名前は聞いたことあるけど、具体的にどういうものかわからない。
現代でも使われてる手法なのかな?
こういった疑問に答える記事です。
本記事でわかることは下記のとおり。
- 数寄屋建築のことがわかる
- 現代の数寄屋建築の例がわかる
数寄屋建築は、茶室がベースになっている建築様式です。
現代でも和室に使われており、400年以上の歴史があります。
数寄屋建築の基礎と、現代の事例を紹介します。
目次
数寄屋建築を解説します
数寄屋建築が生まれたのは、安土桃山時代です。
千利休によって確立されたとされています。
原形は金閣寺などに代表される「書院造り」ですが、「わびさび」の考え方から豪華絢爛にせず、余計なものを削ぎ落としたシンプルな美を表しています。
豪華絢爛さでもてなすのではなく、部屋はシンプルにして茶人の人間性でもてなすことも意味しているそうです。
数寄屋=好きなように造るという意味
もともと数寄屋は、中国(唐)の美術品などを楽しむ部屋として始まったそうです。
そこから、
- 茶
- 生花
- 和歌
などの風流を楽しむ部屋として使われました。
数寄屋の語源は「好きに造った部屋」という意味で、今でいう「趣味部屋」のようなものだったのかもしれません。
「好きに造った部屋」なので、特に決まりはありません。
自由な精神は、まさしく「茶の自由な精神」を表しているのでしょう。
当時の数寄屋は四畳半が多かった
茶人1人に対して、客人が2~3人入れるスペースです。
一般的には母屋の離れとして造られ、日常生活とは切り離された空間になっています。
ちなみに、京都の妙喜庵の「待庵」という茶室は、わずか二畳しかありません。
千利休が造った茶室ですが、基本は茶人1:客人1の2人仕様です。
千利休の「一期一会」を最大級に発揮する造りと言われています。
引用元:Youtube「へうげもの名品名席[07][待庵]」
江戸時代からは住宅としても数寄屋造りが用いられたため、もっと広い造りになっていきました。
現代の和風民家の原形は、おそらく江戸時代に広まった数寄屋造りでしょうね。
数寄屋建築の特徴
「自然との調和」が重視されています。
できるだけ自然のものを加工せずに使うことが多く、
- 柱は丸太や竹のまま
- 壁は土壁
- 木目を見せる
という特徴があります。
ただし、前述のとおり「好きに造った部屋」なので、茶室によってかなり違います。
例えば下記のとおり。
- 長押には丸みのある面皮柱を用いる
- 天井も木目を見せる、棹縁天井もある
- 梁に丸太を使う
- ひさしを長くして、あえて暗さを作る
- 床の間、床框が省略されている
- 生花や壺を飾りやすいよう、複雑な棚を造る
- 庭の景色が見えるように大きな障子を使う
現代でも古い数寄屋建築が残っている【京都に多い】
国内に残る古い数寄屋造りには下記があるので、ぜひとも見にいってみてください。
現代の数寄屋建築の事例【工務店は多いです】
現代でも数寄屋建築は使われています。
特徴としては、現代技術との融合です。
例えば、
- 漆喰
- 珪藻土
- 天然の木材
など古き良き素材を使いつつも、間接照明を用いて暖かい雰囲気を造ったりしています。
他にも下記のような事例があります。
- 床の間に照明を用いることで調度品を映えさせる
- 木目調のフローリングの廊下との共存
- 大きなガラス窓を用いて、光をふんだんに取り入れた部屋
- ウッドデッキを併設して木の雰囲気を活かす
- マンションの中に茶室を造る
引用元:Youtube「数寄屋風茶室」
新築住宅でも数寄屋を選ぶ人も多く、まだまだ使われている建築様式です。
数寄屋造りの技術をもつ工務店も多く、需要に応えています。
まとめ【数寄屋建築は現代でも使われいる】
この記事をまとめます。
- 数寄屋造りは「好きに造った部屋」という意味
- 江戸時代に住宅建築として広まった
- 特徴は、できるだけ自然のものをそのまま使うこと
- 国内には古い数寄屋造りが残っているので見てみましょう
- 現代でも数寄屋造りは進化し続けている
数寄屋建築の参考になればうれしいです。
ちなみに木造建築の基礎については、木造建築を名称や構造図で紹介【デメリットもあるから注意】にまとめているので、こちらも参考にどうぞ。