資格取得を考えてたんだけど、役に立たないなら時間も労力もムダだからやめておこうかな…
技術士を取得するメリットがあれば教えてほしいな。
キャリアアップしていきたい。
こういった疑問や不安に応える記事です。
この記事でわかることは下記のとおり。
- そもそも技術士とは
- 「技術士は役に立たない」と言われる5つの理由
- 技術士を取得する12のメリット
結論、技術士はとても役に立つ資格です。
なぜなら、多くのメリットがあるから。
※具体的なメリットは記事後半で解説します。
特に「建設部門の技術士」を取得すると、入札が有利になったり、監理技術者になれるなどメリットが多いです。
大手に転職して年収アップできる可能性もあるため、決して「役に立たない資格」ではありません。
この記事では、技術士が役に立たないと言われている理由と、資格を取得するメリットを紹介します。
キャリアアップに有益すぎる資格なので、ぜひとも取得を目指してみてください。
目次
技術士とは国が認めた科学技術の専門家資格
技術士とは、科学技術に関する高度な知識や応用能力・技術者倫理を備えている有能な技術者であることを証明する国家資格です。
カンタンにいうと「国が認めた科学技術の専門家資格」といえるでしょう。
「理系資格の最難関」とも言われており、取得することで一目置かれる資格です。
また、日本五大資格の1つでもあり、下記のような資格の一角をなす上位資格でもあります。
- 弁護士
- 弁理士
- 医師
- 公認会計士
- 技術士
技術士には21種類ある
一口に「技術士」といっても、下記の21種類があります。
- 機械
- 船舶・海洋
- 航空・宇宙
- 電気電子
- 化学
- 繊維
- 金属
- 資源工学
- 建設
- 上下水道
- 衛生工学
- 農業
- 森林
- 水産
- 経営工学
- 情報工学
- 応用理学
- 生物工学
- 環境
- 原子力・放射線
- 総合技術監理部門
どれか1つでも取得すれば「その分野の科学技術の専門家」と位置付けられます。
技術士の歴史【戦後の復興から始まった】
そもそも技術士が誕生した経緯は、戦後の日本復興のためと言われています。
※アメリカの「コンサルティングエンジニア」を参考に誕生しました。
- 1951年:日本技術士会が設立
- 1958年:資格の認定開始
高い技術力をもって、国民の豊かな暮らしを実現するために技術士が必要です。
技術士を取得する方法
技術士には第一次試験と第二次試験があり、両方に合格しないと資格を取得できません。
詳しい試験内容や勉強のコツは、建設部門の技術士の合格率や難易度【おすすめの勉強方法も紹介します】にまとめてます。
技術士は役に立たないと言われる5つの理由
理由は下記の5つです。
- 独占業務の資格じゃない
- 知名度が低い
- 責任が重い
- 勉強したことが現場で役立つとは限らない
- 独立しても成功するとは限らない
1つずつ解説しますね。
【理由①】独占業務の資格じゃない
技術士は独占業務の資格ではありません。
つまり「技術士しかできない仕事」がないのです。
あくまで名称独占資格なので、技術士を名のれるだけ。
例えば、独占業務の資格は下記などがあります。
- 医師:医療行為は医師しかできない
- 弁護士:法律のアドバイスや被告人の弁護は弁護士しかできない
- 税理士:税金のアドバイスや税務代理は税理士しかできない
- 建築士:建築設計は建築士しかできない
技術士には独占業務がないので、「役に立たない」と言われることがあります。
ただし、建設部門なら下記のメリットあり。
- 経営事項審査で5点がつく
- 監理技術者や専任技術者になれる
独占業務というわけではありませんが、大きなメリットがあります。
※この辺のメリットは後述します。
【理由②】知名度が低い
「建築士や施工管理技士に比べると知名度が低い」と言う人もいます。
ですが、技術士の需要があるのは事実。
転職サイトで検索すると、多くの技術士募集の求人情報がヒットします。
なので、「役に立たない資格」ではないかと。
【理由③】責任が重い
技術士法では下記の5つが定められています。
- 信用失墜行為の禁止
- 秘密保持義務
- 名称表示の場合の義務
- 公益確保の責務
- 資質向上の責務
「苦労して資格を取得しても、責任が重いからやりたくない」という理由で、技術士を敬遠する人もいます。
