AIが進化したら、仕事を奪われるの?
具体的に、どんなスキルを身につければ生き残れるのか知りたい。
こういった疑問や不安に答える記事です。
この記事でわかることは下記のとおり。
- 建築士の仕事はなくならないとわかる
- きたるAI時代に建築士が身につけるべき8つのスキルがわかる
私たちワット・コンサルティングは、建築士の転職サポートを行う会社です。
この記事では「建築士の仕事がなくなるのか?」を考察していきます。
「AIに仕事を奪われるのでは?」と言われていますが、建築士の仕事はなくならないでしょう。
なぜなら、人間しかできない業務が多いから。
この記事では、AIツール「ChatGPT」の見解も聞きながら書いたため信ぴょう性があると思います。
ChatGPTとはOpenAIが開発した人工知能の一種で、自然言語処理を用いて人間のような対話ができるツールです。
記事の後半で紹介しますが、8つのスキルを身につけていくと、今後も生き残る建築士になれるでしょう。
今後も安定して仕事をしたい人は、最後まで読んでみてください!
建築士の仕事はなくなるのか?【結論:なくならない】
建築の自動化やAI技術の発達により「建築士の業務が減少するのでは?」と不安視されていますが、建築士の仕事はなくならないと考えられます。
理由は下記の3つ。
- 建築物の設計は人間の創造性や判断力が必要不可欠だから
- 地域の文化や環境に合わせた設計は建築士でないと難しいから
- 現場の工事監理は建築士でないと難しいから
事実、野村総合研究所が発表している「人工知能やロボット等による代替可能性が高い 100 種の職業」に建築士は入っていません。
結論、AI技術が発展しても、すべての業務がAIに奪われるわけではなさそうです。
一般的に「建築士の脅威」と言われがちなAIツール【ただし問題なし】
一般的に建築士の脅威と言われているAIツールとしては、以下のものがあります。
- 設計支援AI
- 建築物の構造解析AI
- 建築物のエネルギー消費量シミュレーションAI
ただし、下記のとおり「すべてAIで完結できる」というわけではありません。
AIの種類 | 内容 |
設計支援AI | 建築士が手描きで描いたスケッチを、AIが自動で3Dモデルに変換する支援ツール。設計時間の短縮化につながるが、設計のクオリティが低下する可能性がある。 |
建築物の構造解析AI | 建築士が設計した建物の耐震性や構造強度を解析するツール。建築士の設計ミスを発見し、修正することができるが、建築士の設計能力に依存する部分もある。 |
建築物のエネルギー消費量シミュレーションAI | 建築士が設計した建物のエネルギー消費量をシミュレーションし、省エネ化の提案を行うツール。建築士の提案をAIが判断するため、建築士の設計能力が問われる。 |
結論、AIが建築士の脅威になるのではなく、建築士がAIツールを活用して業務を行うようになるでしょう。
3Dプリンターは建築士の脅威になりにくい
建築士がいらなくなるんじゃない?
いかにも建築士の仕事を奪いそうな3Dプリンターですが、こちらも今のところ問題なさそうです。
なぜなら、3Dプリンターでも設計は必要だから。
2022年ころから、国内でも3Dプリンターで建築許可がおりるケースが出てきました。
これらも設計が必要であり、なおかつ建築基準法をクリアする必要があるため、建築士が必要です。
3Dプリンターについては、3Dプリンター建築の5つのメリット【日本ではまだ実現性が低い】も参考にどうぞ。
BIMは建築士の脅威ではなく業務を助けるツール
建築士の仕事が減ったりしないの?
BIMは「Building Information Modeling(ビルディング・インフォメーション・モデリング)」のことで、建築物や施設などの設計・建設・運用・メンテナンスに関わるあらゆる情報をデジタル化し、共有することで効率的な設計・施工・運用できるシステムです。
具体的には下記ができます。
- 建物に関する情報を一元管理できる
- 最初から3Dで設計できる
- 3Dで部材・材質・性能・家具・設備なども設計できること
- 1つの作業がすべての設計図に反映されるため業務が効率的
BIMを取り入れるメリットは下記があります。
- 設計者・施工業者・施主の意思共有ができることで業務の効率化・コスト削減ができる
- 設計ミスをソフトが教えてくれるため設計ミスを防げる
- 設計変更がCADの約半分の時間でできる
- 設計図に人を入れて動かすこともでき、動線や使い勝手を事前にシミュレーションできる
- クライアントに完成形を3Dで見せられるため、イメージがわきやすい、合意形成が早い
- 設計・生産・施工・メンテナンスまで一貫して情報管理ができる
- 施工にかかるコスト情報もBIM内で共有できる
- メンテナンスや維持管理・点検・保守管理の数値化・見える化をすることができる
結論、BIMは建築士の仕事を奪うものではありません。
BIMは、建築士が設計や工事管理の品質を高めるために利用するツールの1つであり、むしろ建築士を助けるツールといえるでしょう。
建築士がBIMを積極的に活用し、技術や知識を身につけることで、より高度な建築設計や工事管理を実現することができます。
BIMの詳細は、BIMやCIMソフトの建築や土木の設計のメリットを参考にどうぞ。
AIが得意なこと・苦手なこと【建築士の価値】
建築士しかできないことって何なの?
