家を建てようと思ってる土地がせまいので、オーバーハングを検討中。
でも、もしデメリットがあるならやめておこうかな…
費用とかもどうなるんだろう?
高くなるならやめておこうかな…
こういった疑問に答える記事です。
本記事でわかることは下記のとおり。
- オーバーハング建築のメリットとデメリットがわかる
- オーバーハング建築にするときの注意点がわかる
- 価格が高くなるのかわかる
小さめの土地に家を建てようとすると、オーバーハング建築を検討する人も多いかと。
オーバーハング建築とは、1階よりも2階の床面積が広い建築のこと。
逆L字に見える建築物ですね。
せまい土地を有効活用できる反面、デメリットや注意点があるので知っておきましょう。
メリットとデメリットを知った上で、検討してください。
目次
オーバーハング建築のメリット5選
オーバーハング建築のメリットは、下記の5つです。
- 土地がせまくても広い家を建てられる
- 基礎工事が安く済む
- デザインがカッコいい
- 1階に雨や日差しが入りにくい
- 車庫スペースをとりやすい
メリットは多めでして、1つずつ解説しますね。
①土地がせまくても広い家を建てられる
これが最大のメリットですね。
2階を広くすればいいので。
例えば、東京など土地がせまい場所に家を建てるときは、オーバーハング建築を採用する人も多いです。
②基礎工事が安く済む
1階部分の面積が小さいので、基礎工事が安く済むのもありがたいところ。
基礎工事は重要な工事であり高額なので、1階が小さいオーバーハングはメリットです。
2階の面積の方が広いので屋根は大きくなりますが、基礎工事に比べたら安いです。
③デザインがカッコいい
なんせデザインがカッコいいですよね。
ほとんどの住宅は、
- 1階と2階が同じ広さ
- 1階の方が面積が広い
という一般的なデザインですが、オーバーハングは逆L字でめずらしいです。
「近所のあの家、なんかカッコいいよね」と思われやすいですよ。
他の人と違う家を建てたい人にも、オーバーハングは良いと思います。
④1階に雨や日差しが入りにくい
2階の飛び出した部分が、雨や日差しを防いでくれるのもメリットですね。
1階に屋根をつけなくてもいいので、一石二鳥。
オーバーハングは極端に飛び出させることはできないので、適度な飛び出し。
そのため、
- 夏の昼間の太陽が高い時間帯は、1階に入る直射日光を防ぐ
- 冬は太陽が低いので、昼間のうちに太陽光が1階に入って暖かい
など、日光を利用して1階の室温を快適にしてくれやすいです。
⑤車庫スペースをとりやすい
2階の飛び出した部分の下を、車庫スペースにすることもできます。
普通の住宅だと、建物と独立した場所に車庫スペースが必要ですが、オーバーハングは土地を有効活用できます。
土地がせまいけど車庫もほしい人には、良い設計ですね。
オーバーハング建築のデメリットは耐震性
反対に、オーバーハング建築の最大のデメリットは、耐震性が弱いこと。
- 1階がせまい
- 2階が広い
という頭でっかちな建物なので、どうしても揺れには弱いです。
強い耐震補強工事をすることも可能ですが、その分、費用がかかってしまいます。
日本は地震大国なので、ここは避けては通れないところです。
角が増えるので劣化も速い
建物は角から劣化していきます。
オーバーハングはどうしても角が多くなるので、劣化が速いのも大きなデメリット。
- 外壁塗装
- 補修工事
など、一般的な住宅より回数が多くなってしまい、結果的にコスパの悪い家になってしまうケースもあります。
最近は1階と2階の面積が同じ家が多いですが、
- 耐震性
- 耐久性(角が少ないから)
という意味では、理にかなっていると言えます。
オーバーハングのデメリットを知って、検討してください。
オーバーハング建築の5つの注意点
オーバーハング建築を採用するときは、下記の5つの注意点があります。
- 建ぺい率に注意
- 容積率も注意
- 木造だとオーバーハング建築は弱い
- オーバーハング建築は水切りが必要
- 飛び出してる部分に窓を設置しない
避けて通れないので、必ず事前に確認しておきましょう。
①建ぺい率に注意【オーバーハングの建築面積は1階ではない】
建ぺい率とは、土地に対して建てていい建物の面積のこと。
市区町村で決められているため、建ぺい率オーバーの家を建てることはできません。
