、定期点検の実施方法と頻度)
- 作業員の資格確認(足場の組立て等特別教育修了者など)
施工業者と綿密な打合せをすることも、安全を確保するために重要です。
作業手順書の作成
現地の状況と施工業者の打合せした内容をもとに、作業手順書を作成します。
作業手順書とは、特定の作業や工程を安全かつ効率的に実施するための詳細な指示書を指します。
作業手順書の記載内容
- 作業名
- 作業の目的
- 作業内容
- 作業手順
- 使用する機械・材料
- 担当者
- 過去のトラブル履歴
- 対応策
- 危険性
- 安全対策
- 必要な資格・技能
- 作業環境の確認
- 作業前の準備
- 作業後の確認
これらを網羅し、社内や施工業者と共有しましょう。
材料の発注
足場で使用する材料を発注します。
足場で使用する材料
- 敷板
- 布板
- 幅木
- 単管
- 筋かい
- 支柱材
- 足場板
- 建わく
- アンカー
- 昇降階段
- クランプ
- 継手金具
- 先行手すり
- ブラケット
- 養生シート
- 水平つなぎ材
- ベースジャッキ
- 単管ジョイント
また、足場の種類や強度が不足する場合は、最適な材料を追加しましょう。
工事用車両の手配
足場材を搬入するための車両を手配しましょう。
車両の手配を誤ると現場への入場が困難または不可能になるため、現場の位置出しの際に、工事箇所の入場口や現場を把握しておきます。
具体的に、選定する車両は以下が挙げられます。
足場材を運ぶ車両の種類
- 搭載型トラッククレーン(ユニック):足場材が少ない場合
- ラフタークレーン:足場材が多い場合
また、現場の規模や足場材の数量によってサイズを選定しましょう。
※置き場所が複雑な場合は、当日に現地に立ち会って指示をする場合もあります。
【参考】2024年の法改正により規制が厳正化された
2024年4月から、労働安全衛生規則が改正されています。
改正内容は以下のとおりです。
労働安全衛生規則の改正項目 | 詳細内容 |
---|---|
一側足場の規制 | 原則、幅が1m以上の箇所では本足場を使用し、一側足場を禁止する |
点検者指名の義務化 | 足場の点検を行う際は、あらかじめ点検者の指名が必要 |
足場の作業後の点検者氏名の記録と保存 | 足場の組み立てや解体、変更などの点検後に点検者の氏名の記録・保存が必要 |
このように、より一層厳正化されたため改正を遵守し、作業員の安全確保と現場の適切な管理に努めましょう。
足場の安全管理5つの手順
足場の安全管理は、以下の手順で行います。
足場の安全管理
- 足場の共通する基準
- 鋼管足場の基準
- 労働基準監督署に提出する届出の作成
- 現場で貼る掲示物の作成
- 定期的な足場の点検
こちらも詳しく解説します。
足場の共通する基準
足場の組み立ての際は、以下の基準に則って実施します。
足場の共通する基準
- 積載荷重による曲げ応力が床材の許容曲げ応力を超えないこと
- 床材の幅は40cm以上
- 床材間の隙間は3cm以下
- 床材と建地との隙間は12cm未満
- 高さ85cm以上の手すりと高さ35cm〜50cmの中さんの設置(枠組足場以外)
- 交差筋かい+高さ15cm〜40cmの下さんか高さ15cm以上の幅木の設置、あるいは手すり枠の設置(枠組足場)
これらが、遵守されていないと法令違反となり、最悪の場合、労働災害にもつながります。
そのような事態を防ぐためにも、安全と法令遵守に努めましょう。
鋼管足場の基準
鋼管足場の場合は、以下の事項を遵守しましょう。
鋼管足場の基準
- 鋼管材料は堅固か
- 筋かいで補強されているか
- 壁つなぎのまたは控えを設けているか
- 架空電線近接箇所での感電対策はとっているか
- 鋼管の接続部や交差部は確実に緊結しているか
- 脚部の滑動又または沈下防止の措置を講じているか
