工事はどうやって進んでいくの?
他の工事と比べて、注意した方がいいことはあるの?
転職を考えてるんだけど、マンション大規模修繕工事の施工管理のメリットも知りたいな。
残業は少なめって聞いたんだけど…
こういった疑問に答える記事です。
この記事でわかることは下記のとおり。
- マンション大規模修繕工事の基礎知識がわかる
- マンション大規模修繕工事の施工管理の進め方がわかる
- マンション大規模修繕工事の施工管理の注意点がわかる
- マンション大規模修繕工事の施工管理のメリットがわかる
- マンション大規模修繕の施工管理におすすめの資格がわかる
私たちワット・コンサルティングは、施工管理の転職サポートを行う会社です。
マンション大規模修繕工事の施工管理の紹介も行っています。
結論、マンション大規模修繕工事の施工管理はおすすめです。
他の工事に比べて休みやすく、将来性もあるから。
今より自由時間を増やして、長く安定して稼ぎたい人は最後まで読んでみてください!
マンション大規模修繕工事の施工管理の注意点や転職方法も解説します。
この記事の監修者
施工管理の技術者派遣を行う会社。これまで1500名以上の未経験者を施工管理として育成した実績あり。
- 労働者派遣事業許可番号 派13-304593
- 有料職業紹介事業許可番号 13- ユ-304267
- 特定建設業 東京都知事許可 (特-1) 第150734号
目次
マンション大規模修繕工事の基礎知識
基礎を知りたいな。
まずは下記の項目で、マンション大規模修繕工事の基礎知識を解説していきます。
- 大規模修繕工事の必要性
- マンション大規模修繕工事は何年ごとに行うのか?
- マンション大規模修繕工事の受注方式
- マンション大規模修繕工事で施工する部分
- 大規模修繕工事のスケジュール
転職する前に、基礎として知っておきましょう。
大規模修繕工事の必要性
大規模修繕工事が必要な理由は、下記の3つです。
- 安全性の確保:劣化による事故を防ぐ
- 耐久性の向上:マンションが長持ちするように補修工事を行う
- 資産価値の維持:マンション所有者の財産を減らさない
例えば、手すりが劣化していると、人が落下する恐れがありますよね。
そうした事故を防ぐためにも、劣化している部分を補修しなければいけません。
また、大規模修繕工事でマンションを維持することで、マンションの価値を下げにくくする効果があります。
マンションを売却するとき高く売るためにも、定期的な大規模修繕工事が必要です。
マンション大規模修繕工事は何年ごとに行う?
12~15年に1回の大規模修繕工事を行います。
建築基準法で「外壁がタイル貼りなどで築後10年を経過したマンションは、3年以内に外壁の全面打診調査を行う必要がある」と規定されているからです。
出典:国土交通省「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査」
ただし、いつ大規模修繕工事を行うかは、マンション管理組合(区分所有者)が決定します。
修繕積立金が少ないマンションは、大規模修繕工事を遅らせることもあるようです。
マンション大規模修繕工事の受注方式
受注方式は、大きく分けて2つあります。
- 責任施工方式:管理組合が施工会社に直接依頼する方式。施工会社が設計・施工を行う
- 設計監理方式:設計事務所が仕様書を作成して工事監理を行う。施工会社は施工のみ
どちらの受注方式にせよ、お客様は管理組合となります。
マンション大規模修繕工事は共用部分の補修工事を行う
マンション大規模修繕工事は、あくまで共有部分の補修工事のみを行います。
共有部分とは「住戸以外の部分」で下記など。
- 屋上
- 防災設備
- 廊下・階段
- ゴミ置き場
- エレベーター
- エントランス
- 宅配ボックス
- 駐輪場・駐車場
ちなみに、住戸部分(占有部)の工事は、区分所有者が個人で施工会社に依頼します。
大規模修繕工事のスケジュール
マンションの規模にもよりますが、下記のようなスケジュール感です。
- 計画~着工:1~2年
- 施工:3~6ヶ月
計画~着工までに時間がかかりますが、これはマンションの住民(区分所有者)の合意をとるのに時間がかかるから。
マンションは「みんなの財産」なので、多数決などで工事の詳細が決まっていきます。
住民の声をまとめる必要があるため、計画~着工までは時間がかかる傾向です。
