なんで壁を塗る仕事を「左官」って言うんだろう?
こういった疑問に答える記事です。
本記事でわかることは下記のとおり。
- 左官の由来がわかる
- 現代の左官の仕事内容がわかる
「左官」の由来を解説します。
あらかじめ言っておくと、左官の由来にはいくつかの説があり、どれが正解かわかっていません。
この記事では「どの説が正解か」ではなく、
というトリビアを楽しむことを目的として書きました。
今となってはどれが正解かわかりませんが、昔のロマンを感じていただければ幸いです。
目次
左官の5つの由来【どれが本当かわからないけど、ロマンはある】
「左官」の由来には、下記の5つがあるそうです。
- 宮廷に入るための位だった説
- 平安時代の階級だった説
- 大工=右官、壁塗り職人=左官と呼んでいた説
- 「しゃかん」→「さかん」になった説
- 天皇からもらった称号の説
1つずつ解説していきますね。
①宮廷に入るための位だった説
その昔、宮廷に入ることが許されていたのは、官位のある人だけでした。
簡単にいうと、偉い人しか宮廷に入れなかったんです。
でも、
- 新しく宮廷内の建物を造る
- 壊れた宮廷内の建物を直す
となったときに、職人さんが宮廷内に入れないのでは困りますよね。
そこで、壁塗り職人に「左官」という官位を与え、宮廷に入れるようにしたという説です。
どうりで「官」の字が入ってますよね。
現代で例えるなら、「公務員の壁塗り職人」のようなイメージかなと。
②平安時代の階級だった説
平安時代は、中国から伝わった「律令」という階級制度がありました。
階級には、下記の4つがあったそうです。
- 長官(かみ)
- 次官(すけ)
- 判官(じょう)
- 佐官(さかん)
そして宮廷内には、建設に携わる「木工寮(もくりょう)」という組織がありました。
今でいう「国土交通省」みたいなものです。
その木工寮(もくりょう)の中での階級を、下記のようにしていたそうです。
- 守(かみ)→大工
- 介(すけ)→桧皮葺き大工
- 壤(じょう)→金物大工
- 属(そうかん)→壁塗り職人
「属(そうかん)」が「さかん」に変化していったという説です。
現段階では、この平安時代の説がもっとも有力とされているようですよ。
③大工=右官、壁塗り職人=左官と呼んでいた説
- 大工=右官
- 壁塗り職人=左官
と呼んでいた説があるそうです。
と思ったことあるかもですが、本当に「右官」があったかもしれないそうです。
ただ、日本では「左の方が位が高い」と言われています。
例えば、右大臣と左大臣なら、左大臣の方が位が高いのです。
位が低いことを大工(右官)が嫌って、右官と言わなくなったという説もあるそうですよ。
ちなみに「大工」の語源は、いくつかあります。
律令制度の下では、木工寮内の建築技術職を、下記の4つに分けていたそうです。
- 大工(おおきたくみ)→ここが語源
- 少工(すくなたくみ)
- 長上工(ちょうじょうこう)
- 番上工(ばんじょうこう)
また、江戸時代の建築の官僚名が「大匠(おおたくみ)」だったことから、「大工」になったという説もあります。
ただし、この「右官は大工」という説は文献などが残っておらず、説としてはちょっと弱いみたいです。
④「しゃかん」→「さかん」になった説
昔は左官のことを「沙官」や「沙翫」と書き、「しゃかん」と呼んでいたそうです。
それがなまって「さかん」になったという説です。
そもそも「左官」は当て字で、正しくは「沙官」や「沙翫」ということみたいですね。
⑤天皇からもらった称号の説
645年に御所の外郭にきれいな土塀をつくった許勢波多哀(こぜはたお)が、天皇から賜った称号が「左官」だったとされる説です。
645年といえば、まだ律令制度が確立される前です。
歴史の授業で習った「大宝律令」は、701年の制定です。
もしこの説が有力なら、左官は1300年以上前からそう呼ばれていたことになりますね。
現代の左官の仕事をちょっと紹介
ちなみに、現代の左官の仕事も昔とあまり変わってません。
コテを使って壁や天井などを塗る仕事、まさしく「壁塗り職人」の仕事です。
しいていえば、コンクリートなど昔は存在しなかった壁材を扱っていることですが、技術的なことは昔からあまり変わってないかと。
具体的に塗る箇所は、下記のようなところです。
- コンクリートの床・壁・塀など
- コンクリートの階段
- タイル張り
- レンガ積み
- 内装の漆喰塗り
詳しい左官の仕事内容は、左官の平均年収は387万円【給料を上げるにはスキルアップや自営】にまとめてます。
左官職人になろうか考えてる人は、参考にどうぞ。
まとめ【左官の由来は5つあるっぽい】
最後にもう一度、5つの左官の由来をまとめておきますね。
- 宮廷に入るための位だった説
- 平安時代の階級だった説
- 大工=右官、壁塗り職人=左官と呼んでいた説
- 「しゃかん」→「さかん」になった説
- 天皇からもらった称号の説
冒頭でお伝えしたとおり、どれが本当かはわかりませんが、いずれにせよロマンがありますね。
左官はそれだけ「歴史のある職業」といえます。
これだけ技術が進歩した時代でも、まだまだ左官の仕事は人の手で行う部分が大きいです。
それくらい重要な仕事と言えますよね。
もし将来、左官職人になることを考えてるなら、左官の平均年収は387万円【給料を上げるにはスキルアップや自営】を呼んでみてください。
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