どういう特徴があるんだろう?
メリットとデメリットも知りたいな。
こういった疑問に答える記事です。
本記事でわかることは下記のとおり。
- 木造建築の構造の種類がわかる
- 木造建築のメリットとデメリットがわかる
木造建築の構造を解説します。
実は木造建築にはけっこうメリットがありまして、事実多くの人が採用しています。
大切な建築物だからこそ、メリットとデメリットを知っておきましょう。
目次
木造建築を名称や構造図で紹介【5つの種類】
木造建築の構造を、名称や構造図で紹介します。
主な木造建築の構造は、下記の5つです。
- 木造軸組工法
- 2×4工法
- ラーメン工法
- 丸太組工法
- 伝統工法
1つずつ解説しますね。
①木造軸組工法【一般的な構造】
木造軸組工法は、日本の木造家屋で多く採用されている構造です。
メリットは下記のとおり。
- 設計の自由度が高い
- リフォームで間取り変更しやすい
- 広い開口部をとりやすい
一方デメリットは下記のとおりです。
- 2×4より手間がかかるため、費用は高め
- 耐震性は弱い
- 火に特に弱い
上記デメリットは、次に紹介する2×4と比較したものです。
2×4は壁が強めなので、横からの揺れにも強く、火を跳ね返す力があります。
②2×4工法【費用は安いが自由度が低い】
2×4とは、床・天井・壁をプラモデルのように組み合わせる構造です。
アメリカやカナダで広く使われている手法で、日本にも入ってきた感じ。
メリットは下記のとおり。
- 壁が強く火に強い
- 壁が強いので地震にも強い
- 風に強い
- 機密性が高い
一方デメリットは下記のとおりです。
- 設計の自由度は低い
- 結露が発生しやすい
機密性が高いゆえに、結露が発生しやすいですね。
カビの原因にもなるので、状態が悪いと健康を崩す人もいるかと。
③ラーメン工法【大規模向けの木造建築構造】
低層のアパートなどに用いられる手法ですが、木造でも可能です。
メリットは下記のとおり。
- 広い空間をとることができる
- 間仕切りしやすい
- リフォームしやすい
反対にデメリットは下記のとおりです。
- 施工費用が高い
- 横の揺れに弱い
- 施工できる業者が少ない
木造で広い空間をとりたい場合は良いかと思います。
④丸太組工法【ログハウスのこと】
ログハウスのことです。
丸太を積み上げて造っていきます。
メリットは下記のとおり。
- 地震が起きると木材同士が揺れを吸収してくれる
- 断熱性が高い
- オシャレな雰囲気
一方、デメリットは下記のとおりです。
- 木が収縮して、隙間ができることがある
- 結露が発生しやすい
- 費用が高い
- メンテナンスも高い
正直、資金的な余裕は必要ですね。
オシャレな家ですが、維持していくのは少々大変です。
⑤伝統工法【古民家・神社など】
日本に古くからある構造です。
- 古民家
- 神社
- 寺院
などに用いられています。
メリットは下記のとおり。
- 地震の揺れをしなやかに受け流す免震構造
- 通気性が良いので、夏は過ごしやすい
- バラして移築が可能
一方、デメリットは下記のとおりです。
- メンテナンスの費用が高い
- 機密性が低く、冬は寒い
- 太陽が入らない設計が多く暗い
- 施工できる業者が少ない
伝統工法は地震に耐える「耐震構造」ではなく、揺れを受け流す「免震構造」ですね。
耐久性には優れています。
耐久性は奈良の法隆寺がわかりやすいですね。
1300年以上も残っているので、伝統工法の耐久性が素晴らしい証拠です。
ちなみに法隆寺については、
法隆寺の建築技術を解説【1300年以上前の建築的特徴は現代も使える】をどうぞ。
伝統工法に耐震補強工事は注意が必要
古民家などに耐震補強工事をする場合は、知識が必要です。
そもそも免震構造で造られているので、耐震補強をすると本来の力を発揮できないことも。
この辺は、古民家の耐震補強は注意が必要【基礎工事も含めた知識が必須】にまとめたので、興味あればどうぞ。
木造建築構造の6つのメリット
木造建築構造のメリットは、下記の6つです。
- 地震に強く造れる
- 調湿効果あり
- 暖かい
- きちんと手入れをすれば長持ちする
- 価格が安い
- 補助金あり
鉄筋や鉄骨造に負けないメリットがあります。
1つずつ解説しますね。
地震に強く造れる【技術の進歩】
近年の木造建築は、けっこう地震に強く造れるようになっています。
