3Dプリンター建築の5つのメリット【日本ではまだ実現性が低い】

3Dプリンター建築の5つのメリット【日本ではまだ実現性が低い】
考える男性
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3Dプリンター建築って、今後当たり前になるのかな?

どんな事例があるの?

日本でも3Dプリンター建築って、進んでるのかな?

こういった疑問に答える記事です。

本記事の内容は下記のとおり。

  • 3Dプリンター建築の5つのメリット
  • 3Dプリンター建築の事例【海外の事例を紹介】
  • 3Dプリンターは、日本ではまだ実現性が低い【建築基準法をクリアできないから】
  • 日本の3Dプリンターの課題

3Dプリンターによる建築技術が、どんどん進歩しています。

海外での3Dプリンター建築の事例も増えています。

正直、従来の建築をすべて覆すほどの大革命です。

もともとは建築模型に使われていましたが、ついに建物自体も造れるようになりました。

この記事では3Dプリンター建築のメリットや、日本での実現性についても解説します。

3Dプリンター建築の5つのメリット

3Dプリンター建築の5つのメリット

3Dプリンター建築のメリットは、下記の5つです。

  1. 建築スピードが速い
  2. 建築コストが安い
  3. 人手不足の解消
  4. ロスが少ない
  5. 曲線の建築物を造れる

1つずつ解説しますね(^^)

【メリット①】建築スピードが速い

3Dプリンター建築の大きなメリットは、建築スピードが速いことです。

住宅くらいの規模なら、24時間で施工が可能です。

建築スピードが速い主な理由は、下記の2つ。

  • 24時間稼働できるから
  • 単純な建築方法だから

なんせ機械なので、24時間働けます。

建築方法は、コンクリートを積み重ねていく感じ。

鉄筋や型枠もいらないので、施工が速いです。

すぐに建築できるので、ビジネスのスピードも加速しますね。

【メリット②】建築コストが安い

3Dプリンター建築は、コストが安いです。

アメリカの3Dプリンターだと、180~240㎡の住宅なら4000ドル(約45万円)で建築可能。

建築費用の革命ですね。

【メリット③】人手不足の解消

3Dプリンターが建築するので、少ない人数で施工が可能です。

必要な人材は下記のとおり。

  • 3Dプリンターと材料を運搬する人(トラックなど)
  • 3Dプリンターの整備士
  • 現場監督
  • 内装・屋根・断熱材・外壁の施工人材

いずれにせよ、現場作業員や職人さんの人数を大幅に削減できます。

3Dプリンターはトラックに積める大きさなので、運搬も容易です。

3Dプリンターは人の仕事を奪わないか?【まだ大丈夫】

躯体部分は3Dプリンターでできますが、それ以外は人の手で工事が必要です。

日本の建設人材がどんどん減っていくことを考えれば、とりあえずは「3Dプリンターが人の仕事を奪う」というのは考えにくいでしょう。

【メリット④】ロスが少ない

3Dプリンターは、部材のロスが少ないです。

必要最低限の部材で建築できるからです。

ゴミが少ないので、環境にも優しいです。

3Dプリンターの主な工法は2つ

3Dプリンターの主な工法は、下記の2つです。

  1. 現場に3Dプリンターを持ち込んで建築する
  2. 工場で3Dプリンターが部材を造って、現場に運んで組み立てる(プレキャスト工法)

いずれの方法もロスが少ないです。

【メリット⑤】曲線の建築物を造れる

3Dプリンターは、曲線の建築に強いです。

設計の自由度が高くなったり、デザイン性も向上します。

3Dプリンターで使用可能な材質は、下記のとおり。

  • コンクリート
  • 木材
  • 樹脂
  • セラミック

で、メインはコンクリートです。

コンクリートは曲線を描きやすいですね。

3Dプリンター建築の事例【海外の事例を紹介】

3Dプリンター建築の事例【海外の事例を紹介】

3Dプリンター建築の事例を紹介します。

すべて海外の事例で、世界中で3Dプリンターの開発が進んでいます。

【ロシア】24時間で住宅建築・建築費用は約115万円

ロシアの「アピスコア」という会社が、24時間で38㎡の1階建て住宅を3Dプリンターで建築。

建築費用はなんと115万円くらいです。

気温-30℃超の極寒で施工されました。

また、アピスコア社では、さらに大きな建築物の3Dプリンター建築にも成功しています。

引用元:Youtube「The biggest 3d printed building

【アメリカ】24時間で住宅建築・建築費用は約45万円

アメリカ・テキサス州のICONという会社は、3Dプリンター建築に置いて世界で一番有名な会社です。

24時間で、180~240㎡の住宅を約4000ドル(約45万円)で建築できる「VulcanⅡ」という3Dプリンターを商品化しています。

NPOと組んで、アメリカ貧困地域の住宅建築を進めています。

引用元:Youtube「ICON 3D Printing for the Homeless in Austin

【中国】24時間で10軒の住宅を建築

中国の「WinSun」という会社は、24時間で10軒の住宅を3Dプリンターで建築しました。

他にも、

  • 5階建てのアパート建築
  • オフィスビルの建築
  • 1000㎡以上の住宅を建築

などの実績があります。

中国は3Dプリンター建築で、多くの実績を出しています。

引用元:Youtube「Winsun 3D R&D Center in Shanghai – Largest 3D Printing Building Construction