1階と2階の床面積が違う場合は、広い面積の方が建ぺい率に使われます。
なので、オーバーハングの場合は、2階や3階の面積で計算します。
うっかり1階の面積で計算してしまうと、建築確認申請に通らず住むことができません。
一応、知っておきましょう。
ちなみに「建ぺい率」については、
建築面積の計算方法を解説【建ぺい率・延べ面積・容積率の計算式】にまとめています。
②容積率も注意
容積率とは、土地に対する建物の延べ床面積(1階や2階の床面積の合計)の上限のこと。
例えば2階を広くしようとしても、容積率の上限があるので、ガンガン広くしていいわけではありません。
容積率も事前に確認しておく必要があります。
※まぁ、この辺は設計士の仕事ですが。
③木造だとオーバーハング建築は弱い【寸法は1.5mまで】
木造住宅の場合、オーバーハングで飛び出せる寸法は1.5mまでです。
意外と短いですよね。
木造はオーバーハングに耐えられる限界があるので、1.5mまでとされています。
1.5m以上を飛び出させたい場合は、
- 鉄骨造
- RC造
など強い資材で家を造らないといけませんが、その分、費用が高くなります。
前述のとおり、オーバーハングは基礎工事が安く済むメリットがありますが、鉄骨やRCになるとかえって高くなることもあります。
④オーバーハング建築は水切りが必要【浸水対策】
オーバーハングでは、水切りを設置しましょう。
水切りがないと、2階からの雨水が1階の壁に流れ続けてしまい、浸水の原因になります。
外壁の劣化や、躯体の劣化にもつながるので、水切りは必須です。
⑤飛び出してる部分に窓を設置しない
オーバーハングで飛び出している部分には、窓を設置しない方がいいですね。
窓は耐久性が弱いので。
オーバーハング部分の壁は圧がかかるため耐久力が必要なのに、窓を設置するとさらに弱くなってしまいます。
建物の劣化を速めるので、窓はおすすめしません。
オーバーハング建築の価格は高くなりやすい【ただし例外あり】
正直なところケースバイケースなのですが、基本的にはオーバーハングの価格は高くなりがち。
理由は下記の2つです。
- 建物は角が多いほど高くなる
- 鉄骨やRCだと価格が高くなる
建物は角が多いほど高くなる
工事の手間が増えるからです。
前述のとおり、1階と2階の面積が同じ家は、角が少ないので価格を抑えられます。
しかし、オーバーハングのような角が多い家は、手間がかかるのが高くなります。
そして、これも前述したとおり、角が多い家は劣化も速いので、補修費用もかかりがち。
結論、オーバーハングは価格が高くなりやすいです。
鉄骨やRCだと価格が高くなる
オーバーハング部分が飛び出してるほどカッコいいですが、その分、鉄骨やRCなど強い資材が必要。
前述のとおり鉄骨やRCは高いので、価格高騰に影響します。
設計によって価格はケースバイケース
ただし前述のとおり、1階の基礎工事の費用を抑えられるのもオーバーハングのメリット。
結論、設計内容によって、オーバーハングの方が高いor安いは決まります。
設計段階で、必ず比較することをおすすめします。
- オーバーハングは辞めて、3階建てにする
- そもそも、土地選びからやり直す
など、他の選択肢も見えてくるかと。
一生に一度の大きな買い物なので、納得のいくまで検討してください。
建築の大きなデメリットは「一度造ったら直せない」なので、後悔しないようにしましょう。
まとめ【オーバーハング建築はデメリットもあるので慎重に検討する】
最後にもう一度、オーバーハングの5つのメリットをまとめておきます。
- 土地がせまくても広い家を建てられる
- 基礎工事が安く済む
- デザインがカッコいい
- 1階に雨や日差しが入りにくい
- 車庫スペースをとりやすい
反対に、オーバーハングのデメリットは下記の2つです。
- 耐震性が弱い
- 劣化が速い
そして、オーバーハングを採用する場合は、下記の5つの注意点があります。
- 建ぺい率に注意
- 容積率も注意
- 木造だとオーバーハング建築は弱い
- オーバーハング建築は水切りが必要
- 飛び出してる部分に窓を設置しない
基本的には価格は高くなりやすいので、オーバーハング以外の設計と比較をしてください。
後悔のない家づくりの参考になればうれしいです。