耐震技術の進歩が素晴らしいから。
前述のとおり、2×4工法は地震に強いです。
一般的には鉄骨・鉄筋の方が地震に強いと言われていますが、木造も負けていません。
引用元:Youtube「伝統的構法で作られた木造建築物の耐震性能検証実験|横田建築研究所 – 建築研究部」
調湿効果あり
木材が調湿してくれるので、快適に過ごせます。
湿度が高い季節は湿気を吸い込み、乾燥する季節は湿気を吐き出します。
日本で古来から木造建築が使われてきた理由の1つが、この調湿効果でしょうね。
ちなみに、畳を併せて使うとさらに調湿効果が高まります。
畳については、畳のメリットとデメリットを解説【フローリングや置き畳と比較】にまとめたのでどうぞ。
暖かい【断熱性が高い】
木は断熱性が高く、暖かいです。
よく「木のぬくもり」といいますが、雰囲気だけでなく本当に暖かいわけです。
鉄筋や鉄骨は熱伝導率が良いため、寒くなりやすいのがデメリット。
※金属を冷やすと、しばらく冷たいままですよね。
暖かい家が良い人は、木造建築がおすすめです。
きちんと手入れをすれば長持ちする
後述しますが、シロアリなどの被害に遭うことも。
ただし、定期的にメンテナンスをすれば長持ちします。
先ほどお伝えしたとおり、法隆寺が1300年以上残っているのが証拠です。
価格が安い
鉄筋や鉄骨造に比べると、木造は価格が安いです。
設計内容にもよりますが、1~4割ほど木造の方が安くできるイメージ。
価格を抑えて良い家を建てたい人は、木造建築も検討してみてください。
補助金あり
木造建築には各種補助金があります。
一般住宅だけでなく、公共建築物を木造で造ると補助金があります。
一般住宅の補助金の情報は、国土交通省のサイトでわかります。
また、公共建築物の補助金は林野庁のサイトをどうぞ。
木造建築構造の4つのデメリット
反対に、木造建築構造のデメリットは下記の4つです。
- 水に弱い
- 燃えやすい
- シロアリ被害に遭う可能性あり
- 鉄筋・鉄骨に比べると地震に弱い
デメリットも知った上で検討しましょう。
1つずつ解説しますね。
水に弱い
大量の水には弱いです。
木なので、腐ってしまうから。
例えば大雨で床下が浸水すると、基礎部分が腐食してしまうこともあります。
少量の水分は調湿してくれますが、限度を超えると水に弱いイメージです。
燃えやすい
なんせ木ですからね。
鉄骨や鉄筋に比べると、明らかに燃えやすいです。
不燃材料を用いるなど耐火の対策が可能です。
また、前述のとおり2×4工法は耐火性が強いです。
シロアリ被害に遭う可能性あり【メンテナンス必要】
木なので、シロアリ被害に遭う可能性もあります。
前述したとおり、定期的なメンテナンスが必要です。
躯体部分をシロアリにやられてしまうと、大規模な補修工事が必要になります。
床下点検や薬剤散布など、アフターフォローがしっかりしている業者を選ぶのも大切です。
鉄筋・鉄骨に比べると地震に弱い
木造建築も地震に強くなっていますが、やはり鉄筋・鉄骨に比べると地震には弱いです。
鉄筋・鉄骨の方が強度が強いので。
地震保険の補償も50%しかないので、全壊した場合はリスクが大きいです。
木造で建てるにしても、2×4広報にするなど耐震性は重視しましょう。
未来の木造建築【構造に革命かも】
今後は、木造の高層ビルが建つかもしれませんよ。
すでにカナダでは、18階建ての木造の学生寮「ブロック・コモンズ」があります。
また、下記のような木造の高層ビル計画も進んでいます。
- アメリカ:80階建ての木造ビル
- 日本(住友林業):70階建ての木造ビル
まだまだ木造建築の技術は進んでいきそうですね。
まとめ【木造建築構造の種類やメリット・デメリットを知った上で検討】
最後にもう一度、主な木造建築の5つの構造をまとめておきますね。
- 木造軸組工法
- 2×4工法
- ラーメン工法【大規模向けの木造建築構造】
- 丸太組工法【ログハウスのこと】
- 伝統工法
そして、メリットは下記の6つ。
- 地震に強く造れる
- 調湿効果あり
- 暖かい
- きちんと手入れをすれば長持ちする
- 価格が安い
- 補助金あり
デメリットは下記の4つです。
- 水に弱い
- 燃えやすい
- シロアリ被害に遭う可能性あり
- 鉄筋・鉄骨に比べると地震に弱い
メリットとデメリットを知った上で、慎重に検討してください。
参考になればうれしいです。