【ドバイ】オフィスを3Dプリンターで建築

ドバイでは、オフィス建築を3Dプリンターで造っています。

工法はプレキャストです。

ドバイは国をあげて、3Dプリンターの技術開発をしています。

2030年までに、ドバイ国内の建築物の1/4を3Dプリンターで建築する目標をかかげています。

引用元:Youtube「Dubai Launches World’s First “Functional” 3D Printed Office Building

【イタリア】わら・土で住宅を建築

イタリアの「Delta WASP」という会社では、建築現場のわらや土を材料にして、3Dプリンターで住宅を建築しました。

材料を現地調達できるのが、大きな強み。

材料費はわずか10万円ほどです。

高さ約12m・直径約6mの金属フレームを用いて施工します。

ちなみに、断熱材のかわりに米のもみ殻を使うので、「ライスハウス」と呼ばれています。

引用元:Youtube:「3d Printer Delta WASP 12m_The reality of dream

【フィリピン】ホテルの別館を3Dプリンターで建築

フィリピンでは、ホテルの別館を3Dプリンターで建築しています。

一見すると、3Dプリンターで造られたとは思えない完成度です。

引用元:Youtube「3D Printed Concrete Home

【アメリカ】マサチューセッツ工科大学が太陽光発電の3Dプリンターで建築

マサチューセッツ工科大学が、太陽光発電できる3Dプリンターを開発しています。

DCP(デジタル・コンストラクション・プラットフォーム)と呼ばれる技術です。

太陽光発電が可能なので、宇宙建築にも期待されています。

引用元:Youtube「MIT’s New System “DCP” can 3-D print an Entire Building | QPT

オランダの3Dプリンターの橋

オランダのベンチャー企業が、3Dプリンターで橋を造っています。

強度も強いものなので、橋施工の効率化が見込まれています。

引用元:Youtube「MX3D Bridge Update October

3Dプリンターは、日本ではまだ実現性が低い【建築基準法をクリアできないから】

3Dプリンターは、日本ではまだ実現性が低い【建築基準法をクリアできないから】

海外では3Dプリンター建築の事例が増えていますが、日本では実現性が低いです。

建築基準法をクリアできないからです。

主な理由は耐震基準。

3Dプリンターはコンクリートをメインとしていますが、鉄筋が入っていないと建築基準法をクリアできません。

コンクリートは、地震の「ひっぱる力」に弱いため、鉄筋が入っていないと地震に耐えられないリスクがあるんです。

事実、日本では3Dプリンター建築で、確認申請に通った建物はまだありません。

結論、3Dプリンター建築は躯体部分には使えません。

ただ、躯体部分以外の造作であれば可能でしょう。

大林組が3Dプリンターでシェル型ベンチを建築

大手ゼネコンを中心に、3Dプリンター建築の開発が進んでいます。

大林組では、3Dプリンターでシェル型ベンチを建築しました。

※ただし、このベンチは大林組の敷地内に造られたものなので、公共の場所の建築物ではありません。

今後の技術革新によっては、躯体にも使えるかもしれませんね。

日本の3Dプリンターの課題

日本の3Dプリンターの課題

建築基準法以外にも、日本で3Dプリンター建築をするには課題があります。

  1. 建築にはスペースが必要
  2. 日本人が好きな木造建築が難しい

1つずつ解説します。

3Dプリンター建築にはスペースが必要

3Dプリンターが稼働できる、広めのスペースが必要です。

地方で広い土地では施工可能でしょうが、東京など狭い空間での建築はまだ難しいです。

日本人が好きな木造建築が難しい

3Dプリンターが得意なのは、コンクリート建築です。

日本人が好きな木造家屋の建築はできません。

気候的にも木造建築が適しているので、3Dプリンター建築の住宅の需要がどれくらいあるか不明な部分もあります。

まとめ【3Dプリンター建築はメリットが多いが、日本での実用化はまだ難しい】

まとめ【3Dプリンター建築はメリットが多いが、日本での実用化はまだ難しい】

この記事をまとめます。

  • 3Dプリンター建築には5つのメリットがある
  • 海外では3Dプリンター建築の実績がどんどん増えている
  • 日本の現行の建築基準法では、3Dプリンター建築は難しい
  • 技術革新によって、今後は日本でも3Dプリンター建築ができるかも…
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3Dプリンター建築って、今後当たり前になるのかな?

どんな事例があるの?

日本でも3Dプリンター建築って、進んでるのかな?

というあなたの参考になればうれしいです(^^)

ちなみに、日本での3Dプリンター建築はまだまだ難しいですが、AIを活用した建築は進んでいます。

AIを活用して、2020年以降の建築がどうなっていくのかを、

建設業界が現場にAIを導入!AIは人間の仕事を奪うのか?にまとめたので、興味あれば読んでみてください(^^)

あなたの参考になればうれしいです!

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