「建築士で独立してやっていくのは難しいのかな?」
「収入が安定するか不安…」
「そもそもどうやって独立するの?」
「本当に独立して大丈夫かな…?」
こういった疑問や不安に応える記事です。
この記事でわかることは下記のとおり。
- 建築士で独立するメリットとデメリットがわかる
- 建築士で独立する手順がわかる
- 独立しても失敗しにくいコツがわかる
- まだ独立が不安なときの対処法がわかる
「建築士として独立したい!」と思っても、不安の方が大きいですよね。
仕事が少ない建築士もたくさんいるので、独立しても食べていけるとは限りません。
この記事では、独立のメリット・デメリットや、失敗しにくいコツも解説します。
「あなたは独立していいのか?」がわかると思います。
くれぐれも言っておきますが、安易な独立はおすすめしません。
独立するのは自由ですが、慎重に判断してください。
それでは、さっそく見ていきましょう!
目次
建築士が独立するメリットとデメリット
まずは、建築士が独立するメリットとデメリットを解説します。
特にデメリットは、「あなたが許容できそうか?」という観点で読んでみてください。
独立するメリット
建築士が独立する主なメリットは下記です。
- 仕事の自由度が増す
- 収入の上限がなくなる
- 休日や休憩が自由になる
- 仕事の方針を自分で決められる
独立=社長になるので、仕事の決定権が大きくなります。
なので、下記のようなこともあなたが決める感じです。
- どんな仕事をしたいか?
- どれくらい働きたいか?
- どれくらい稼ぎたいか?
リスクはあるものの、「自由に働きたい」という人は独立がよいかもしれません。
近年はネット上から仕事を受注できる「クラウドソーシング」も増えているので、まずはどんな案件があるか見てみましょう。
特に「クラウドワークス」がおすすめです。
独立した建築士の年収【収入は人によってかなり違う】
ちなみに、独立している建築士の年収は、人によってかなり違います。
年収200万円台の人もいれば、1億円以上を稼ぐ人もいます。
後述しますが、収入の差はマーケティングや営業スキルの差が大きいです。
どんなに設計スキルが高くても、案件がこないと収入になりません。
独立する前から「どうやって仕事をもらうか?」の戦略を立てておきましょう。
独立するデメリット
反対に、建築士が独立するデメリットは下記のとおりです。
- 仕事がないと収入がなくなる
- 収入が不安定になりがち
- 忙しいと休めない
- 建築設計スキル以外に学ぶことが多い
独立する建築士は多く、仕事の取り合いになっているのも事実です。
うまく仕事をもらえないと収入が安定せず、最悪の場合は生活できなくなってしまいます。
また、ご存じのとおり、新築の着工件数は減少傾向です。
野村総合研究所の予測によると、今後も新築の着工件数は減り続けるようですね。
仕事の幅を広げていく努力も必要になるでしょう。
出典:野村総合研究所「野村総合研究所、2040年度の住宅市場を予測」
そして、建築設計スキル以外に、下記も勉強しないといけません。※詳しくは後述します。
- マーケティングスキル
- 営業スキル
- 経営スキル
建築設計に集中したいなら、独立しないのも1つの方法かもしれません。
ちなみに、一般的な一級建築士の平均年収は642万円です。
建築士の年収については、一級建築士の年収や給料!収入を上げる方法は?を参考にどうぞ。
正社員の建築士であれば収入も安定するので、慎重に検討してください。
もし転職でもいいのであれば、SUN-SUKEなどで建築士の求人もチェックしながら考えましょう。
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他の建築士が独立を考える理由
ちなみに他の建築士さんたちは、下記のような理由で独立を考えています。
- 自分の力を試してみたい
- 会社員が性に合わない
- 自由な時間がほしい
- もっと収入がほしい
あなたと似た理由で独立を考える人もいるかもしれませんね。
建築士が独立を考える年齢
独立を考える建築士さんは、30代以上の人に多いです。
後述しますが、資格の登録や実務経験年数を加味すると、独立は早くても30代以降が現実的。
中には、50代まで十分にスキルを積んで、潤沢な人脈を作ってから独立する人もいます。
※人脈が多い=仕事が安定しやすい。
焦って独立して失敗しないように、慎重に検討しましょう。
建築士が独立する7つの手順【フリーランスへ転向】
ちなみに、建築士として独立する手順は下記の7ステップです。
- 建築士の試験に合格する
- 5~7年の実務経験を積む
- 会社を辞める
- 建築士事務所として登録する
- 管理建築士講習を受ける
- 税務署に開業届を出す
- 仕事を受注する
1ステップ解説するので、独立・フリーランスの参考にしてみてください。
【手順①】建築士の試験に合格する
先に建築士試験に合格しておきましょう。
実務経験を積めば建築士の登録ができるので。
各建築士に合格するコツは、下記の記事を参考にどうぞ。
【手順②】5~7年の実務経験を積む
設計事務所・ハウスメーカー・建設会社などで、最低でも5~7年の実務経験を積んでおきましょう。
肝心の設計スキルが足りないと、独立してもやっていけないから。