ですが、これだけの責任を負うからこそ、やりがいのある仕事ができるし、高い給料をもらえるわけです。
給料については後述するので、このまま読み進めてみてください。
【理由④】勉強したことが現場で役立つとは限らない
技術士の試験勉強で学んだことを、現場で使うとは限りません。
なので「役に立たない」という人もいます。
でも、これはどの資格でも一緒です。
資格試験の内容を、そのまま業務に活かせる資格の方が少ないでしょう。
後述しますが、資格をとるメリットは「スキルや専門性を証明できること」です。
技術士の資格を取得することで年収アップや転職が有利になるので、「技術士資格をうまく使う」のがキャリアアップのコツ。
現場の業務は常に勉強が必要なので、どんどん勉強して真のスペシャリストを目指しましょう。
【理由⑤】独立しても成功するとは限らない
技術士を取得すると、独立することも可能です。
ですが、技術士があれば必ず成功するわけではありません。
独立して成功するには、経営スキルが必要だから。
技術士の知識以外に、下記のようなスキルが必要です。
- 営業力
- マーケティングスキル
- コミュニケーションスキル
技術士を取得して独立したけどうまくいかなかった人の中には、「役に立たない」という人もいます。
しかし、失敗する要因は経営スキル不足という可能性もあるでしょう。
技術士を取得する12のメリット【時間と労力はムダにならない】
結論、メリットは12個もあります。
- 建設部門の技術士は知名度がある
- 入札が有利になる
- 監理技術者・専任技術者になれる
- 業務知識が増える
- スキルや専門性を証明できる
- キャリアアップしやすい
- 安定して稼げる
- 年収アップしやすい
- 転職が有利になる
- 独立しやすくなる
- 人脈が広がる
- 他の資格の受験資格が緩和される
1つずつ解説しますね。
①建設部門の技術士は知名度がある
さきほど「技術士は知名度が低い」とお伝えしましたが、建設部門の技術士は例外。
令和2年度末のデータですが、すべての技術士のうち約45%は建設部門の技術士です。
- 全体:115353人
- うち建設部門:52214人
参考:公益社団法人日本技術士会「技術士登録者数の技術部門別一覧」
このあとから解説していきますが、建設部門の技術士は知名度があり、需要が大きいので取得しておきましょう。
②入札が有利になる
建設部門の技術士を取得すると、経営事項審査で5点つくので入札が有利になります。
「入札が有利になる→会社の利益に貢献できる→重宝される」という好循環で、給料アップしやすいです。
ちなみに、他の資格の経営事項審査の点数は下記のとおり。
- 5点:技術士、1級施工管理技士、一級建築士
- 3点:基幹技能者
- 2点:2級施工管理技士、二級建築士、第1種電気工事士など
技術士は経営事項審査に有利なので、取得するメリットは大きいでしょう。
③監理技術者・専任技術者になれる
技術士を取得すると、監理技術者や専任技術者になれます。
監理技術者は、特定建設業で配置が必要です。
特定建設業とは、下請に出す工事の総額が4500万円以上、建築一式工事の総額が7000万円以上の工事のこと。
カンタンにいうと「大規模現場の管理者」になれるため、大手に転職できるチャンスが広がります。
ちなみに、建設部門の技術士は下記の工事で監理技術者になれます。
- 土木一式工事
- とび・土工工事業
- 電気工事業
- 鋼構造物工事業
- 舗装工事業
- しゅんせつ工事業
- 造園工事業
- 解体工事業
また、専任技術者は「請負金額4000万円以上(建築一式工事は8000万円以上)」の現場に配置が必要です。
監理技術者と同様に大きい現場の管理者になれるので、技術士を取得すると経験値も上がっていきます。
④業務知識が増える
当然ですが、勉強することで業務知識は増えます。
例えば、第一次試験では下記の「基礎科目」を勉強します。
- 設計・計画:設計理論、システム設計、品質管理など
- 情報・倫理:アルゴリズム、情報ネットワークなど
- 解析:力学、電磁気学など
- 材料・化学・バイオ:材料特性、バイオテクノロジーなど
- 環境・エネルギー・技術:環境、エネルギー、技術史など
結論、このジャンルの知識が増えるので、仕事もやりやすくなるでしょう。
⑤スキルや専門性を証明できる
