資格をとってキャリアアップしたいんだよね。
けっこう難しい試験なのかな?
勉強は大変なのかな?
あと、解体工事施工技士と併せて取得した方がいい資格ってある?
こういった疑問に答える記事です。
この記事でわかることは下記のとおり。
- 解体工事施工技士がどんな資格かわかる
- 解体工事施工技士試験の難易度がわかる
- 解体工事施工技士の勉強方法がわかる
- 解体工事施工技士と併せて取得したい資格がわかる
解体工事施工技士は、解体工事の現場管理者の解体工事技術、廃棄物の適正処理、建設リサイクル法などの施工管理能力・知識を証明する資格です。
簡単にいうと「解体工事の施工管理向けの資格」と言えるでしょう。
解体する建物の大型化や複雑化に伴い作られた資格で、公益社団法人全国解体工事業団体連合会が主催している民間資格です。
空き家問題などで、今後はさらに解体工事が増えることもが予測されています。
解体工事の施工管理に携わる人なら、ぜひとも取得しておきましょう。
難易度や勉強方法も解説するので、試験対策にどうぞ。
また、解体工事施工技士と併せて取得したい資格も解説するので、キャリアアップの参考になればうれしいです。
目次
【基本情報】解体工事施工技士とは
解体工事施工技士とは、解体工事の現場管理者の解体工事技術、廃棄物の適正処理、建設リサイクル法などの施工管理能力・知識を証明する資格です。
高度経済成長期から50年以上が経過したことで、下記のような事象が起きるようになりました。
- 老朽化した建物が増えて解体工事が増加
- 解体する建物の大型化や複雑化
- 解体工事の労働災害の増加
- リサイクルや廃棄物の処理問題
- 老朽化した建物に使われる有害物の解体
適切な解体工事を進めるスペシャリストとして、解体工事施工技士資格が作られました。
解体工事施工技士は解体工事の主任技術者になれる
解体工事施工技士を取得すると、解体工事の主任技術者になれます。
解体工事は500万円未満の小さな工事でも「解体工事業者登録」が必要であり、主人技術者を任せられる解体工事施工技士は重宝されます。
解体工事施工技士の主な勤務先は下記のとおり。
- 土木工事会社
- 解体工事会社
資格があれば転職も有利になるため、キャリアアップにぜひとも取得したい資格です。
解体工事の将来性【空き家問題で需要が大きい】
平成26年の国土交通省の調査では、国内の空き家は850万戸を超えています。
出典:国土交通省「空き家の現状と問題について」
核家族化が進んでいるため、多くの空き家は解体されています。
空き家は社会問題ではありますが、解体工事施工技士にとっては「需要がある」ということでしょう。
解体工事施工技士資格試験の難易度【きちんと勉強すれば大丈夫】
解体工事施工技士の資格試験の難易度を、下記の項目でまとめました。
- 合格率
- 受験資格
- 試験問題
- 合格基準
まずは試験の難易度を把握しましょう。
解体工事施工技士試験の合格率【50%くらい】
解体工事施工技士の近年の合格率は下記のとおりです。
年度 | 合格率 |
平成28年 | 48.9% |
平成29年 | 48.8% |
平成30年 | 60.5% |
令和元年 | 58% |
令和2年 | 58.8% |
半分くらいの人が合格できているので、決して難しい試験ではありません。
後述しますが、解体工事施工技士は試験前に講習会があるため、試験対策をしやすくなっています。
講習会があることも、合格率が高めの要因でしょう。
受験資格【施工管理技士と似てる】
解体工事施工技士の受験資格は下記のとおりです。
最終学歴 | 実務経験年数 | |
指定学科卒 | 指定学科以外卒 | |
大卒・専門卒(高度専門士) | 1年6ヶ月以上 | 2年6ヶ月以上 |
短大卒・高専卒(5年制)・専門卒(専門士) | 2年6ヶ月以上 | 3年6ヶ月以上 |
高卒・中等教育学校卒・専門卒(1年制) | 3年6ヶ月以上 | 5年6ヶ月以上 |
その他 | 8年以上 |