また、建築士として登録するにも、下記の実務経験年数が必要です。
- 二級建築士・木造建築士:0~2年
- 一級建築士:2~4年
建築士登録の実務経験年数の詳細は、改正建築士法の建築士試験の新受験資格!実務経験なしで受験できる?で解説してます。
また、建築士事務所には「管理建築士」を配置しなければならず、管理建築士の登録には3年以上の実務経験年数が必要です。
【手順③】会社を辞める
十分に実務経験を積んだら、会社を退職しましょう。
退職までのスケジュールは、余裕をもっておくのがコツです。
進行中の案件があると、すぐに辞められないことがあるから。
基本的な退職の手順は下記のとおりです。
- 直属の上司に退職を申し出る
- 退職時期の決定
- 引き継ぎ業務
- 退職
会社を辞めるときは「立つ鳥跡を濁さず」が基本です。
独立後も、退職した会社と仕事をすることがあるかもしれないので、円満退職を目指しましょう。
【手順④】建築士事務所として登録する
建築士法第23条により、独立する場合は建築士事務所の登録が必要です。
登録せずに仕事をしてしまうと、懲罰・罰金の対象になるので必ず登録しましょう。
必要書類を建築士事務所協会に提出すればOKです。
また、建築士事務所の登録の有効期限は5年なので、忘れずに更新手続きもしてください。
【手順⑤】管理建築士講習を受ける
建築士法第24条により、建築士事務所には「常勤の管理建築士」を配置しなければいけません。
※1人の事務所の場合は自分でOK。
前述のとおり、建築士事務所に所属する建築士として3年以上の実務経験が必要です。(国土交通省が定める実務経験)
管理建築士講習を受けてから登録になるので、まずは講習を受けましょう。
【手順⑥】税務署に開業届を出す
税務署に開業届も提出しておきましょう。
確定申告に必要です。
青色申告を選択すると、65万円の控除を受けられます。
ただし、事前に「青色申告承認申請書」の提出が必要なので、忘れずに税務署に提出しましょう。
近年は下記のようなクラウドの会計ソフトがあるので、導入しておくと便利ですよ。
【手順⑦】仕事を受注する
準備が整ったら、いよいよ仕事を受注しましょう。
主な受注経路は下記があります。
- 営業活動
- 知り合いの紹介
- 取引先からの紹介
- コンペに参加
- クラウドソーシング
特に「取引先からの紹介」が重要です。
下記のような取引先を作って、安定して仕事を受注できるように準備しておきましょう。
- 工務店
- 建設会社
- ハウスメーカー
【よくある質問】二級建築士で独立していいの?
結論、仕事を受注できるなら、二級建築士で独立しても問題なしです。
ご存じのとおり設計できる範囲は限られますが、例えば「住宅設計を潤沢に受注できる」などであれば大丈夫でしょう。
独立すると、結局のところ「マーケティングスキル」や「営業スキル」が重視されます。
二級建築士でも、マーケティングや営業が得意なら独立してもやっていけますよ。
それでは、マーケティングスキルや営業スキルを含む「独立しても失敗しにくくなるコツ」を解説していきます。
建築士の独立で失敗しにくい8つのコツ【あなたは独立していいのか?】
建築士として独立しても、失敗しにくいコツは下記の8つです。
- 貯金しておく
- 十分な経験を積んでおく
- 他の資格も取得しておく
- 人脈を増やしておく
- マーケティングを勉強しておく
- 営業スキルを勉強しておく
- 経営の勉強をしておく
- 信頼できる弁護士を探す
1つずつ解説しますね。
また、「この8つを満たせる自信がない…」という人は、まだ独立しない方がいいかもしれません。
あなたが独立していいかの判断材料になると思うので、最後まで読んでみてください。
【コツ①】貯金しておく
独立する前に、できるだけ貯金しておきましょう。
けっこうお金がかかるから。
具体的には、下記にお金がかかります。
- 事務所を借りる費用
- デスクや備品
- パソコン
- 設計ソフト
- 電話回線
- コピー機
- ホームページ制作
- 当面の運転資金
できれば500万円くらいの貯金がほしいところです。
すぐに収入が安定するわけではないので、たくさん貯金しておいてください。
【コツ②】十分な経験を積んでおく
当然ですが、豊富に設計の経験を積んでおきましょう。
せっかく仕事を受注できても、設計スキルが足りないと仕事ができないので。
マイナスの評判がたってしまうと、継続的に稼ぐことが難しくなります。
下記のようなスキルを、会社員時代にできるだけ習得しておいてください。
- 設計スキル
- CADスキル
- 工事監理スキル
【コツ③】他の資格も取得しておく
建築士以外の資格も取得しておきましょう。
他の建築士と差別化を図るためです。
具体的には、下記のような資格がおすすめです。
- 宅地建物取引士:不動産の法律の専門家になれる
- インテリアコーディネーター:内装や設備も設計できる
- 建築施工管理技士:現場も理解して設計できる
- 構造設計一級建築士:構造設計のスペシャリストになれる
- 設備設計一級建築士:設備設計のスペシャリストになれる
特に、一級建築士と1級建築施工管理技士を両方もっていると、設計と現場の両方がわかり、評価も上がります。