技術士を取得することで、スキルや専門性を証明できます。
結果、年収アップや転職に有利です。
具体的には下記のようなメリットあり。
- 建設コンサルタントは昇進や年収アップしやすい
- 官公庁の職員もスキルを証明できる
- ゼネコンの技術研究部門に転職しやすい
資格があると客観的に評価してもらえるので、メリットが大きいです。
⑥キャリアアップしやすい
当然ながら、技術士があればキャリアアップにも有利です。
会社も技術士がいるなら、さらにレベルの高い業務を任せるのが当然。
例えば、施工管理をしている人がさらに上のキャリアを目指して技術士を取得するケースも多いです。
⑦安定して稼げる
技術士を取得すると収入も安定します。
経営事項審査で点数がついたり、監理技術者・専任技術者になれるので、会社が「手放したくない人材」と判断して給料を優遇してくれやすいです。
技術士は年収600万円くらいを安定して稼げるので、かなり魅力です。
⑧年収アップしやすい
くりかえしですが、技術士は会社に重宝されやすいので、年収アップしやすいです。
具体的には下記のように年収アップするイメージ。
- 昇進で昇給する
- 資格手当がつく
- ボーナスが増える
稼ぎたい人は技術士を取得してみましょう。
⑨転職が有利になる
これもくりかえしですが、下記の強みがあるので転職が有利になります。
- 経営事項審査で5点つく
- 監理技術者・専任技術者になれる
技術士を取得したことで大手に転職できる人もいます。
建設業界は会社規模と年収が比例しているので、稼ぎたい人は技術士を取得して大手に転職を狙ってみましょう。
企業規模 | 平均年収 |
大企業(1000人以上) | 752万円 |
中企業(100~999人) | 576万円 |
小企業(10~99人) | 454万円 |
参考:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」※千の位以下は四捨五入
技術士があると50代以降の転職でも大きく役立つので、年齢を問わず転職の選択肢が増えます。
⑩独立しやすくなる
技術士があるとコンサルタントで独立することも可能です。
自分で仕事をもらってくるスキルや人脈があれば問題ないでしょう。
独立して年収1000万円以上を稼ぐ技術士もいます。
前述のとおり、経営は失敗するリスクもありますが、うまくいけば会社員では考えられないような収入を得られます。
⑪人脈が広がる
技術士になると日本技術士会に入ることができます。
日本技術士会主催の異業種交流会やセミナーがあり、そこで技術士の人脈が増やすことも可能。
こうしたつながりから、優良企業に転職できるキッカケになることもあります。
人脈で人生が変わることがあるので、技術士を取得するメリットは大きいです。
⑫他の資格の受験資格が緩和される
技術士を取得すると、下記のような試験の条件が緩和されるなどメリットがあります。
- 土木施工管理技士
- 電気工事施工管理技士
- 管工事施工管理技士
- 造園施工管理技士
- 消防設備士
- 消防設備点検資格者
- 建築物環境衛生管理技術者
- ダム水路主任技術者
- ボイラー・タービン主任技術者
- 土地区画整理士
- 労働安全コンサルタント
- 労働衛生コンサルタント
- 作業環境測定士
- 廃棄物処理施設技術管理者
- 弁理士
- 中小企業診断士
- 気象予報士
参考:公益社団法人日本技術士会「国家資格試験の受験・免除規定」
技術士を取得することで、どんどんキャリアアップしやすくなります。
まとめ【技術士は役に立つ資格。ぜひとも挑戦しましょう】
最後にもう一度、技術士を取得する12のメリットをまとめておきます。
- 建設部門の技術士は知名度がある
- 入札が有利になる
- 監理技術者・専任技術者になれる
- 業務知識が増える
- スキルや専門性を証明できる
- キャリアアップしやすい
- 安定して稼げる
- 年収アップしやすい
- 転職が有利になる
- 独立しやすくなる
- 人脈が広がる
- 他の資格の受験資格が緩和される
結論、技術士は役に立つ資格なので、ぜひとも挑戦してみてください。
技術士の試験内容や勉強のコツは、建設部門の技術士の合格率や難易度【おすすめの勉強方法も紹介します】にまとめています。
あなたのキャリアアップの参考になればうれしいです!