マンション大規模修繕工事の施工管理の進め方|工事内容も解説
あと、どんな工事があるかも知っておきたいな。
下記の3工程に分けて、マンション大規模修繕工事の施工管理の進め方を解説していきます。
- 着工前の段取り
- 工事中の管理
- 工事完了後の処理
代表的な工事もまとめたので、イメージにどうぞ。
着工前の段取り
工事を始める前に行うことは下記などがあります。
- 仕様書で工事の内容・予算・スケジュールなどを確認
- マンションの構造・設備・状況などを確認
- 工事に必要な設備・資材・人員を確保
- 施工図や施工計画書などの書類を作成
- 資材の搬入経路、電気や給排水設備の確認、工事車両置き場、資材・廃材置き場、仮設トイレや手洗い場など仮設計画を立てる
- 道路の使用許可、電力会社に電線防護管や引込電源の申請、足場やゴンドラの設置届など各種届出を行う
- 住民説明会を開催して工事内容を説明
- 周辺住民や関係者への周知
- 仮設事務所や作業員の休憩所の設置
- 工事用掲示板の設置
一般的な建築工事の段取りと共通する部分も多いですが、住民説明会があるのが特徴でしょう。
マンションの住民(区分所有者)に対して、工事の説明を行います。
工事中の管理
マンション大規模修繕工事には下記のような工事があり、施工管理が管理を行います。
- エントランス床、エレベーター内、共用部の手すり、バルコニーのエアコン室外機など各所を養生
- 足場を組み立ててメッシュシートを設置
- 警備員の手配・配置
- 外壁タイルの浮きを調査→付着力試験→補修工事
- クラック(ひび割れ)の調査→補修工事
- 外壁の欠損箇所を調査→補修工事
- 外壁の汚れをとる高圧洗浄
- サッシ・建具まわり・目地などのシーリング工事
- 手すり・玄関扉枠・雨どい・屋上配管・受水槽など鉄部塗装工事
- 外壁塗装工事
- 屋上の防水工事
マンション大規模修繕工事では、外壁補修や屋上防水工事が多いです。
タイルの浮きやひび割れを調査して、下記のような補修工事を行います。
- タイルを接着する
- ひび割れを埋める
外壁や屋上の欠損を放置しておくと、雨水が入ってきます。
雨漏りの原因になることはもちろん、躯体が劣化してマンションの寿命が縮んでしまうでしょう。
コンクリートは雨水に弱く、コンクリート内にも雨水が入れば鉄筋がサビてしまいます。
こうした劣化を防ぐためにも、外壁補修や屋上防水工事が必要です。
工事完了後の処理
工事が完了したら、下記の処理を行います。
- 足場解体工事
- 引き渡し前に竣工検査を実施
- 工事完了報告書や引渡し書類を作成
竣工検査は住民の立ち合いで行うことが多いです。
もちろん一般的な施工管理業務も行う
もちろん、下記のように一般的な施工管理の行う業務も行います。
- 安全管理:事故が起きないよう対策する
- 品質管理:工事の品質を確保する
- 工程管理:工事のスケジュール調整
- 原価管理:会社に利益が出るようにお金の管理
- 環境管理:周辺環境への配慮
- 現場の写真撮影
- 写真の整理
- 朝礼の進行
- 現場の清掃
- トラブル対応や緊急対応など
では次に、マンション大規模修繕工事特有の注意点を解説していきます。
マンション大規模修繕工事の施工管理の注意点
マンション大規模修繕工事は、住民が生活する中で工事を行うため、一般的な工事よりかなり配慮が必要です。
※スマホを横にすると見やすいです。
配慮すること | 具体的な内容 |
住民へのあいさつ | 住民とすれ違うときなどにあいさつがないとクレームになることがある。
施工管理だけでなく出入りする業者にもあいさつを徹底してもらう。 |
騒音の配慮 | 音を出す時間帯の配慮。
騒音が予想されるときは事前に告知するなど |
夜間工事の禁止 | 騒音などの問題があるため夜間の工事は行わない |
足場の施錠 | 外部からの侵入者を防ぐため。
足場から不審者が入り、バルコニーから占有部に侵入して窃盗・迷惑行為などに発展すると大問題になる。 |
バルコニーの施工時の目線の配慮 | 作業員が占有部を直視しないように指導するなど |
エレベーター使用の配慮 | 住民もエレベーターを使うため配慮が必要。
特にタワーマンションのエレベーターは時間がかかるため注意して使用する。 |
敷地内での喫煙禁止 | クレームにつながりやすい。
作業員の喫煙所を設けるなど |