基礎知識として、AIの得意なこと・苦手なことを知っておきましょう。
AIが得意なこと |
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AIが苦手なこと |
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建築設計に不可欠な芸術的な表現・クリエイティブな業務はAIの苦手分野なので、建築士が必要といえるでしょう。
建築士がAIに勝るところ
建築士がAIに勝るポイントは下記のとおりです。
- 施主に対する情緒的な質問・コミュニケーション
- 施主と信頼関係を構築していく
- 施主のニーズや文化的な背景を理解し、それを反映した建築物を設計すること
- その地域の特性・風土を考慮した設計
これらは建築設計に必要不可欠ですよね。
「施主に対する情緒的な質問・コミュニケーション」については、例えばAIに「あなたのことを考えて設計しました」といわれるより、建築士から「あなたのことを考えて設計しました」と言われた方が施主に刺さります。
結果、合意形成も速く進むでしょう。
くりかえしですが、建築士はまだまだ必要といえます。
建築士の工事管理はAIには難しい
「施主の思いを反映しているか」など情緒的な部分を加味した工事管理は、まだAIには難しいでしょう。
例えば「施主さんが◯◯を大事にしたいと言っていたので、ここは必ず△△にしてほしい」など。
ドローンなどを使った工事監理も進んでいますが、やはりまだ人の目が必要と言わざるを得ません。
また、人間が工事監理を行わないと、責任の所在が曖昧になりやすいでしょう。
施工ミスが起こった場合に「AIが大丈夫と言ったから…」では施主に説明がつきません。
責任を明確にするためにも建築士は必要です。
建築士がAIに代替される可能性がある業務
建築士がAIに代替される可能性がある業務は、以下のようなものがあります。
建築設計のビジュアルイメージの生成 | 初期段階で施主に対して建物のコンセプトやビジョンを映像で見せることがあります。このときのビジュアルイメージの生成はAIの得意分野です。ただし、ビジュアルイメージの説明は建築士がプレゼンします。AIがプレゼンするより、合意形成(クロージング)がうまくいきやすいでしょう。 |
オンラインの現場確認 | ドローンを使って、現場にいかなくても工事監理することができます。ですが、何か問題があれば建築士が指示を出す必要がありますし、場合によっては現場に行く必要があります。参考:ドローンが建築現場で活躍 |
設計ミスのチェック | BIMなどの設計ソフトが、設計ミスや建築基準法の条件を満たさない部分があるとアラートで教えてくれます。 |
こうした「単純なミスを探す作業」はAIに代替されていくでしょう。
たしかに一部AIに代替される業務はありますが、建築士の仕事自体がなくなることは考えにくいです。
建築士はAIを活用しながら発展していく仕事【将来性あり】
これまでお伝えしてきたことをまとめると、今後の建築士はAIを活用しながら仕事をするようになるでしょう。
単純計算や簡単なチェックはAIの得意分野ですが、コミュニケーションなどクリエイティブな業務は建築士ではないとできません。
建築の根幹にある「人間の思いや価値」を形にするためには、建築士の存在が不可欠です。
建築士がクリエイティブ業務に集中できる未来に向かっている可能性があるため、AIの進化は建築士にとって追い風になるでしょう。
AIを活用しながらも、人間の感性や洞察力を大切にして、施主の希望や要望を実現する建築物を創り出していくことが求められます。
将来性も問題ないと言えるでしょう。
人材不足もあり建築士の需要は大きい
結論、建築士の需要はまだまだ大きいです。
そもそも人間が生きていくには建物が必要不可欠であり、新築だけでなく修繕工事の需要も大きいから。
また、日本は自然災害が多いため、復興工事にも建築士が必要です。
にもかかわらず、建築士は不足しています。
厚生労働省が発表した令和3年2月の「建築・土木・測量技術者」の有効求人倍率は6.35倍で、人が足りていないことがわかります。
※1人の求職者に対して6.35件の求人がある状態
参考:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和3年2月分)について」
このことからも「建築士の仕事がなくなる」とは考えにくいです。
きたるAI時代に建築士が身につけるべき8つのスキル
これから本格化するAI時代に向けて、建築士が身につけた方がいいスキルは下記の8つです。
- BIM操作スキル
- 時代に合わせた設計スキル
- 省エネ設計のスキル
- バリアフリー設計のスキル
- クリエイティブな発想力
- コミュニケーションスキル
- プロジェクトマネジメントスキル
- Webマーケティングスキル
1つずつ解説します。
①BIM操作スキル
先ほどもお伝えしたとおり、BIMを使うシーンが増えるからです。
BIMの操作スキルを身につける方法は下記などがあります。
