施工管理の測量の業務内容や3つの種類を解説!測量におすすめの資格も紹介

施工管理の測量の業務内容や3つの種類を解説!測量におすすめの資格も紹介
施工管理の男性
施工管理の男性

学生時代に測量を勉強してたけど、すっかり忘れちゃったな…
そろそろ測量の業務もあるから、使い方を復習しておかないと…

せっかくだし、測量の勉強ができる資格も知っておきたいな。

こういったお悩みに応える記事です。

この記事でわかること

  • 施工管理が担当する3つの測量
  • 施工管理で用いる測量機器
  • 測量機器(トータルステーション)の使い方
  • 施工管理の測量におすすめの資格

たちワット・コンサルティングは、施工管理の転職サポートを行う会社です。

施工管理では、簡易的な測量であれば専門業者に頼まず、自分たちで行うことがほとんどです。

そのため、知識や技術を習得しておく必要があります。

この記事では、施工管理の測量の基礎から応用まで、わかりやすく解説します。

測量について詳しく知りたい方や測量業務に不安がある方は、最後まで読んでみてください。

この記事の監修者

株式会社ワット・コンサルティング

施工管理の技術者派遣を行う会社。これまで1500名以上の未経験者を施工管理として育成した実績あり。

  • 労働者派遣事業許可番号 派13-304593
  • 有料職業紹介事業許可番号 13- ユ-304267
  • 特定建設業 東京都知事許可 (特-1) 第150734号

SAN-SUKE

測量とは、距離や位置、高さなどを正確に計測し数値化する業務のことです。

施工管理の測量の業務内容には、以下が挙げられます。

施工管理が担う測量の業務内容

  • 現場の基準点の設置と管理
  • 建築物の配置計画の測量
  • 掘削深さの測定と管理
  • 基礎工事の高さ・レベル出し
  • 柱や壁の垂直度チェック
  • 完成時の出来形測量
  • 測量結果の図面化・CADデータ作成

このように、施工管理では必要に応じて測量業務があります。

施工管理が担当する測量には、主に以下の3種類があります。

施工管理が担当する測量

  1. 地形測量
  2. 丁張り測量
  3. 管理測量

1つずつ詳しく解説します。

地形測量

地形測量とは、現場の地形や既存の構造物の位置や高さを計測する測量をいいます。

使用する測量機器は以下のとおりです。

地形測量で使用する測量機器

  • レベル:水平器のこと
  • トータルステーション:距離と角度を測定する測量機器
  • GNSS測量機器:衛星を利用して位置を測定する装置

地形測量は、災害時や都市計画など幅広い分野で活用します。

丁張り測量

丁張り測量とは、木杭や水糸を用いて構造物の位置や高さを計測する測量をいいます。

丁張り測量が用いられる構造物は、以下のとおりです。

丁張り測量が実施される構造物

  • 建築物の基礎
  • 道路
  • 擁壁
  • 護岸工事
  • 宅地造成
  • 水路・側溝
  • 法面工事
  • 舗装工事
  • 埋設管(上下水道、ガス管など)

こういった構造物の位置出しは、施工管理が丁張りを使って測量します。

管理測量

管理測量とは、工事の途中に設計図書や図面どおりの数値に収まっているか、確認する測量のことです。

品質の向上やトラブルの早期発見ができるため、無事に工事を完了させるためには、必要不可欠な測量です。

参考

ちなみに、工事が完了してから行う測量のことを、出来形測量といいます。

施工管理で用いる測量機器には、以下があります。

施工管理で用いる測量機器

  • 水平器・水準器
  • レベル
  • トランシット
  • トータルステーション
  • 光波測距儀
  • GNSS測量機
  • レーザー墨出し器

詳しく解説します。

水平器・水準器

水平器と水準器は、主に地面に対して水平か傾斜していないかを測る測量道具です。

水平器と水準器は基本的な機能は同じですが、以下の違いがあります。

水平器と水準器の違い

  • 水平器:簡易的
  • 水準器:より測量に特化

また、水平器と水準器の用途には、以下が挙げられます。

水平器・水準器の用途

  • 勾配測定
  • 型枠の設置時
  • 建物の柱の傾斜
  • 鉄骨柱の建て込み時
  • 建具(ドアや窓)の取り付け時

水平器は、ポケットに収まるサイズもあるため普段から持ち歩いておき、測量業務の際は水準器を使うようにしましょう。

レベル

施工管理では、レベルの測量機器を使います。

レベルとは、2点間の高低差や地盤の高さを測定するための機器です。

レベルを細かく分けると、以下の4つの機器があります。

種類特徴
オートレベル・高低差の測量や水準測量に用いる
・一般的に使用されている測量機器
デジタルレベル・電子レベル・デジタル表示可能な高精度な測量機器
・自動的に計算が可能
ティルティングレベル・手動で水平調整を行うレベル
・他のレベルの登場により現在はあまり使用されない
レーザーレベル・レーザー光を使用して水平や垂直を測定
・広範囲の水平測量や墨出しに適している

