建設業界ではBIMやCIMの普及が進んでいます。
今までCADや3DCADを使っていた設計が、どんどんBIMやCIMに変わっていくでしょう。
建設業界では人材不足問題がありますが、BIMやCIMは人材不足解消にもなります。
また、設計ミスや施工ミスを防ぐのにも有効です。
BIM・CIMにはメリットが多いのです。
設計でBIMやCIMは無視できない存在になってきましたので、知っておきましょう。
それでは、さっそく見ていきましょう(^^)
BIMとは
BIMは「Building Information Modeling(ビルディング・インフォメーション・モデリング)」の略称です。
主に建築分野での設計に使われます。
アメリカで発展した設計ソフトで、日本では2010年ころに国土交通省から提唱されました。
簡単にいうと「建築の見える化」をはかるための設計ソフトです。
3Dでの建築設計が可能です。
従来のCADは2Dの平面図から設計を行い3Dにしていましたが、BIMは最初から3Dで設計します。
3DCADとの大きな違いは、
- 建物に関する情報を一元管理することができる
- 最初から3Dで設計できる
- 3Dで部材・材質・性能・家具・設備なども設計できること
- 1つの作業がすべての設計図に反映されるため業務が効率的
ということです。
また、BIMのメリットは、
- 設計者・施工業者・施主の意思共有ができることで、業務の効率化・コスト削減ができる
- 設計ミスをソフトが教えてくれるため、設計ミスを防げる
- 設計変更がCADの約半分の時間でできる
- 設計図に人を入れて動かすこともでき、動線や使い勝手を事前にシミュレーションできる
- クライアントに完成形をわかりやすい3Dで見せられるため、イメージがわきやすい、合意形成が早い
- 設計・生産・施工・メンテナンスまで一貫して情報管理ができる
- 施工にかかるコスト情報もBIM内で共有できる
- メンテナンスや維持管理・点検・保守管理の数値化・見える化をすることができる
などがあげられます。
CADはあくまでも設計だけでしたが、BIMは設計からアフターメンテナンスまですべてBIMで情報管理できるため、まったく違うソフトと言った方が良いでしょう。
BIMは新築施工だけでなく、改修工事の設計にも有効です。
すでに建っている建築物をカメラで撮影して、設計データに変更することもできます。
大手ゼネコンやハウスメーカーでもBIMを積極的に活用しています。
積水ハウスは5年間で80億円をBIM関連事業に投資して、独自のBIMシステムの開発をしています。
BIMデータを部材工場に送ることで、部材を造る機械がBIM設計通りに部材を自動的に造っていきます。
部材の製造ミスの軽減や、部材を造る工場の人件費削減にも大きく貢献しています。
鹿島建設は2017年BIM専門会社を立ち上げて、施工現場へのBIM導入率100%を目指しています。
鹿島建設のグループ会社や連携会社とBIMデータを共有して一括管理し、現場の生産性を向上させることが目的です。
BIMデータの共有をすることで、グループ会社や関連会社も現場ですぐにBIMデータを見ることができます。
鹿島建設独自のBIM技術の開発や、BIM技術者の人材育成もしています。
2013年からBIMデータをクラウド運用する「グローバルBIM」を開始しています。
クラウド上にBIMデータがあるということは、複数の人が同時に作業をすることもできるため、業務効率が大きく向上しています。
また、清水建設でもBIMを活用しています。
youtube動画がありますので、見てみてください。
引用元:youtube「清水建設様BIMご活用事例」
BIMは今後建築設計において、必要不可欠なものになっていくでしょう。
CIMとは
CIMは「Construction Information Modeling(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)」の略称です。
主に土木分野の設計の道路・水道・電力・ガスなどインフラ設計に使われます。
※BIMの土木版というとわかりやすいかもしれませんね(^^)