- BIM専門の研修や講座に参加する
- 実務でのBIMを使ってみる
- BIMの本で独学する:これだけ!BIMなど
- BIM関連の資格を取得する:Revit Architecture ユーザー試験など
代表的なBIMソフトに「Revit」があります。
詳しくは、Revitとは?できることや価格を解説【使い方の勉強方法も紹介します】を参考にどうぞ。
②時代に合わせた設計スキル
先ほどもお伝えしましたが、AIは「新しい状況への適応」が苦手です。
時代に合わせた設計スキルの先行をとれるのは、人間の建築士の強み。
時代に合わせた設計スキルを身につける方法は、下記などがあります。
- セミナーや講習会に参加してトレンドを学ぶ
- 同業者と交流してアイデアを情報交換する
- 書籍や雑誌を読んでヒントを得る
- SNSで情報収集する
常にアンテナを貼っておき、学習し続ける必要があります。
③省エネ設計のスキル
環境問題が世界的に叫ばれる中、建築士には省エネ設計が求められています。
例えば、下記のような設備も勉強する必要があるでしょう。
省エネ設計のスキルを身につける方法は、下記などがあります。
- 各種セミナー・書籍・Webサイトで最新情報を勉強する
- エネルギーモデリングソフトウェアを使ってシミュレーションする
- 設備業者と情報共有する
④バリアフリー設計のスキル
高齢化でシニア向け住宅やバリアフリー住宅の需要が増加しているため、設計スキルを学んでおきましょう。
バリアフリー設計のスキルを身につける方法は、下記などがあります。
- バリアフリー法など関連する法律や規制を学ぶ
- 実際にバリアフリー設計の業務を経験する
- バリアフリー設計に強い建築士と情報交換する
⑤クリエイティブな発想力
AIにはできない感性や発想力を活かした設計をするためにも、クリエイティブな発想力を磨きましょう。
クリエイティブな発想力を育てるコツは、下記などがあります。
- 音楽を聴く
- 小説を読む
- 旅行をする
- 絵を描いてみる
- 歴史的な建築物を学ぶ
- 引っ越しや転職など環境を変える
- マインドマップで思考を整理する
- ブレインストーミングで思考を洗い出す
ちなみに歴史的な建築物については、下記の記事も参考になると思います。
⑥コミュニケーションスキル
先ほどもお伝えしたとおり、コミュニケーションスキルは人間しかできないスキルです。
施主とのコミュニケーションを円滑にすることで、合意形成にも役立ちます。
コミュニケーションスキルを高めるコツは下記などがあります。
- 本やセミナーなどで学ぶ
- プレゼンテーションを練習する(ロープレを行う)
- チームでの設計業務の経験を積む
⑦プロジェクトマネジメントスキル
今後の建築士はAIツールを使いこなす必要があります。
そのため、AIツールを使って設計プロジェクトを進めるマネジメントスキルが重視されていくでしょう。
※AIツールの監督業務にようなイメージ。
どんなに便利なAIツールでも、業務管理ができないと問題です。
プロジェクトマネジメントスキルを身につける方法は、下記などがあります。
- AIツールの使い方を勉強する
- 各AIツールにできること・できないことを把握する
- AIツール全体を把握するシート(スプレッドシート)などを用いて管理する
また、チームで設計する場合もプロジェクトマネジメントスキルが必要です。
こちらはプロジェクトマネジメントの本で勉強したり、実際にチームで稼働することで学んでいきましょう。
⑧Webマーケティングスキル【独立している建築士向け】
こちらは独立している建築士向けですが、Webマーケティングスキルを身につけて新規の設計案件を集客しましょう。
継続的に設計依頼が入ってくる仕組みを作れば、安定して収益を産むことができます。
近年は建築士のフリーランス化も進んでいますが、同様にWebマーケティングスキルがあった方が良いでしょう。
クラウドソーシングで案件を受注できますが、より高単価の案件受注にはWebマーケティングスキルがあった方が有利です。
特におすすめのスキルは下記の3つです。
- SEOスキル:Google検索で上位表示させるスキル。YouTubeや教材で学べる
- SNSスキル:セルフブランディングを行い集客する。SNSの教材で学べる
- YouTubeスキル:役立つ設備や設計の知識をYouTubeで話す。教材やコンサルタントから学べる
まとめ:建築士はなくならない仕事。必要なスキルを身につけよう
結論、建築士の仕事がAIに奪われることは考えにくく、むしろAIを活用して業務を行うようになるでしょう。
ただし、時代に合わせて変化していく必要があります。
この記事で紹介した8つのスキルを身につけていくのがおすすめです。
- BIM操作スキル
- 時代に合わせた設計スキル
- 省エネ設計のスキル
- バリアフリー設計のスキル
- クリエイティブな発想力
- コミュニケーションスキル
- プロジェクトマネジメントスキル
- Webマーケティングスキル
今後の業務の参考になればうれしいです!