敷地内の清掃の徹底 | 敷地内にゴミが落ちているとクレームになることがある。
作業員にも清掃を徹底してもらう。 |
常にお客様に見られながら工事するのは特殊ですよね。
「お客様満足度」が強く求められると思っておきましょう。
施工会社によっては、お客様満足度を上げるための研修を実施しているところもあります。
参考記事
ちなみに、施工管理の仕事内容の全体像については、施工管理(現場監督)の13の仕事内容をわかりやすく解説にまとめています。
マンション大規模修繕工事の施工管理のメリット3選
主なメリットは下記の3つです。
- 残業が少ない
- 土日に休みやすい
- 将来性が大きい
メリットが大きいのでおすすめです。
1つずつ解説します。
①残業が少ない
マンション大規模修繕工事は夜間工事がないため、早く帰れることが多いから。
住民が生活している中で夜間工事をしてしまうと、騒音問題に発展してしまいます。
昼間の工事後に事務所で作業はありますが、他の工事よりは早く帰りやすい傾向です。
という人におすすめです。
※ただし現場の進捗具合によっては、残業が長くなることもあります。
②土日に休みやすい
マンション大規模修繕工事は、基本的に土日は工事をしないから。
土日休みの住民が多いため、騒音などを加味して土日は休工の現場が多いです。
という人にもおすすめです。
※ただし事務作業が残っている場合は、土日に作業することもあるでしょう。
③将来性が大きい
新築マンション建築が減っており、今後は大規模修繕の需要が高まるからです。
出典:国土交通省「分譲マンションストック戸数」
これからの時代は「すでにある建物を長く使う時代」になっていくでしょう。
しかも、1つのマンションが何回も大規模修繕工事を行うため、今後も仕事は安定しています。
今のうちにマンション大規模修繕の施工管理スキルを身につけておくと、長く稼いでいけるでしょう。
マンション大規模修繕工事の施工管理に転職する方法
転職サイトや転職エージェントを利用して、求人を探せばOK。
どこも人手不足なので、転職しやすいですよ。
特に、マンション大規模修繕の施工管理の経験者であれば、転職はかなり有利です。
また、マンション大規模修繕の施工管理経験がなくても、建築施工管理の経験があれば転職できる可能性は高いでしょう。
転職後、最初はマンション大規模修繕ならではのルールなど新しく覚えることもありますが、施工管理の経験者ならスムーズに転向できます。
年間休日が多いマンション大規模修繕工事の施工管理求人
冒頭でも触れましたが、私たちワット・コンサルティングは施工管理の転職サポートを行う会社です。
マンション大規模修繕工事の施工管理求人を見ることができます。
年間休日120日以上の求人もあるため、ワークライフバランスを重視したい人は情報収集に活用してみてください。
※無料で求人だけ見ることも可能です。
マンション大規模修繕の施工管理におすすめの資格5選
結論、下記の5つがおすすめです。
- 1級建築施工管理技士
- 一級建築士
- 防水施工管理技術者
- マンション維持修繕技術者
- マンション改修施工管理技術者
キャリアアップ・年収アップするためにも、取得していきましょう。
1つずつ解説します。
1級建築施工管理技士
1級建築施工管理技士をおすすめする理由は、大型マンションの大規模修繕工事の監理技術者になれるから。
監理技術者の配置が必要な要件は下記のとおりです。
- 下請に出す工事の総額が4500万円以上
- 建築一式工事の総額が7000万円以上
大規模なマンションだと施工金額が1億円を超えることもあるため、監理技術者になれる1級建築施工管理技士は多くの会社から求められます。
まだ建築施工管理技士の資格を取得していない人や、2級建築施工管理技士しかない人は、ぜひとも挑戦してみましょう。
1級建築施工管理技士を取得するコツは、1級建築施工管理技士の合格率や過去問や受験資格から見る難易度にまとめています。
一級建築士
一級建築士がおすすめの理由は、設計図面の理解が深まるから。
図面から建築士の意図をくみとれるため、業務に活かせます。
また、1級建築施工管理技士と併せて取得すると、大手への転職が有利になります。
大手では、1級建築施工管理技士+一級建築士の採用が多いので。
建設業界は企業規模が大きくなるほど、年収も上がる傾向です。
稼ぎたい人は1級建築施工管理技士と一級建築士を取得しましょう。