労働基準監督署に提出する届出の作成
以下の規模の足場を組み立てる際は、所轄の労働基準監督署への届出が必要です。
届出が必要な条件
- 高さが10m以上
- 組み立てから解体までの期間が60日以上
これらの条件を満たす場合は、以下の添付書類の作成と提出が必要です。
労働基準監督署の提出に必要な書類
- 案内図
- 工程表
- 平面図
- 詳細図
- 構造計画書
これらは、足場設置工事の開始30日前までに労働基準監督署に提出します。
様式は、労働安全衛生規則にある様式第20号を使用しましょう。
現場で貼る掲示物の作成
足場に関する現場の掲示物には、以下の貼り出しが必要です。
掲示物の内容
- 足場の点検結果
- 作業開始前点検表
- 足場上での注意事項
- 作業床の最大積載荷重
- 関係者以外立入禁止の標識
- 足場の組立等作業主任者の氏名等
こういった情報を網羅しておくと、現場作業員の労働災害に対する意識を高めることができます。
定期的な足場の点検
足場作業が完了し、工事が始まったら定期的に点検を実施しましょう。
具体的な確認項目は以下のとおりです。
足場の点検事項
- 支柱、横架材、筋かいの変形、腐食、損傷
- 床材の損傷、すき間、固定状況を確認
- 手すりの設置状況、固定具合、損傷の有無
- はしごや階段の設置状況、損傷、固定状態
- アンカーや支持部分の緩み、損傷
- 安全ネットや手すりの設置状況と機能状態
- ジョイント部分の緩み、変形、損傷
- 地盤の沈下や変形、足場の水平・垂直性を確認
- 養生シートの破れや緩み、固定状態
- 過積載や、かたよった荷重がないか
- 使用中の異常な音や振動の有無
- 周辺環境の変化
これらに異常があった場合は、ただちに使用を中断し対処します。
また、点検後は点検表に記録しておき、作業が完了するまで保管しましょう。
施工管理が取得すべき2つの足場の資格
足場の施工管理に従事する際におすすめの資格ってある?
施工管理が取得におすすめな足場の資格には、以下の2種類あります。
足場の資格
- 足場点検実務者研修
- 足場の組立て等作業主任者技能講習
1つずつ詳しく解説します。
足場点検実務者研修
足場点検実務者研修は、足場の安全な設置と使用を確保するための研修です。
講習内容
- 労働災害及び関係法令:1時間
- 足場組立て等の安全施工と保守管理:3時間
約4時間の講習で取得できます。近年では、オンライン受講も導入されています。
足場の点検方法や安全に関する法令など施工管理と密接に関係した研修であるため、キャリアアップのためにも取得を目指してみましょう。
足場の組立て等作業主任者技能講習
足場の組立て等作業主任者技能講習は、高さ5m以上の足場の組み立て、解体、変更に必要な技能講習です。
足場のスキル向上につながるため、施工管理者にもおすすめの資格です。
2日間にわたる講習と最終日に修了試験があります。
ポイント
条件を満たせば、免除される講習科目もあります。
受講資格には、一定年数の足場の組み立て作業の経験が必要であるため、受講前に確認しておきましょう。
まとめ|足場の施工管理を勉強しよう
足場とは、高所で作業をする際に安全かつ円滑に作業するために設けられる作業床のことです。
作業員の安全や法令を守るためにも、施工管理者は適正な知識やスキルを身につけましょう。
足場の作業は以下の手順で進めます。
足場を設置する手順
- 地盤や周囲の状況を確認する
- 現場で位置出し
- 足場の計画
- 計算書の作成
- 施工業者と打合せ
- 作業手順書の作成
- 材料の発注
- 工事用車両の手配
なお、2024年に労働安全衛生規則が改正されたため、最新の内容を理解し安全作業に努めましょう。
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