レベルは、最も基本となる測量機器であり据え付けも他と比べて容易なため、まずは覚えておきたい測量の1つです。

トランシット

トランシットとは、水平の角度を測定する測量をいいます。

トランシットでは、以下の作業のときに用いられます。

トランシットの用途

  • 墨出し
  • 地形測量
  • 勾配測定
  • 構造物の角度の把握
  • トンネル工事での掘削方向の確認

このように、トランシットは広い分野で使用されます。

参考

ちなみに、距離の測定は不可能です。

トータルステーションやGNSS測量の基本ともなる機器のため、覚えておきましょう。

トータルステーション

トータルステーションとは、水平角と鉛直角・距離を測定する測量機器です。

トータルステーションは、以下の作業で用いられます。

トータルステーションの用途

  • 地形測量
  • 建築物の位置出し
  • 基準点測量
  • 境界測量
  • 用地測量
  • 出来形管理
  • 丁張り設置
  • 土量計算のための測量

トータルステーションは、用途や精度の高さから建設業の中でも最も活用されています。

光波測距儀

光波といった電磁波を利用して距離や角度、高さを測る測量機器です。

光波測距儀の特徴は以下のとおりです。

光波測距儀の特徴

  • 精度が高い
  • 測定が速い
  • 長距離の測定に適している
  • 測定者によるデータの偏りが少ない
  • 雨や雪などの天候に左右されやすい

トータルステーションの役割を担えるため、近年では光波測距儀を一般的に使用する建設会社も増えています。

GNSS測量機

GNSS測量機とは、人工衛星から発信される情報を使って測量する機器のことです。

GNSS測量機の特徴は以下のとおりです。

GNSS測量機の特徴

  • 長距離の測定ができる
  • 天候に左右されにくい
  • 見通しが悪くても測定できる
  • 上空が開けていないと精度が落ちる

GNSS測量機の魅力は、広範囲な測量を短時間でできることです。

そのため、森林土木や災害、大規模工事などで活躍しています。

レーザー墨出し器

レーザー墨出し器とは、建設現場や内装工事などで使用される位置出し用の機器です。

レーザーによって、常に垂直や水平方向の位置が出力されます。

レーザー墨出し器に向いている作業

  • 細かく垂直や水平を位置出しする作業
  • 基礎工事
  • 配管工事

他の測量機器に比べて専門的な知識をほぼ必要とせず、初心者でも扱いやすいです。

施工管理の男性
施工管理の男性

測量ができなくて恥をかきたくないな…

できたら測量機器の使い方を教えて。

測量機器の使い方は、以下の8ステップで進めていきます。

測量機器の使用手順(トータルステーションの例)

  1. 既知点を確認する
  2. 三脚の脚をアゴの位置まで伸ばす
  3. 三脚を測量鋲の真上に立てる
  4. トータルステーションを三脚に取り付ける
  5. 整準ねじを使って円形気泡を中央に収まるように調整する
  6. 同じく水平気泡も中央に入るように調整する
  7. トータルステーションを回転させ、再度水平の微調整をする
  8. 本体の電源を入れてゼロセットする

各ステップを順番に行えば、スムーズに測量が実施できるでしょう。

施工管理の男性
施工管理の男性

測量って細かい作業が多いし難しそう…

やりがいってあるのかな?