参考:一級建築士と一級建築施工管理技士は両方とった方がいい【勉強のコツ】
一級建築士については、一級建築士試験の合格率や受験資格からみる難易度【勉強時間の目安】に詳しくまとめています。
防水施工管理技術者
防水工事の施工管理スキルを証明できる資格です。
知識を強化できるため、取得しておくと良いでしょう。
防水施工管理技術者にはⅠ種とⅡ種があります。
- Ⅰ種:屋根・屋内・地下・水槽などの防水工事
- Ⅱ種:外壁などの防水工事
受験するには実務経験がないといけません。
- Ⅰ種:屋根・屋内・地下・水槽などの防水工事の施工管理の実務経験7年以上
- Ⅱ種:外壁などの防水工事の施工管理の実務経験5年以上
なおかつ、下記の資格のいずれかが必要です。
- 一級建築士
- 二級建築士
- 1級建築施工管理技士
- 2級建築施工管理技士
- 建築仕上げ改修施工管理技術者
- 建築仕上診断技術者
詳しくは、防水施工管理技術者とは【防水工事の施工管理スキルを証明できる資格】を参考にどうぞ。
マンション維持修繕技術者
マンションの維持や修繕のスキル・知識を証明できる民間資格です。
大規模修繕の施工会社への転職が有利になるでしょう。
マンション大規模修繕の施工管理に特化した資格なのでおすすめです。
詳しくは、マンション維持修繕技術者試験の難易度【過去問とテキストで独学可能】にまとめています。
マンション改修施工管理技術者
マンション施工管理の技術や知識を証明する資格です。
この資格があると管理組合の合意を得やすくなることがあるため、取得しておくと会社に貢献できるでしょう。
受験自体は誰でも可能です。
ただし、合格後の資格者登録は、マンション大規模修繕工事の施工管理経験が必要です。
また、下記の資格保持者も登録が可能です。
- 一級建築士
- 二級建築士
- 技術士(建設部門)
- 建築施工管理技士(1級・2級)
- 管工事施工管理技士(1級・2級)
- 建築設備士
- 職業能力開発促進法の技能検定合格者(躯体・仕上げの1級・2級)
詳しくは、マンション改修施工管理技術者とは【合格率や難易度も解説します】にまとめています。
まとめ:マンション大規模修繕工事の施工管理に転職してみよう
この記事をまとめます。
- 安全性の確保、耐久性の向上、資産価値の維持に大規模修繕工事が必要
- マンション大規模修繕工事は、共有部分の補修工事のみを行う
- マンション大規模修繕工事は、外壁補修や屋上防水工事が多い
- 住民が生活する中で工事を行うため、一般的な工事より配慮が必要
- 残業が少ない、土日に休みやすい、将来性が大きいなどメリットあり
ということで、マンション大規模修繕工事の施工管理に興味がある人は、さっそく求人情報をチェックしてみましょう。
行動しないと何も始まりませんからね。
と考えていても前に進まないし、転職が遅くなってしまいます。
具体的な求人情報を見ながら考える方が効率的ですよ。
くりかえしですが、私たちワット・コンサルティングの転職サポートでも、マンション大規模修繕の施工管理求人を見ることもできます。
年間休日120日以上の求人もあるため、ワークライフバランスを重視したい人は情報収集してみてください。
ちなみに、造園以外の施工管理については、施工管理(現場監督)の16種類の職種を解説にまとめています。
また、未経験から施工管理への転職に失敗しないコツは以下の9つです。
失敗を防ぐコツ
- 新人研修がしっかりしている会社を選ぶ
- 未経験者OKの求人情報に絞る
- 転勤の有無をチェックする
- 給料・休日・福利厚生など条件をチェックする
- 資格取得支援など人材育成に力を入れている会社を選ぶ
- ブラック求人を避けてホワイト企業を探す
- 型に沿って志望動機を作る
- 型に沿って自己PRを作る
- 面接でよく聞かれる質問の答えを用意しておく
詳しくは、未経験でも施工管理に転職できる!転職に失敗しない9ステップにまとめたので、参考にしてみてください。
あとは行動あるのみ。
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新築→修繕の時代になっているため、マンション大規模修繕工事の施工管理は今後も伸びていくでしょう。
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