詳しくは、一級建築士と一級建築施工管理技士は両方とった方がいい【勉強のコツ】を参考にどうぞ。
また、建築施工管理技士・構造設計一級建築士・設備設計一級建築士を取得するコツは、下記の記事にまとめてます。
【コツ④】人脈を増やしておく
潤沢に仕事を受注するためにも、会社員時代にできるだけ人脈を増やしておきましょう。
前述のとおり、下記のような取引先を作っておくのが重要です。
- 工務店
- 建設会社
- ハウスメーカー
取引先が少ないと、収入が不安定になりがちです。
【コツ⑤】マーケティングを勉強しておく
独立する前に、マーケティングを勉強してください。
安定的に仕事を受注するために必要です。
マーケティングを一言でいうと「集客」のことです。
どんなに設計スキルがあっても、集客できなければ稼げません。
「マーケティングって何?」という人は、まず「ドリルを売るには穴を売れ」を読むことをおすすめします。
物語形式で、わかりやすくマーケティングの基礎を学べます。
また、下記も独立前に勉強しておきましょう。
- ホームページを作る方法
- SNSでフォロワーを増やす方法
- YouTubeでチャンネル登録を増やす方法
- 広告媒体の特徴や広告の作り方
マーケティングができればどんな商売も成功しやすいので、今後の人生のためにも勉強しておいて損はありません。
【コツ⑥】営業スキルを勉強しておく
営業スキルも勉強しておきましょう。
せっかくマーケティングで集客しても、受注までもっていけないと稼げないので。
決して売り込みをしてはいけませんが、見込み客の背中を押してあげないと受注しにくいです。
営業経験が少ない人は、まず本で勉強しましょう。
「営業1年目の教科書」などがおすすめです。
高い設計スキルがあっても、営業スキルがないばかりに稼げない建築士もいるので、ここは避けて通れません。
【コツ⑦】経営の勉強をしておく
独立=社長になるので、経営の勉強もしておきましょう。
まずは下記を考えてみるのがおすすめです。
- どんな商売をしたいのか?
- どんな人たちに役立ちたいのか?
- どう役に立ちたいのか?
- どうして独立しないといけないのか?
こうしたところから、経営は始まっていきます。
独立する前から「経営理念」も考えておきましょう。
「経営理念=商売の方向性」なので、経営理念がないとブレてしまいます。
この辺は「まんがでわかる 稲盛和夫フィロソフィ」で勉強するとわかりやすいですよ。
また、当然ながら会計についても勉強しておきましょう。
「ぶっちゃけ会計のことがまったくわかりません・・・」などがおすすめです。
【コツ⑧】信頼できる弁護士を探す
信頼できる弁護士も探しておきましょう。
ご存じのとおり、建築設計はトラブルも起きやすいので。
トラブルが起きたときに、すぐ相談できる弁護士さんがいると安心です。
「弁護士ドットコム」などで簡単に探すことができますよ。
また、費用を抑えたい人は弁護士保険などもおすすめです。
【ちなみに】共同で独立するのもアリ
場合によっては、他の建築士さんと共同で独立することも検討しましょう。
お互いの強みを活かせるからです。
※共同で独立する建築士さんは、けっこう多いですよね。
ただし、共同経営は先にルールを決めておかないと、後でトラブルになることがあるので要注意です。
まだ独立が不安なら早まらないのも大事
建築士の独立について解説してきましたが、まだ独立が不安なら慎重に検討してください。
焦って独立して失敗するのも辛いので。
正社員の建築士は需要が多いので、独立が不安なら、正社員の建築士として経験を積みながら独立の準備をするのもアリだと思います。
もし今の会社に不満があるなら、転職も検討しましょう。
前述のとおり、「SUN-SUKE」など転職サイトに建築士の求人があるので、判断材料にしてみてください。
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まとめ【建築士の独立・フリーランス転向は慎重に検討しましょう】
最後にもう一度、建築士で独立するメリットとデメリットをまとめておきます。
メリット | デメリット |
仕事の自由度が増す収入の上限がなくなる休日や休憩が自由になる
仕事の方針を自分で決められる |
仕事がないと収入がなくなる収入が不安定になりがち忙しいと休めない
建築設計スキル以外に学ぶことが多い |
建築士として独立する手順は下記の7ステップです。
- 建築士の試験に合格する
- 5~7年の実務経験を積む
- 会社を辞める
- 建築士事務所として登録する
- 管理建築士講習を受ける
- 税務署に開業届を出す
- 仕事を受注する
そして、建築士で独立して失敗しにくくなるコツは下記の8つです。
- 貯金しておく
- 十分な経験を積んでおく
- 他の資格も取得しておく
- 人脈を増やしておく
- マーケティングを勉強しておく
- 営業スキルを勉強しておく
- 経営の勉強をしておく
- 信頼できる弁護士を探す
もし「まだ独立には早いかも…」と思うなら、慎重に検討しましょう。
転職して経験値を上げるのもアリだと思います。
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最良の選択をするための参考になればうれしいです!