2012年に国土交通省によって提唱されています。
CIMはBIMと同じく、3Dデータで設計者・施工業者・施主で一元管理された情報を共有することができます。
従来の図面では、関係者間でイメージの違いが生まれやすく、修正・補修が業務の非効率化になっていました。
CIMの3D設計を使えば、構造・施工手順・完成図などの情報を関係者間で共有することができるため、イメージの違いによる修正・補修がなくなります。
協議も円滑に進みやすく、業務効率が大幅に改善します。
また、3Dによるわかりやすいデータの共有で、今まで気づけなかった問題点見つけやすくなり、未然の問題解決にもつながります。
土木工事は周辺住民にもわかりやすい説明が必要ですが、CIMを使って3Dで可視化すれば協議も円滑になります。
従来の土木設計では、人が歩いて測量をしていました。
多くの日数がかかることや、足をすべらせてケガ人が出たり、測量データを設計に落とし込むまでにも時間がかかっていました。
現在では、ドローンで空撮した情報から地形データをCIMに取り込み、構造物の設計をしていくこともできます。
CIMとドローンの活用で、土木設計の業務効率は大幅に改善します。
詳しくは、「ドローンが建築現場で活躍」を読んでみてください(^^)
ドローン測量は「目に見えない部分も測量できる」というメリットもあります。
ドローンを使った測量のわかりやすい動画がありますので、参考に見てみてください(^^)
引用元:youtube「ドローンによる高精度な3次元測量」
国では「建設とITの融合」として「i-Construction」を勧めています。
- AIやドローンによる設計
- ロボットによる施工
などの技術開発も進んでいます。
将来的には、建設現場にはほとんど人が必要なくなる可能性もあるかもしれませんね。
BIMとCIMの違い
BIMとCIMの違いを簡単に言うと、
- BIMは建築の設計
- CIMは土木の設計
ということです。
BIMは整地された土地の上に建築できるので、比較的実用化が進んでいます。
しかし、CIMは土木の特性上、自然を相手にする点で不確定な要素が多く、まだまだ改良の必要性があります。
前述のドローンとCIMの融合技術がさらに進むと、より実用化されていくでしょう。
また、CIMは土木であることから、施主・設計者・施工業者に限らず、国や地方自治体などもCIMデータを共有することになります。
建築より土木の方が関係者が多い分、CIMの恩恵を受ける人は多くなります。
CADはなくなるのか?
BIMとCIMが進化しているといっても、いきなりCADをなくせません。
CADに慣れ親しんでいる業者も多いですから、急に全部をBIM・CIMにすることは不可能です。
BIM・CIMを使いこなせる人材もまだ少ないため、技術開発と共に人材育成も必要です。
また、橋梁などはまず2Dで設計してから3Dにした方が良いとも言われているため、現段階では「すべてがBIM・CIMが良い」とは言い切れません。
CAD人材もまだしばらくは必要とされるでしょう。
まとめ
BIMとCIMは今後の建設業界でかかせない存在になるでしょう。
それにともなって「BIM・CIMができる人材を優先的に採用する企業」も増えていきます。
BIM・CIMオペレーターの需要も伸びるでしょう。
設計職の人はBIM・CIMの技術を習得していく必要があります。
現段階では大手の建設会社・ハウスメーカーでした使われていないBIMやCIMでも、今後は中小の建設会社や設計事務所でも当たり前になるでしょう。
日本ではBIMもCIMは現段階では発展途上ですが、国も推し進めており、技術革新も進んでいるため今後もっと便利になるでしょう。
便利になれば業務効率は大幅に向上するため、建設業界が抱える「人材不足問題」に大きく貢献するでしょう。
政府も推し進める「建設業界の働き方改革」の具体策としても、注目されています。
ちなみに、建設業界ではAI活用もどんどん進んでいます(^^)
建設業界のAI活用事例は、
建設業界が現場にAIを導入!AIは人間の仕事を奪うのか?にまとめているので、読んでみてください(^^)
2020年以降は、今までとまったく違う建設業になるかもしれませんよ!