測量のやりがいについては、以下が挙げられます。

測量のやりがい

  • 社会貢献度の高さ
  • 最新の機器や技術を扱える
  • 測定した結果が図面となる喜び
  • 測量会社への転職も有利になる
  • ミリ単位の精度にこだわる達成感

慣れないうちは大変ですが、据え付け作業が早くなると達成感を感じてきます。

苦手意識をもたずに、まずは取り組んでみましょう。

施工管理の測量におすすめの資格

施工管理の測量におすすめの資格を紹介します。

測量におすすめの資格

  • 測量士補・測量士
  • 建築士(1級・2級・木造)
  • CAD利用技術者
  • 技術士(建設部門)

1つずつ詳しく解説します。

測量士補・測量士

測量士補・測量士とは、測量に関する知識を証明する国家資格です。

測量士補は、測量士のもとで測量業務の補助を行う役割です。

測量士補の上位資格が測量士にあたります。

例年の合格率は以下のとおりです。

測量士と測量士補の合格率

  • 測量士:約10%(難易度高め)
  • 測量士補:約35%(難易度低め)

参考:国土地理院|測量士・測量士補試験の合格者を発表より計算

試験はマークシート形式です。

受験資格には実務経験や学歴の制限がありません。

名前のとおり測量に特化しているため、測量の技術を身につけたいならまずは取得しておきたい資格です。

なお、測量士の詳しい勉強法については、測量士の難易度は高い【合格率は10%くらい。独学は1年前から対策】で解説しています。

土木施工管理技士(1級・2級)

土木施工管理技士とは、土木工事全般の施工管理を行う国家資格です。

1級と2級があり、1級が上位資格にあたります。

毎年、受験者数は2万人を超え、建設業界では人気が高い資格の1つです。

土木施工管理技士の試験問題には測量も含まれているため、スキルアップに役立ちます。

取得するメリットが多い資格のため、取得する価値は十分にあるでしょう。

土木施工管理技士を取得するメリット

  • 主任技術者や監理技術者(1級のみ)になれるため、責任ある仕事ができる
  • 昇給や資格手当で年収アップしやすい
  • 土木施工管理技士が不足しているため、転職が有利になる

なお、各級の詳しい勉強法は、以下の記事にまとめています。

建築士(1級・2級)

建築士とは、建築物の設計や工事監理を専門とする国家資格です。

建築物の設計には測量の知識も必要なので、建築士の資格もおすすめです。

建築士の資格には1級と2級がありますが、1級は難易度が高いため、まずは2級から目指してみてもいいでしょう。

詳しい勉強法や受験資格については、以下の記事にまとめています。

CAD利用技術者

CAD利用技術者とは、CADソフトを使った設計や製図能力を示すための資格です。

測量後のデータはCADで製図することが多いため、勉強する過程で知識が身につくでしょう。

CAD利用技術者には2次元や3次元があり、それぞれに級数があります。

自社で使用しているソフトに合わせて、受験する資格を選びましょう。

特に決まりがなければ、難易度が低い2次元の基礎や、2級を目指してみるのがおすすめです。

CAD利用技術者試験について詳しく知りたい方は、CAD利用技術者試験の難易度を合格率や過去問から分析【勉強方法も解説】にまとめているので、参考にしてみてください。

技術士(建設部門)

技術士とは、建設部門に関する専門知識と応用能力を備えた技術者の国家資格です。

土木全般の高度な知識や技術を示す資格であり、測量の技術も証明できます。

第一次試験と第二次試験があり、受験資格や難易度は以下のとおりです。

試験合格率
第一次試験約39%
第二次試験約17%

参考:公益社団法人日本技術士会

第一次試験は誰でも受験でき、合格すると「技術士補」の資格を得られます。

その後、4年以上の実務経験を積むと第二次試験を受験できて、合格すると「技術士」の資格が与えられます。

なお、詳しい勉強法については、建設部門の技術士の合格率や難易度【おすすめの勉強方法も紹介します】を参考にしてみてください。

施工管理の測量では以下の業務で使用するため、使い方を覚えておきましょう。

施工管理が担う測量の業務内容

  • 現場の基準点の設置と管理
  • 建築物の配置計画の測量
  • 掘削深さの測定と管理
  • 基礎工事の高さ・レベル出し
  • 柱や壁の垂直度チェック
  • 完成時の出来形測量
  • 測量結果の図面化・CADデータ作成

測量機器の使い方や手順は、以下8つのステップです。

トータルステーションの使用手順

  1. 既知点を確認する
  2. 三脚の脚をアゴの位置まで伸ばす
  3. 三脚を測量鋲の真上に立てる
  4. トータルステーションを三脚に取り付ける
  5. 整準ねじを使って円形気泡を中央に収まるように調整する
  6. 同じく水平気泡も中央に入るように調整する
  7. トータルステーションを回転させ、再度水平の微調整をする
  8. 本体の電源を入れてゼロセットする

これらをマスターして、一人前の施工管理を目指しましょう。

なお、ワット・コンサルティングでは施工管理の求人を紹介しています。

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  • 年収アップが期待できる

転職活動の情報収集の1つとして活用してみてください。

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