イメージとしては、施工管理技士の受験資格と一部の区分が似ています。
参考:施工管理技士の資格の種類や試験の難易度【各試験の難易度順も解説】
誰でも受験できる試験ではないので、受験資格からみる難易度はちょっと高いかと。
ちなみに、後述する「講習会」を受けると、受験資格の実務経験年数を1年短縮できます。
講習会で試験対策できるし、受験資格も優遇されるので、講習会は参加しましょう。
解体工事施工技士の試験問題【近年の出題傾向】
解体工事施工技士の試験問題は、大きく分けて下記の2つがあります。
- マークシート:4肢択一式/50問/90分
- 記述式:5問/120分
それぞれの試験問題は下記のとおりです。
マークシート | 土木・建築の基礎知識解体工事施工の計画・管理
解体工事の工法 解体工事用の機器・仮設 振動・騒音・粉塵対策 石綿対策 安全衛生管理 副産物・廃棄物対策 関連法規 |
記述式 | 解体工事の実務経験に関する記述木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造等の解体工事施工計画の実務 |
近年のマークシート問題は、環境についてや、廃棄物対策が多く出題される傾向です。
マークシート問題は暗記系が多いので、経験豊富な人でもしっかり勉強が必要ですね。
また、記述式問題は、「解体場所や規模別の解体方法」が出題される傾向です。
イメージとしては、下記のような記述問題です。
- このビルを解体するときの留意点を書け
- 解体工事施工技士に必要なスキル・知識を書け
記述式問題は実務経験が多い人ほど有利な印象です。
ただし、記述問題は独特の記載方法があるので、「書き方」を勉強しましょう。
結論、きちんと勉強すれば合格できる試験問題なので、極端に難易度は高くありません。
合格基準【ちょっと低め】
解体工事施工技士の合格基準は下記のとおり。
- マークシート:50点以上/100点満点
- 記述式:50点以上/100点満点
- トータル:115点以上/200点満点
マークシートと記述式は50%以上の正答でOK。
トータルでも約58%の正答で合格です。
多くの資格試験は「正答率60%以上」という合格基準が多いので、合格基準からみる難易度は少し低めといえるでしょう。
解体工事施工技士の試験情報【申し込み期間・試験日・合格発表など】
解体工事施工技士の試験情報は下記のとおりです。
申込期間 | 9~11月 |
講習会 | 10~11月 |
試験時期 | 12月 |
合格発表 | 2~3月 |
試験地 | 北海道、宮城、東京、新潟、福井、静岡、愛知、大阪、広島、徳島、福岡、鹿児島 |
受験料 | クレジットカード(インターネット申込):16500円コンビニエンスストア決済(インターネット申込):17000円
郵送申込:19800円 |
詳しくは、公益社団法人全国解体工事業団体連合会のホームページで確認してください。
【合格後】5年に一度の登録更新の講習会に参加が必要【レポートあり】
解体工事施工技士に合格して、資格を継続する場合は、5年に一度の登録更新の講習会を受ける必要があります。
登録更新の講習会の詳細は下記のとおりです。
講習会の時期 | 12~1月 |
講習会の日数 | 1日 |
受験料 | 12100円 |
更新料 | 4950円 |
講習会の内容 | 解体工事関係法令等の動向解体工事施工に関する情報
レポート作成 |
解体工事施工技士の勉強方法【試験前の講習会に参加すべし】
結論、解体工事施工技士は、試験前に2日間の講習会があるので参加しましょう。
講習会を受けるを、下記のメリットがあります。
- 受験資格の実務経験年数が1年短縮される
- 解体工事施工技士試験の内容を講義してくれる
前述のとおり、この講習を受けると、実務経験に必要な年数を1年短縮できます。
また、試験内容の講義をしてくれるので、合格への近道です。
2日間の講習の内容は下記のとおり。
1日目 | 建設業法・建設リサイクル法・改正リサイクル法など労働安全衛生法・規則等・労働災害統計・事例・KYT
石綿障害予防規則・大気汚染防止法・フロン回収破壊法 廃棄物処理法・廃棄物の基礎知識・建設廃棄物処理指針・有害物処理等 副産物調査結果・不法投棄状況・再資源化 |
2日目 | 土木建築の基礎知識解体工事の計画と管理(事前調査、積算・見積もり・契約、届出・許可申請、施工計画、許可申請、施工管理)
解体工法・解体用機器・騒音・振動規制法 解体作業・仮設・各構造の解体作業の手順(W/S/RC/SRC造)・留意点・施工事例 |
講習会の費用は下記のとおりです。
- クレジットカード(インターネット申込):27500円
- コンビニエンスストア決済(インターネット申込):28000円
- 郵送申込:30800円
また、講習を受けられる地域は下記です。
- 北海道
- 宮城
- 東京
- 新潟
- 福井
- 静岡
- 愛知
- 大阪
- 広島
- 徳島
- 福岡
- 鹿児島
費用はかかりますが、可能であれば講習会に参加しましょう。
独学におすすめのテキスト・試験の過去問題集
講習会に参加するとテキストが配布されるので、講習後もそのテキストで独学しましょう。
※このテキストはAmazonでも売ってないようです。
どうしても講習会に参加できない人は、全国解体工事業団体連合会のホームページで講習会用の資料集を購入しましょう。
また、講習会で過去問題集も販売されるので、購入をおすすめします。
過去問題集はAmazonでも売っていますが、講習会に参加すると最新版を手に入れることができます。
講習会に参加後の勉強方法【過去問中心】
講習会後の独学の勉強方法は、下記の手順でOKです。
- 講習会で習ったことをテキストで復習
- 過去問をやってみる
- 過去問でわからないところをテキストや解説でチェック
- あとはひたすら過去問を繰り返し解く
過去問をたくさん解くことで実戦に強くなるので、過去問中心で勉強しましょう。
解体工事施工技士の勉強時間【60~100時間がおすすめ】
解体工事施工技士の勉強時間ですが、独学で60~100時間も勉強すれば合格しやすいです。
講習会→試験までのスケジュールは下記のとおりでして、1~2ヶ月しかありません。
- 講習会:10~11月
- 試験時期:12月
仕事をしながらの勉強は大変ですが、毎日1~2時間の勉強時間を確保すれば、合格が見えてきます。
解体工事施工技士と併せて取得したい2つの資格
結論、王道ですが下記の2つの資格がおすすめです。
- 土木施工管理技士
- 建築施工管理技士
1つずつ解説します。
①土木施工管理技士
土木工事の施工管理スキルや知識を証明する国家資格です。
解体と土木は近い関係にあるため、取得しておきたいところ。
特に、1級を取得すると監理技術者になれるため、給料アップや転職もかなり有利です。
まだ取得していない人は、まずは2級から取得してみましょう。
1級・2級ともに受験資格があります。
下記の記事で詳細を解説してるので、あなたに受験資格があるか確認してみてください。
②建築施工管理技士
できれば建築施工管理技士も取得しておきたいところです。
建築も解体と近い関係だから。
建築施工管理技士も国家資格であり、給料アップや転職に有益です。
下記の記事で詳細を解説してるので、興味あればチェックしてみてください。
まとめ【解体工事施工技士の講習会も活用して資格を取得しよう】
この記事をまとめます。
- 解体工事施工技士は解体工事の施工管理向けの資格
- 合格率は50%くらいなので、きちんと勉強すれば合格できる
- 受験資格があるため、誰でも受験できる試験ではない
- 事前に講習会があり、試験内容の講義を受けられる
- 講習会に参加するとテキストや過去問題集が手に入る
解体工事施工技士を取得したいあなたの参考になればうれしいです。
また、土木施工管理技士と建築施工管理技士も併せて取得すると、キャリアアップに有益です。
土木施工管理技士と建築施工管理技士については、下記の記事を参考にどうぞ。
あなたの試験対策の参考になれば幸いです。